名南将棋大会ブログ 名古屋

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大山将棋研究(166); 四間飛車に玉頭位取り

2016-05-26 | 大山将棋研究
昭和49年7月、北村昌男先生と第1回棋王戦です。


大山先生の四間飛車に北村先生は玉頭位取りです。

四間飛車の44銀の形は有力な対抗策です。

北村先生は35銀を嫌って36歩ですが、普通は57銀~66歩~67金を急ぎます。

角筋を通したままで対応しようということですね。

55歩の交換に68金右は妥当なところ。そこで大山先生の65歩が味わい深いです。取られても64銀でさばけます。

北村先生は右桂を使いますが、大山先生は軽く銀を引きます。57歩と収めようとしても74歩で振り飛車がよいです。

74歩を緩和するため、また89桂にひもを付けるために玉を引くのは妥当ですが、大山先生は軽く歩を突きだします。取れば47歩ですね。57歩は56歩と合わせて同歩同飛が76の銀取りです。うまくさばけそうです。

飛車を成りましたが、空成りなのでまだこれから。筋は58飛ですが、49竜の時にどうするか。48歩に37角で悪そうです。19竜なら37角で戦えそうなのですが。
58飛がだめなら58銀ですが、46角が好位置。37角49竜58銀45竜もだめ、ということは素直に24飛ですか。普通の手でまだ戦えそうです。

84歩に手抜いて95歩が好手です。95同歩は98歩同香99角の筋。19竜が先手で入るのでうるさいです。普通は84歩は入りそうなものですけど、驚きました。

そこで北村先生が悩んだのでしょう、79金から69金右は苦心の手ですが、よい時の指し方ではありません。

銀を取らせて飛車をさばきますが

空間に銀を置くのが大山先生の好手。上から攻められれば寄りが早いです。

北村先生は位取りをいかしての反撃。

香で歩を払うのがどうだったか。私なら94桂としそうです。71玉なら83歩成があるので、94同香同銀97歩成89玉77銀成、83香92玉はどうにか耐えているのでしょうか、何かありそうに見えますが。

96銀と敵玉から離れていくのでわかりやすくなり、香打ちで詰めろのようです。

ここから詰将棋です。私はさっぱり自信がありませんが読み切れますか?

投了図。ここからでも少し悩みました。99玉89歩成同玉97桂99玉88角ですね。

ぱっと並べると大山先生の快勝のように見えるのですが、よく見ると難しいですね。大山先生の65歩から64銀というのはさすがの手順です。でも玉頭位取りはなかなか優秀で、上手く指せば勝負になるのです。
私も図面を見て考えているだけなので、盤駒を動かして変化を考えれば違う手が見つかるかもしれません。居飛車をもって検討してもよいですし、振り飛車のさばき方を学ぶこともできます。



#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:北村昌男8段
後手:大山十段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5八金(49)
8 4二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二玉(62)
13 5六歩(57)
14 8二玉(72)
15 9六歩(97)
16 9四歩(93)
17 6八銀(79)
18 7二銀(71)
19 7七銀(68)
20 4三銀(32)
21 7五歩(76)
22 4五歩(44)
23 2五歩(26)
24 3三角(22)
25 7六銀(77)
26 4四銀(43)
27 7七角(88)
28 5四歩(53)
29 3六歩(37)
30 5二金(41)
31 8六歩(87)
32 6四歩(63)
33 8五歩(86)
34 6三金(52)
35 8七玉(78)
36 5二飛(42)
37 7八金(69)
38 5五歩(54)
39 同 歩(56)
40 同 銀(44)
41 6八金(58)
42 6五歩(64)
43 2四歩(25)
44 同 歩(23)
45 3七桂(29)
46 6四銀(55)
47 8八玉(87)
48 4六歩(45)
49 4五桂(37)
50 7七角成(33)
51 同 桂(89)
52 4七歩成(46)
53 同 銀(48)
54 5九飛成(52)
55 8四歩(85)
56 9五歩(94)
57 7九金(78)
58 9六歩(95)
59 6九金(68)
60 4九龍(59)
61 2四飛(28)
62 4七龍(49)
63 2一飛成(24)
64 8六銀打
65 9二歩打
66 同 香(91)
67 8三歩成(84)
68 同 玉(82)
69 8四歩打
70 同 玉(83)
71 8五銀(76)
72 8三玉(84)
73 8四歩打
74 8二玉(83)
75 9六香(99)
76 同 香(92)
77 同 銀(85)
78 7六香打
79 8三歩成(84)
80 同 銀(72)
81 6一龍(21)
82 7七香成(76)
83 8九玉(88)
84 8八歩打
85 9九玉(89)
86 9八歩打
87 同 玉(99)
88 8七銀成(86)
89 投了
まで88手で後手の勝ち
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20160526今日の一手<その331>; 穴熊への寄せ手筋

