名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

大山将棋研究(142); 三間飛車に玉頭位取り

2016-05-02 | 大山将棋研究
昭和49年2月、内藤先生と第28期A級順位戦です。


内藤先生の三間飛車

大山先生は相振りはやらないので居飛車、64歩を見て玉頭位取りです。

この歩を交換できれば居飛車のポイントです。

大山先生は石田流の3筋交換は気にしません。

46歩から47金で石田流を放棄させました。

逆に3筋の歩を伸ばし(37桂と使うのが好きですね)

内藤先生は軽い筋の良い棋風ですから、垂れ歩で応酬。48銀~28飛~38飛は角を交換して49角があるので取り切れません。

大山先生はと金を作らせ

角を生かす攻め方を選びます。

その角筋が止められるかどうかの争いです。

この歩は取れば31香でしょうか。

これで大さばき。44とから取り合いです。

瞬間は3枚換えですが、振り飛車の左の桂香はそのうち取られるので、内藤先生はうまく攻めなければいけません。

内藤先生は玉頭から。大山先生は飛角の働きで攻めを余せられるか。

と金を払ったのは心強いです。

この図までに内藤先生の疑問手があります。どこかで33歩と止める手がなかったか。竜を取りに行ったのですが

これで歩切れではありますがほぼ損得なし。先手玉が薄いですが、後手の攻め駒が少ないです。

打たれてみると感心する受け方です。77玉の位置で頑張ろうとしています。

角を使われましたが、銀を打てば切るしかないでしょう。

この2枚換えは歓迎です。

駒得で受けに回るときは、駒を打って守ります。

綱渡りの受けですが、内藤先生の攻め駒が少ないので息切れしています。

これが攻防の角。22角では33歩なので、68金にひもを付けて守ります。

駒を補充されたので、攻めるは守るなり、でいきます。

内藤先生が角を切ってから手を戻すのは最善ですが

56からではなく36から銀を打つのは、玉を右に逃げ出す手を見ています。

この金はちょっとびっくりしますが

竜も使えば受けやすくなりました。

ずっと内藤先生がうまく攻めてはいますが、攻め駒が足りません。

36の銀は取られてしまいましたが

竜をしかりつければもう一息。

最後の非常手段も

やはり先手玉が寄らず、投了図。


かなりの好局でしたが、終盤の入り口で竜を取りに行ったのが内藤先生の敗因です。攻め駒不足は最後まで解消できませんでした。それでもしつこく迫るのを大山先生がずっと受けて有利な状態をキープしています。大山先生のほうをもって、受け方を勉強しましょう。ただ受けるだけではなくて、寄せ合いも見せてしまうのがよい受け方でした。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山十段
後手:内藤国雄9段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 6六歩(67)
4 4二銀(31)
5 7八銀(79)
6 5四歩(53)
7 6七銀(78)
8 5三銀(42)
9 5六歩(57)
10 3二飛(82)
11 4八銀(39)
12 6二玉(51)
13 6八玉(59)
14 7二玉(62)
15 7八玉(68)
16 6四歩(63)
17 7五歩(76)
18 8二玉(72)
19 5七銀(48)
20 7二銀(71)
21 7六銀(67)
22 5二金(41)
23 2六歩(27)
24 4四歩(43)
25 2五歩(26)
26 3三角(22)
27 5八金(49)
28 6三金(52)
29 6八金(69)
30 3五歩(34)
31 6五歩(66)
32 同 歩(64)
33 同 銀(76)
34 6四歩打
35 7六銀(65)
36 5一角(33)
37 9六歩(97)
38 3六歩(35)
39 同 歩(37)
40 同 飛(32)
41 3七歩打
42 3四飛(36)
43 4六歩(47)
44 1四歩(13)
45 4七金(58)
46 3二飛(34)
47 3六歩(37)
48 3三角(51)
49 3七桂(29)
50 9四歩(93)
51 3五歩(36)
52 1二香(11)
53 2六飛(28)
54 3八歩打
55 3四歩(35)
56 5一角(33)
57 3六飛(26)
58 3九歩成(38)
59 4八金(47)
60 5五歩(54)
61 同 歩(56)
62 2九と(39)
63 4五歩(46)
64 1九と(29)
65 5四歩(55)
66 同 銀(53)
67 4四歩(45)
68 5五歩打
69 5六歩打
70 同 歩(55)
71 同 銀(57)
72 6二角(51)
73 6七銀(76)
74 3五歩打
75 4六飛(36)
76 3四飛(32)
77 4三歩成(44)
78 3六歩(35)
79 4四と(43)
80 3七歩成(36)
81 3四と(44)
82 4八と(37)
83 4一飛成(46)
84 6五銀(54)
85 2二角成(88)
86 7六香打
87 同 銀(67)
88 同 銀(65)
89 4八龍(41)
90 6五銀打
91 5七龍(48)
92 5五歩打
93 同 銀(56)
94 6六桂打
95 同 銀(55)
96 5六金打
97 6五銀(66)
98 5七金(56)
99 7六銀(65)
100 6八金(57)
101 同 玉(78)
102 4九飛打
103 7八銀打
104 2六角(62)
105 7七玉(68)
106 5九角成(26)
107 6八銀打
108 同 馬(59)
109 同 玉(77)
110 4八飛成(49)
111 5八歩打
112 5七銀打
113 7七玉(68)
114 6六金打
115 同 馬(22)
116 同 銀成(57)
117 同 玉(77)
118 8八角打
119 7七角打
120 7九角成(88)
121 6九金打
122 7八馬(79)
123 同 金(69)
124 5八龍(48)
125 6八角(77)
126 5七銀打
127 7七玉(66)
128 6八銀成(57)
129 同 金(78)
130 5九角打
131 6七金打
132 6九龍(58)
133 3五角打
134 8九龍(69)
135 4一飛打
136 5三歩打
137 6二歩打
138 同 金(63)
139 5四歩打
140 7九龍(89)
141 7八桂打
142 6五桂打
143 6六玉(77)
144 6八角成(59)
145 同 金(67)
146 5四歩(53)
147 5五歩打
148 4四歩打
149 3六銀打
150 5九龍(79)
151 5八香打
152 7七金打
153 同 金(68)
154 5八龍(59)
155 4四飛成(41)
156 7七桂成(65)
157 同 玉(66)
158 6五香打
159 6六歩打
160 同 香(65)
161 6七歩打
162 6五金打
163 6八金打
164 7六金(65)
165 同 玉(77)
166 5六龍(58)
167 6六歩(67)
168 3六龍(56)
169 4一龍(44)
170 3七龍(36)
171 4七金打
172 8五銀打
173 6七玉(76)
174 3八龍(37)
175 6二角成(35)
176 4七龍(38)
177 同 龍(41)
178 6二金(61)
179 4一飛打
180 投了
まで179手で先手の勝ち


