飛び出せ! 北の宇宙基地

北の地である北海道で、人工衛星の開発などを行っている 北海道工業大学 佐鳥研究室の活動日記です。

宇宙関連情報: ゴールは“月”。賞金総額28億円の宇宙開発レースが開催中

2011-09-12 17:09:46 | 佐鳥新の教授&社長日記

東北大の吉田和哉先生が「グーグル・ルナー・Xプライズ」に挑戦するというニュースがあったので紹介する。

吉田先生は宇宙ロボティクスのプロで、私の知る範囲では小惑星探査衛星「はやぶさ」のサンプル回収系の開発や、技術試験衛星の「おりひめ」衛星と「ひこぼし」衛星とのランデブー・ドッキングをやった方だ。

グーグルのような大手企業がスポンサーになって宇宙開発を支援する動きはこれからの宇宙時代の息吹を感じさせるように思える。

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今、「一番早く月に行き、500メートル走ってきたものが勝ち」という月面車レースが開催されているのをご存じだろうか?

 レースの名前は「グーグル・ルナー・Xプライズ」。民間の技術と資本だけで実現できる宇宙飛行を目指し、96年に設立されたアメリカの「Xプライズ財団」が主催しており、スポンサーはグーグル。ルールは、月面に“純民間”開発の無人探査機を着陸させ、その地点から500メートル以上走行、そして高解像度の動画、画像を地球に送信するというもの。期限は2015年12月31日までで、最初にクリアしたチームに2000万ドル、2位には500万ドルが与えられるほか、あらかじめ課せられたミッションをクリアすることで最大で500万ドルが加算され、賞金総額はなんと3000万ドル(約23億円)。現在、米国や中国など18ヶ国の29チームがエントリーしている。

 それらのひとつ「ホワイトレーベルスペース」(以下、WLS)という国際集団には、日本のチームも参加している。中心となっているのは、東北大学大学院・工学研究科の吉田和哉博士(航空宇宙学)だ。「はやぶさ」プロジェクトにも携わった吉田博士はコンテストの勝算について、次のように語る。

「トップから4、5チームは開発が順調に進んでおり、WLSもなんとかその中に入っています。技術的にも組織面でも頭ひとつ抜け出しているのが、アメリカのカーネギー・メロン大学のメンバーを中心とする『アストロボティクス』。リーダーのウィリアム・レッド・ウィタカー教授は、NASAの研究やDARPA(米国防高等研究計画局)の自律ロボットレースなどに積極的に参加しており、険しい環境で動かすロボットは専門分野です。私たちも勝算ありと思っていますが、最終的には資金力の勝負でしょう」

 確かに優勝すれば莫大な賞金が与えられる同コンテストだが、参加チームにとって一番の問題は、開発資金をどう捻出するか。なにしろ月まで行ける宇宙船だ。とても一個人や一企業で捻出できる額ではない。

 WLS日本チーム代表の袴田武史氏は「開発費はサポーターの方からの応援金と企業からのスポンサードで賄(まかな)います。WLSのプロジェクトの予算は4年間で約55億円ですから、極端な話、例えば日欧で平均1500円を約360万人から集めれば可能になる計算」として、広く個人の応援を募り、並行してスポンサー企業を探していくと語る。

 コンテスト優勝の成否を担うスポンサー探しのため、吉田博士は「応援金を提供してくださる個人の方には『ルナー・マイレージ』を発行し、それをためることによってローバー(月面探査機)の操縦権などを提供したいと考えています」という。

「国家による宇宙開発は税金を使うため慎重な議論が必要で、スピードが遅れがちになる。国際宇宙ステーション建設にも時間がかかりましたし、最近ではアメリカの有人月面基地計画がキャンセルされてしまいました。これからは民間でもっと競争させて“革命”を起こしたいというのが、『Xプライズ財団』の願いです。宇宙に行きたい、宇宙をより知りたいという気持ちは、普遍的に人々の心の中にあるはず。それを現実へと結びつける道筋を示すことが私たちの役目だと考えています」(吉田博士)

 WLSは今後、月にたどり着くまでの技術開発情報を随時発信し、一般からも広くアイデアや意見を求めていくという。つまり一般の人も、資金やアイデアを提供することで宇宙開発に参加できるということ。多くの人の夢を乗せた月面車、打ち上げの予定は2014年だ。

(取材/世良光弘、撮影/五十嵐和博)

出典: http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20110908-00000305-playboyz-sci 

 


