飛び出せ! 北の宇宙基地

北の地である北海道で、人工衛星の開発などを行っている 北海道工業大学 佐鳥研究室の活動日記です。

内部反射による皮下の血管の可視化

2008-07-20 21:19:44 | 佐鳥新の教授&社長日記
タイトル: 内部反射による皮下の血管の可視化080717
実験日 : 2008年7月17日
文責  : 佐鳥新(北海道工業大学)


1.概要

分光画像の分野では常識的な手法ではあるが、表面で反射した成分(表面反射とか鏡面反射という)と、いったん内部に侵入して中で吸収と散乱を経過した後に再び表面に出てくる反射光(内部反射という)を区別すことによって、物質内部の情報を得ることができる。

今回は人間の手の皮膚を検体として、ハロゲンライトに直線偏光をかけて撮影を行った。偏光画像を取得する際の注意点として、入射光の方向に対してハイパースペクトルカメラの光軸が平行になるような配置にする必要がある。この入射角に対して撮影結果が敏感に影響を受けるので注意が必要である。




図1 偏光撮影の方法




図2 偏光撮影画像  上:表面反射成分 下:内部反射成分




図3 偏光の違いによる皮膚の分光スペクトル特性


2.実験結果と展望

偏波面の違いを分けることにより表面反射と内部反射を分離し、内部反射の画像から血管など皮下組織を観測することができた(図2)。これは図3の分光スペクトルの測定結果においても内部反射成分のヘモグロビンの吸収帯(550nm付近)での吸収量が表面反射よりも大きいことからも言える。



農薬の蛍光スペクトルの可視化

2008-07-20 21:16:45 | 佐鳥新の教授&社長日記
タイトル: 農薬の蛍光スペクトルの可視化080718
研究期間: 2008年7月18日
文責  : 佐鳥新(北海道工業大学)


人体に害悪を及ぼす物質に汚染されているかどうかを非接触に検査する手法に蛍光を利用できるかどうかを検討する。一般に、分子に対して十分に高いエネルギーを持った光や電子を照射すると、何らかの励起(又は分解)が起るはずであり、エンルギー緩和の過程で発光現象が発生することが期待できる。励起方法は、真空中ではプラズマの照射もしくはプラズマ化を伴う素過程での励起・脱励起を利用する方法が一般的ではあるが、大気中の場合には、強い紫外線かコロナ放電が良いと思われる。そこで、その予備実験として今回は汚染物質の検体として農薬を用い、ブラックライトを励起光としたときの蛍光の発光現象をハイパースペクトルカメラで撮影した。実験に用いた5種類の農薬のうち、2種類について蛍光現象が見られたので報告する。

【検体として用いた農薬の種類】
(1)トレボン (エトフェンブロックス乳剤)
(2)トルネード (インドキサカルMP水和剤)
(3)ホスビット (DDVP)
(4)バサグラン (ペンタゾン)
(5)ラウンドアップ (クリホサートカリウム塩)




図1 蛍光撮影の方法




図2 農薬の蛍光撮影写真: HSC1700による露光モード40回撮影




図3 農薬の蛍光スペクトル