名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

大山将棋研究(162); 四間飛車に中央位取り

2016-05-22 | 大山将棋研究
昭和49年6月、有吉先生と第1回名将戦です。


大山先生の四間飛車に有吉先生は中央位取り、有吉先生のイメージは玉頭位取りなのですが。

6筋の歩交換ができれば居飛車のポイントです。後になって62飛から迎え撃つ対策が出て、この順は難しくなりました。

大山先生が居飛車を持っても石田流に46歩を突くのですが、現代風は(といってもこの頃は見ないのですが)16歩から26飛ですね。66銀~97角~65歩というのがこの場合の理想です。銀冠で対応されたら66角の形のほうがよいという場合はあります。

玉を固めたら強く戦うのが有吉先生らしいです。

36歩を手抜くことは少ないのですが、見向きもしません。37歩成なら24飛なので問題なし。

飛車を切って角を打つのは当たり前ですが、32から打つのが普通ですね。33飛なら61角成で2枚換えなのですから33飛を嫌ったということでしょうが、32角33飛21角成でも悪くないので、小さなミスかもしれません。

42歩と受けられて桂馬を取りに行くのでは2手損です。

桂馬を取って銀を追います。飛角交換ですが、先に桂馬を取って主導権があります。

香も拾ってまあまあです。

大山先生も桂馬を拾っていい勝負ですね。

この馬が好位置。居飛車よしかと思えば

この桂馬も急所です。

金と交換できて、歩を伸ばす。これが取りにくいので形勢は難しいとはいえ、振り飛車がよいのかもしれません。

互いに桂馬を打ちあいます。すぐに55桂とできないので大山先生のほうがいいのでしょう。

強引に打ちこみます。馬取りなので65銀は利かず。

香で手を稼ぐのは少し苦しい受けです。

香を取られる前に

銀を打って補強します。

でもこの歩は痛いです。

これで一段落ですが、いつの間にか後手玉が固まっています。大山先生が有利。

さらに飛車を活用できて優勢になりました。

一度竜を引くあたりがさすがに大山先生、よく見えています。

あとは難しい手は必要なく、べったり金を打って底歩を払えば寄せになります。

もう受けがありません。

投了図。

仕掛けは有吉先生がまずまずですが、32から打ってややよしかという気がします。そこから長い攻防ですが、振り飛車からの55桂や65桂がかなり有効に効きました。位の歩を突き捨てたのならもう少し戦果がないといけないということですね。有吉先生が悪手を指したとも思えないのですが、細かい攻防でいつの間にか有利にしてしまう大山先生の強さ、繰り返し並べるとよくわかります。
私が居飛車をもってこんな負かされ方をしたら脱帽しかありません。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:有吉道夫8段
後手:大山十段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5八金(49)
8 4三銀(32)
9 6八玉(59)
10 4二飛(82)
11 7八玉(68)
12 6二玉(51)
13 5六歩(57)
14 7二玉(62)
15 5七銀(48)
16 8二玉(72)
17 9六歩(97)
18 9四歩(93)
19 5五歩(56)
20 7二銀(71)
21 5六銀(57)
22 5二金(41)
23 6八銀(79)
24 6四歩(63)
25 6六歩(67)
26 6三金(52)
27 6五歩(66)
28 同 歩(64)
29 同 銀(56)
30 6四歩打
31 5六銀(65)
32 7四歩(73)
33 5七銀(68)
34 1四歩(13)
35 2五歩(26)
36 3三角(22)
37 6八金(69)
38 3五歩(34)
39 6七金(58)
40 3二飛(42)
41 4六歩(47)
42 1三香(11)
43 1六歩(17)
44 5一角(33)
45 2四歩(25)
46 同 角(51)
47 4五歩(46)
48 3六歩(35)
49 4四歩(45)
50 同 銀(43)
51 5四歩(55)
52 4二飛(32)
53 4三歩打
54 同 飛(42)
55 2四飛(28)
56 同 歩(23)
57 3四角打
58 4二歩打
59 4五歩打
60 3三銀(44)
61 1二角成(34)
62 5四歩(53)
63 2一馬(12)
64 3四銀(33)
65 4四歩(45)
66 5三飛(43)
67 1二馬(21)
68 2五銀(34)
69 4五桂打
70 5二飛(53)
71 1三馬(12)
72 4九飛打
73 2四馬(13)
74 2九飛成(49)
75 3六歩(37)
76 同 銀(25)
77 4六馬(24)
78 4五銀(36)
79 同 銀(56)
80 5五桂打
81 5六銀(45)
82 6七桂成(55)
83 同 銀(56)
84 5五歩(54)
85 6九歩打
86 6五桂打
87 6六銀(57)
88 4九龍(29)
89 4七桂打
90 5六金打
91 同 銀(67)
92 同 歩(55)
93 5八歩打
94 5七銀打
95 同 歩(58)
96 同 歩成(56)
97 5五香打
98 6八と(57)
99 同 歩(69)
100 5四歩打
101 6七銀打
102 5五歩(54)
103 5八銀打
104 3九龍(49)
105 4三歩成(44)
106 同 歩(42)
107 5五桂(47)
108 5七歩打
109 6五銀(66)
110 5八歩成(57)
111 同 銀(67)
112 7三金(63)
113 5六銀(65)
114 3二飛(52)
115 4九歩打
116 3八飛成(32)
117 4七銀(56)
118 4四香打
119 4五桂打
120 3四龍(38)
121 5六銀(47)
122 5九金打
123 6七銀(58)
124 4九龍(39)
125 4七歩打
126 3八龍(34)
127 4三桂成(55)
128 4五香(44)
129 同 銀(56)
130 5八金(59)
131 同 銀(67)
132 同 龍(38)
133 6七金打
134 6五桂打
135 投了
まで134手で後手の勝ち
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20160522今日の一手<その329>; 自然な手でもうまくいかないとき