宇宙関連情報: カナダ企業、RapidEye買収

2011-09-11 16:42:33 | 佐鳥新の教授&社長日記

RapidEyeはドイツの農業リモートセンシング衛星だったが経営不振のため昨年倒産してしまった。

確か衛星開発費は30億円ぐらいだったと思う。昨日ある資料に日本のリモートセンシング市場は50億円と書いてあったので、パイが小さすぎるのだろう。衛星画像を自治体に売り込むビジネスとは別にスマートフォンへのコンテンツを提供するサービスと結びつけないとマーケットは広がらないのではないか。2003年頃にFさんと北海道衛星プロジェクトを立ち上げた際にアイディアなのだが、宇宙からのハイビジョンの動画を癒しのコンテンツとして配信したり、実際の宇宙の映像を背景とした超リアルな「対戦ゲーム」のコンテンツを提供するサービスがあったら面白いと思う。

ドラッカー流にいえば、今の宇宙産業に必要なのは「顧客の創造」なのだ。

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2011-09-03 カナダ企業、RapidEye買収

倒産したドイツの地球画像企業、ラピッドアイ(RapidEye)を、カナダの光学衛星画像販売会社が買収することになった。ラビッドアイの負債を失くして身軽にすること民間地球観測市場で大手の一角に加わることを狙っている。

買収する側のカナダ、アルバータ、レスブリッジのアイオンクタスジオマチック社(Iunctus Geomatics Corp.)は、現在、フランスのスポット光学衛星データでカナダの独占販売も事業の一つとしている。ラビッドアイの買収額は1千3百万ユーロ(20億円規模)程度と言われている。

買収後の新会社は、ラビッドアイ・カナダ(RapidEye Canada)となる。この企業は、現在地球低軌道を周回している150kgのラビッドアイ衛星5機の運用を引き受ける。これらの衛星は2008年以来飛行を続けている。これまでの売上は、ラビッドアイ社の予測による、2010年には1千4百万ユーロで、2011年には1千8百万ユーロ以上が期待されている。

アイオンクタス社社長のリアン・ジョンソン氏によると、販売価格は述べなかったが、2011年の一回の販売額が買収額に匹敵するとしている。ラピッドアイの事業は2010年と比べて2011年は概して上向くと見ている。2010年は期待はずれであった。

9月2日のインタビューでは、ジョンソンはラビッドアイを驚異的な可能性を秘めている企業であると述べている。衛星システムは1日に4百万平方キロメートルの画像を撮影し、再撮影時間も他の衛星よりももっと短時間で撮影可能であるとを強調した。そして地球観測データ市場は難しい市場ではあるが、すでに事業として生き延びており、事業が拡大すことは目に見えているとも。

ラビッドアイは予想に反して2009年と2010年の売上が低調に終わり、負債の返済で苦闘し新たな出資がない中で難しい事業運営を強いられてきた。そして返済ローンが不履行となり、今年5月に破産法の適用となって会社更生法により実質倒産した。

しかしドイツの破産法によると、米国のように最終的に企業を解体するのではなく、むしろ債務者が破滅したとしても存続企業として事業を継続させる方向に誘導するようになっている。

ラピッドアイの債権者は主にドイツ銀行であるが、6月下旬に30万ユーロの資金提供を決定したため、140名の社員は作業を継続できることになった。

破産管理人の一人はインタビューに答え、ラビッドアイの買収には当初は20社以上が興味を表明したが、最終的には3社が残り、買収の競争入札を行った。8月29日にアイオンクタスが落札した。

ラビッドアイ衛星5機は順調に機能しており、2018年までは運用可能な状態である。衛星の寿命サイクルから見て、新会社は2014年ごろまでに次の衛星の打ち上げを決断する必要があるし、事業規模を再評価するためには2年以上が必要となる。

現在のラピッドアイ代表は辞職し、共同設立者の一人のクリシュク氏が企業に復帰することになる。

 

出典: http://www.spaceref.co.jp/index.html 


4千光年の彼方にダイヤの星 大きさは地球の5倍?