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20160502今日の一手<その319>; と金を間に合わせる

2016-05-02 | 今日の一手
20160502今日の一手

3月26日の名南将棋大会から、TさんとSさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。




一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
桂と歩の交換、後手に持ち歩がないので歩もカウントしますが、先手が駒損です。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は98飛と持ち駒香で2枚。
後手の攻め駒は33角と持ち駒角で2枚。

総合すれば形勢は互角です。

大局観として
先手が端に歩を垂らして攻め駒を増やそう(と金を作る)、かつ駒損を回復しようとしたところ、後手は86の角をいじめて反撃です。これでいい勝負のようですが、歩で攻めるほうが効率がいいですね。問題図の少し前

角の王手に香合いが間違いです。71玉(あるいは61玉)なら92歩は成立せず、後手は駒得を生かせたでしょう。
問題図ではと金つくりを受けにくいですね。香を手持ちにしていれば82銀とできたのですが、73香と手放したのでそれを生かすべく、少し仕方なく7筋から動かされたのです。


方針としては、と金つくりを間に合わせたいのです。将来的に駒得になりそうです。今は駒損だけれど、将来駒得になるなら持久戦を目指すというのがいいでしょう。
玉は堅いのでこれ以上固める必要はありません。
攻め駒を増やすという意味では と金を作れば3枚。もう一枚はと金で桂馬か銀を取る、あるいは86の角を64銀と交換するつもりなら4枚になる、という考え方でもよさそうです。


△ 実戦は91歩成でした。

前の92歩を生かす意味で自然です。75銀に97角と引いたのですが、同角と切って75同香76歩

これは駒損でも攻め駒が多く、悪いことはありません。98の飛をいじめたり、55角から36桂の筋とか、端攻めとか、後手にも狙いがあります。

実戦では角を逃げました。

86桂68飛96歩

飛角を封じられて難局です。とはいえ88角でまだ戦えたのですが、79角だったので76銀から突進されて悪くなりました。


△ 75の地点を守る手を考えます。76銀が普通の手です。

この手は66角と出られるのがしゃくです。91歩成75香65歩

これは先手がうまく返した感じです。後で69香が厳しいです。

ですから66角91歩成に75銀同銀同角同角同香31角64角

くらいでしょうか。36桂の筋がうるさいです。なので76銀の変化は互角ですが少し後手もちかという気がします。


△ 78飛もよい手のようですが

75銀同角同香同飛97角

64角成を避けられず、後手が駒得です。互角に近いですが、これも少し後手もちでしょう。


○ 79香が好手です。

香には香で、駒損を避けています。76でも77でも78でもいいですが、下段の香に力ありで、下から打つ方が利きが多いです。
これで後手から手がありません。82銀には94飛です。95桂97飛82銀なら

74歩もありますが、91歩成同銀96歩でいいでしょう。


41飛91歩成42角でも

92と75銀同香同角同角同香93と

で駒得になります。


△ 他には74香ですが82銀で

香を渡すので94飛と行きにくく、難しいです。


問題図では91歩成としたくなるのはわかりますが、そのあとは角を逃げ回っていてはいけません。角を切って香も取り返して2枚換えでもまだ駒損です。と金が働き出すまで我慢が続きます。

75銀と出させないほうがよく、79香と打つのがぴったりした手です。それで と金を間に合わせれば有利になります。
受けるなら同じ駒で受けるとよいことも多いです。角筋を受けるなら角を合わせ、飛車を打ち込まれたら飛を合わせて手を稼いだり、桂打ちには下から桂で受けるのもよく出てきます。香にも香でした。
攻める前にしっかり受けておく、というのも覚えておけば攻めが強くなります。



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