2016-05-22 | 今日の一手

20160522今日の一手

4月9日の名南将棋大会から、YさんとMさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。一昨日と似ていますが、何が違うか考えてみるのもいいでしょう。先手のYさんは同じ人です。





一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは同程度。
先手の攻め駒は86角と持ち駒銀で2枚。
後手の攻め駒は51飛44角65銀で3枚。

総合すればやや後手が指しやすいです。

大局観として
先手Yさんがが86角と出て角を使ったのですが、攻め駒は増えたとはいえ守りが弱くなるのでやや危険でした。チャンスと見た後手Hさんは銀を打って攻めに出ました。持ち駒の銀を打ってもらったのは良いのですが、後手の攻め駒は3枚、さらに45桂と跳ねられたら4枚で受けきれなくなります。ここはしっかり考えなくてはいけません。
受けるのですから駒損ではだめです。と言って駒得でも玉が危険になったら元も子もないです。相手より優位なところがないのに受けるのは難しいです。どうにか形勢互角までもっていきたいという局面です。


× 56と66の地点を受けるのですから一目は57銀と打つのですが、45桂

これがあるので難しい局面なんですね。46銀66銀45銀67銀成

44銀78成銀同玉44歩

これで一段落です。金銀歩と角桂の交換(将棋用語で三枚換えというのですが、1対3のときと2対3のときがあって紛らわしいです)でやや後手が駒得、先手玉が薄くなり、後手の攻め駒も4枚になっています。ですからこれは後手が優勢。

戻って、45桂に58金57桂成同金85銀

銀桂交換で我慢しようとしても角の位置をとがめられます。68角76銀右(左もある)77桂67銀成同金上54銀

銀歩と桂の2枚換えでこれではだめです。


× 56を受けて58飛66銀同銀同角とか



× 66を受けて77角56銀同銀同飛67金51飛とか

こういうのは歩を損していますからダメな受け方です。


○ となれば残りの受けは55銀しかありません。

角が逃げてくれればよいのですが、56銀同銀55角

この攻め方、少し前に矢倉の将棋で出てくる攻め方だと書きましたね。一目やられた、という感じです。でも55同銀同飛21角

こんなところに返し技があるので、これは互角以上です。仮に11香の形なら後手がよいです。

実戦では角を取り切れず67銀打44角58飛69銀

中央から反撃を狙いましたが後手のペースです。この後は57歩から58金と打ちこんでから飛車交換に持ち込み、後手が簡単に勝ちました。


○ 単純な受けはここまで。あとは86角を生かす手です。53銀。

53同角同角成同飛65歩

57角と打たれますが、46銀84角成75角

馬は消せます。この変化は互角以上です。

53銀に66角は

66同銀同銀に39角が好手。65銀には77桂


57銀打には24歩同歩同飛

これで67歩を狙います。

57歩には68飛65銀77桂

どれも先手がよさそうです。余裕ができれば(56飛を防げれば)42銀成がありますし、後手が53の銀を取るには41飛~52歩の2手が必要ですからどうにかなるのです。


△ 欲張って42銀と打ってみます。

42同金は同角成66銀43馬

67銀成44馬78成銀同玉56飛67金

先手玉が薄いのでまだまだ大変ですが、馬の存在も大きいです。57金と打たれて66銀・・・これはいい勝負。

あるいは少し戻って43馬に41飛44馬67銀成43金78成銀同玉

というのもありますか。これもいい勝負です。

42銀に66銀もあり

66同銀同角77銀同角成同桂56飛21角

これもいい勝負ですが、先ほどよりは先手玉が堅いので少し安心できそうな気もします。

42銀に54飛と逃げると

53銀成74飛(取れば53銀の変化に合流します)77金

84飛65歩86飛同歩53角

これも互角に近いです。

あるいは53銀成に84飛

55歩86飛同歩53角65歩

どちらもありそうです。

42銀に52飛は41銀不成で

54飛32銀不成66銀43銀成

これは銀が手順に使えるのでやや先手よしです。


問題図はやや後手がよいので、自然な手である57銀(受けるなら歩が前で金駒が下のほうがよい)は45桂を食らって悪くなりそうです。

実戦の55銀はやや不自然、角が逃げてもらえば優勢、というのはムシの良い話で、こういう手は危険なのです。56銀と根元の歩を取られて強引に攻められます。
ただしこの後21角があるので形勢は互角以上です。もし21角がなければ後手よしです。

受ける手がなければ(実際は55銀でまあまあのわけですが)、前に指した86角を生かすことを考えます。53銀に気が付けばややよしです。

飛車取りに42銀もよさそうに見えますが、44角の働きがよいのですから角取りの53銀よりも劣ります。これはなかなか難しい変化があります。

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