2011-09-10 07:38:29 | 佐鳥新の教授&社長日記

ダイヤモンドでできた星が発見されたそうです。グリム童話の「ヘンゼルとグレーテル」の大人版のみたいですね。中性子星の中にあるとなると、頭と足を引っ張られるような重力が(潮汐力という)が働くので、その星に近づく際には体を丸めていることをお勧めします。

 

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 地球の5倍の大きさかも知れないダイヤモンドでできた星――。地球から4千光年離れた銀河系のなかに、こんな惑星があるとみられることが、オーストラリアなどの国際研究チームの観測でわかった。26日の米科学誌サイエンスに発表する。

 豪や英米にある複数の望遠鏡による観測で、この惑星は、重さは地球の300倍以上ある木星と同じくらいだが、直径は地球の5倍程度の6万キロ以下とわかった。惑星の密度から炭素や酸素でできていると考えられ、この大きさの惑星だと、炭素は結晶化してダイヤモンドになっているとみられる。

 太陽のような恒星が二つペアになっている連星が、寿命を終えて爆発したとき、一方が中性子星と呼ばれる重い星になり、他方が表面のほとんどの物質をはぎ取られ炭素と酸素だけの星になったと考えられる。直径20キロで太陽の1.4倍の重さがある中性子星のまわりを、ダイヤモンドの惑星が2時間10分の周期で公転しているという。(小宮山亮磨)

 

出典: http://www.asahi.com/science/update/0826/TKY201108250732.html 

 


火星めざし新型ロケット NASA、運搬能力は「最強」

2011-09-10 02:00:57 | 佐鳥新の教授&社長日記

タイトル: 火星めざし新型ロケット NASA、運搬能力は「最強」 

 

米航空宇宙局(NASA)は14日、2030年代に火星に人を送るための新型ロケット「宇宙発射システム(SLS)」を発表した。17年に無人で打ち上げ、21年の有人飛行を目標にしている。

 月に人を送ったアポロ計画のサターンロケットでも使われた液体水素と液体酸素を燃料にしたエンジンを採用する。初期のモデルはスペースシャトルでも使われた固体補助ロケットを併用する。宇宙にどれだけの荷物を運べるかの能力では、最終的にサターンを超え、「史上最強」になる見込みだ。

 NASAは5月にカプセル型宇宙船を発表、SLSと組み合わせて火星を目指すことになる。ただ、開発費の問題は残る。NASAは今後5年間でSLSや宇宙船の開発に180億ドル(約1兆3900億円)を見込んでいるが、それ以降も数兆円が必要とされる。NASAのボールデン長官は記者会見で「打ち上げはとてもいい雇用創出の機会になるだろう」と強調することも忘れなかった。(ワシントン=行方史郎)

 

出典:http://www.asahi.com/special/space/TKY201109150139.html 

 


NASA JPL、石油関連企業大手シェブロンと提携 宇宙探査技術の民間移転

2011-09-09 07:21:07 | 佐鳥新の教授&社長日記

タイトル: NASA JPL、石油関連企業大手シェブロンと提携 宇宙探査技術の民間移転

 

シェブロンはNASAのJPL(ジェット推進研究所)と共同で、NASAがこれまでの深宇宙探査で培ってきた技術が石油や天然ガス生産への利用可能性を検討する。

 

シェブロンとしてはNASAが持っている宇宙ロボット技術を、石油掘削に検討したいとしている。現在の掘削は地下9kmまで達しており、極限環境での掘削技術を求めている。

 

また、NASAにとっても、長年の目標である宇宙プログラムで開発された技術の商業化の実現に弾みをつけたいとの思惑が一致したことが、協力体制の背景にある。

 

共同範囲は無制限が条件だが、シェブロンとしては、すでにロボット以外にも可能性のあるアイディアをいくつか確認している。例えば、深井戸の底に送り込むセンサーと電子機器、異なる地層から石油と天然ガスのパイプ輸送をコントロールするバルブ、等を挙げている。

 

出典:http://www.spaceref.co.jp/index.html 

 


宇宙関連情報: <H2Aロケット>打ち上げ失敗時の爆破装置に不備

2011-09-08 20:00:43 | 佐鳥新の教授&社長日記

8月末打ち上げ予定の情報収集衛星の打ち上げが延期になり、文科省も苦慮していることが漏れ聞こえてきたが、昨日のYahooニュースで原因が報道された。打ち上げ再開までにはかなり時間を要するかもしれない。

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毎日新聞 9月7日(水)21時38分配信

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業は7日、8月末の打ち上げが延期された情報収集衛星を搭載したH2Aロケット19号機について、打ち上げ失敗時に人為的に爆破させる信号の受信機の部品に不備が見つかったと発表した。この受信機はH2Aの前身のH2ロケット8号機から、12年近くにわたり約20機で使っているが、動作異常は確認されていなかった。7日開かれた文部科学省宇宙開発委員会で報告された。