2016-05-26 | 今日の一手

20160526今日の一手

4月30日の名南将棋大会から、Kさん私の対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
角歩歩と銀桂香の交換です。先手が歩切れなので歩もカウントします。先手が少し駒得です。
玉の堅さは難しい比較です。同程度としておきます。
先手の攻め駒は91竜と持ち駒銀桂香で4枚。
後手の攻め駒は57馬と持ち駒飛角で3枚。

総合すれば先手やや有利です。

大局観として

先手がよいのですが、簡単ではありません。銀取りになっているので忙しいですし、歩切れなのが問題です。持ち歩があれば、今すぐではなくとも53歩から攻める手があるのです。
方針は2通りで、玉を固めつつ持久戦か、攻め合いか、です。


△ 普通の手は47銀引です。

後手からの48歩は39金で耐えているようです。打てば46香が嫌味になるので、43金77銀67馬78桂86歩82竜

べたべた打って、88飛や88歩の筋に対応して、なんとか耐えれば長期的にはよくなります。玉から遠い77銀89桂あたりが働き出すまでは長いので、かなりの長期戦を目指します。87歩成同竜としてもらえば楽ですが、先手から86竜は33角から88歩があるので注意です。


△ どうせ駒を打つのなら59香と投入しましょうか。

66馬77銀84馬82竜

こうなれば先手ややよしですが

59香に35馬77銀43金

これで互角です。後手から88角があるので、銀を打っておかないといけないのが悔しいのですが、持久戦を目指します。なお88飛は78銀で大丈夫。


× 攻める方を考えます。実戦では45香でした。

逃げてもらえるわけではないので、45同金同銀48歩39金46香

これは危険です。後手の攻め駒が4枚になっています。実戦では58銀66馬57金55馬35桂

これで形勢は互角に見えるのですが、穴熊の玉が深くてうまく寄せられませんでした。先手の攻め駒が3枚ですからうまくいかないです。

途中57金のところで同馬として(あるいは58銀のときに切ってもよさそう)

57同銀49歩成同銀同香成同金47飛

というのもだめですし、最初の45香が悪手なのです。


△ 攻めるなら33香という筋がありますね。

穴熊の寄せ方手筋です。ただし変化はいろいろあります。41飛という受けもないことはないですが、まあ33同桂ですね。32銀と打ちます。

21飛と受ける手もないことはないですが、41歩が普通です。31銀成同銀41竜

ここでも21飛と受ける手もありますが、飛車を使うのではつまらないので22玉でどうにか大丈夫です。44竜に66角が詰めろ。

48金打56馬54竜55馬52竜32銀打

ここでは2枚換えで悪くはないように見えるのですが、後手玉を寄せる手がみえません。後手は桂香を拾うこともできますし、これは難局です。残念。


○ 33桂と攻めると話が変わります。

これも手筋。33同桂32銀41歩31銀成同銀41竜22玉

と同じように進めば、21金同玉32香

これは寄りです。31香成から32銀を受けられません。43桂とは打てませんから、持ち駒が桂か香で違うのですね。

ということは33桂に32角と受けるのでしょう。

これで攻めは継続できません。21桂成同金59香(あるいは47銀引か)35馬48金

今度は88角がないので、57桂を防いで金を上がっておきます。88飛には78銀ですね。
後手に自陣角を打たせて持久戦ですからこれが最善のようです。

☆ まとめ


結論はかなり難しいのですが、受けるなら駒を投入して長期戦を目指します。

実戦の45香は悪手。逃げてくれれば41香成ですが、取られてしまうと後手は中途半端な44金が攻め駒に変わったという結果に。そういう意図ではなかったと思うのですが、もっと駒得を目指すというのは失敗しやすいのです。

攻めるなら33香か33桂が有力です。こういう攻め筋は覚えておきましょう。
後で32香と使えるので桂から打ったほうが取ってもらえるなら有効です。でも桂馬だと取ってもらえないかもしれない、という難しい比較です。

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