 JAXAによると、この受信機の集積回路に電流を流すピンのうち特定の部分について、本来つなぐべき場所が図面に載っておらず、図面通りに組み立てられて接続されないままになっていた。このためロケットが信号を受けていないのに勝手に爆破したり、逆に信号を受けたのに爆破しなかったりする可能性があったという。受信機は、衛星などを製造する「NEC東芝スペースシステム」(東京都)が設計と製造を担当していた。

 JAXAは「部品の性能を承認する時に使う図面には載っていないほど細かい部分。動作不良があった場合は今回同様厳正にチェックしていく」としている。【野田武】

出典: http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110907-00000095-mai-soci 

 


読書メモ(宇宙ステーション入門 第2版)

2011-09-08 18:00:00 | 佐鳥新の教授&社長日記

北海道工業大学の電気デジタルシステム工学科の4年生を対象に「衛星システム工学」という授業を行った。今年は「宇宙ステーション入門 第2版」を教科書に使ってみた。著者は宇宙開発の大御所2名と私が尊敬している中堅トップ2名の先生方だ。

 

授業では主として第2章~第5章の内容をアレンジして講義を行った。

来年度は第6章~第7章の衛星の姿勢制御の講義もやりたい。

 

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書 名: 宇宙ステーション入門 第2版 

執筆者: 狼嘉彰  冨田信之  中須賀真一  松永三郎

出版社: 東京大学出版会

 

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I部 宇宙ステーションとは何か

 第1章 宇宙ステーションの成立

 第2章 宇宙環境

 第3章 基準系

 

II部 宇宙ステーションの軌道力学と軌道制御

 第4章 宇宙ステーションの軌道力学

 第5章 外乱要素と軌道制御

 

III部 宇宙ステーションの姿勢制御とロボティクス

 第6章 姿勢のキネマティクスとダイナミクス

 第7章 外乱トルクと姿勢制御

 第8章 姿勢制御系の実際

 第9章 宇宙ロボティクス

 

IV部 宇宙ステーションのシステム

 第10章 宇宙の中の人間

 第11章 宇宙ステーション本体システム

 第12章 システムとしての宇宙ステーションと軌道上支援システム

 

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宇宙関連情報: <金星探査機>「あかつき」軌道制御エンジン 試験噴射へ

2011-09-08 07:07:00 | 北海道衛星

毎日新聞 9月5日(月)21時28分配信

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は5日、金星周回軌道への投入に失敗した探査機「あかつき」の破損した軌道制御エンジンの試験噴射を、7日と14日に行うと発表した。あかつきは15年に金星軌道への再投入を目指している。燃料噴射口が破損したとみられるが、噴射自体は可能という。試験噴射は再投入へ向けた最初のステップとなる。

 7日の噴射は約2秒間行い、あかつきの姿勢がどれほど乱れるかを把握。結果を踏まえて14日、別のエンジンで姿勢を保ちつつ20秒間噴射し、あかつきを最大5000キロメートル移動させる。一連の作業がうまくいけば、11月に軌道制御エンジンを再度使って、15年の再投入に最適な軌道へ移動させる。

出展: http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110905-00000111-mai-soci 

米科学誌「サイエンス」に「はやぶさ」の特別編集号が刊行されます

2011-09-07 17:00:00 | 佐鳥新の教授&社長日記

JAXAのプレスリリースを紹介します。

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米科学誌「サイエンス」における「はやぶさ」特別編集号の発行について

 

平成23年8月26日

宇宙航空研究開発機構

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、小惑星探査機「はやぶさ」搭載の帰還カプセルにより持ち帰られた、サンプル収納容器(※1)からの小惑星「イトカワ」の微粒子の採集とカタログ化を進めています。

 その一環として、サンプルキャッチャーA室から回収された微粒子の中で電子顕微鏡観察により岩石質と同定した微粒子の初期分析(※2)を実施中です。

 この度、初期分析の成果の一部が平成23年8月26日発行の米科学誌「サイエンス」において表紙を飾るとともに、6編の論文が掲載されました。

 これは、小惑星探査機「はやぶさ」による小惑星「イトカワ」の近傍からの観測成果が平成18年6月に、太陽観測衛星「ひので」が平成19年12月に、月周回衛星「かぐや」が平成21年2月にそれぞれ特集され、表紙を飾って以来の画期的なことです。

 今回、米科学誌「サイエンス」に掲載された論文は以下の6編です。
1)小惑星イトカワの微粒子:S型小惑星と普通コンドライト隕石を直接結び付ける物的証拠
2)はやぶさ計画によりイトカワから回収された小惑星物質の酸素同位体組成
3)小惑星イトカワから回収された粒子の中性子放射化分析
4)はやぶさサンプルの3次元構造:イトカワレゴリスの起源と進化
5)イトカワ塵粒子の表面に観察された初期宇宙風化
6)ハヤブサ試料の希ガスからわかった、イトカワ表層物質の太陽風および宇宙線照射の歴史

※1 サンプル収納容器内部は、サンプルキャッチャーA室及びB室と呼ばれる2つの部屋に分かれています。
※2 初期分析とは、キュレーション作業(※3)の一環として、代表的なサンプル(試料)について、カタログ化(同定・分類・採番)に資する情報を得る為に行う分析のことです。
※3 キュレーション作業とは、サンプルの回収、保管、カタログ化、配分、及び、そのために必要な分析のことを指します。

 

付録 「サイエンス」誌「はやぶさ」特別編集号 掲載論文とその要旨一覧

Author: Nakamura et al (Manuscript number: 1207758)
Itokawa dust particles: A direct link between S-type asteroids and ordinary chondrites
中村智樹(東北大)他
小惑星イトカワの微粒子:S型小惑星と普通コンドライト隕石を直接結び付ける物的証拠
【概要】
詳細な鉱物学的研究の結果、小惑星イトカワはLL4~6コンドライト隕石に類似した物質でできていることが判明した。同時にイトカワの起源と形成過程に関する重要な知見が得られた。イトカワの母天体の大きさは現在の10倍以上と考えられ、中心部分の温度は約800℃まで上昇、その後、ゆっくりと冷えた。その後、大きな衝突現象が起き、再集積したのが現在のイトカワになった。

Author: Yurimoto et al (Manuscript number: 1207776)
Oxygen Isotopic Compositions of Asteroidal Materials Returned from Itokawa by the Hayabusa Mission
圦本尚義(北海道大)他
はやぶさ計画によりイトカワから回収された小惑星物質の酸素同位体組成
【概要】
酸素同位体組成分析により、分析した微粒子は地球とは異なる同位体比を持つことがわかり、地球外物質である事が明らかになった。この分析により、S型小惑星イトカワが、地球に落下する隕石の一種である平衡普通コンドライトのLLまたはLグループの供給源の1つである証拠が得られた。

Author: Ebihara et al (Manuscript number: 1207865)
Neutron Activation Analysis of a Particle Returned from Asteroid Itokawa
海老原充(首都大東京)他
小惑星イトカワから回収された粒子の中性子放射化分析
【概要】
中性子放射化分析の結果、重要な元素の含有量が求められ、太陽系最初期に起きた元素の分別過程を保存している事が判明した。

Author: Tsuchiyama et al (Manuscript number: 1207807)
Three-dimensional structure of Hayabusa sample: Origin and evolution of Itokawa regolith
土`山 明(大阪大)他
はやぶさサンプルの3次元構造:イトカワレゴリスの起源と進化
【概要】
X線マイクロCTにより分析した微粒子の3次元外形は小さな重力しか持たない小惑星のレゴリスの特徴を有しており、レゴリス粒子の起源や進化が読み取れること、また、内部構造と構成鉱物の比率から、LL5あるいはLL6コンドライトに類似した物質である事が分かった。

Author: Noguchi et al (Manuscript number: 1207794)
Incipient space weathering observed on the surface of Itokawa dust
野口高明(茨城大)他
イトカワ塵粒子の表面に観察された初期宇宙風化
【概要】
微粒子のごく表面付近を特別な電子顕微鏡で観察した結果、宇宙風化によって作られた特有の元素を含む鉄に富む超微粒子の存在が確認された。これは宇宙風化の直接的証拠であり、LLコンドライトが宇宙風化を受けると、S型スペクトルをもつようになる事が明らかにされた。

Author: Nagao et al (Manuscript number: 1207785)
Irradiation history of Itokawa regolith material deduced from noble gases in the Hayabusa samples
長尾敬介(東京大)他
ハヤブサ試料の希ガスからわかった、イトカワ表層物質の太陽風および宇宙線照射の歴史
【概要】
微粒子に含まれる太陽風起源希ガス(ヘリウム、ネオン、アルゴン)の分析結果により、これら粒子がイトカワ表層起源であることを証明した。粒子が最表面に露出して太陽風に曝された期間は数百年から数千年である。一方、高エネルギー銀河宇宙線照射の影響は検出限界以下であることから、イトカワ表層物質が百万年に数十センチメートル以上の割合で宇宙空間に失われつつあることが分かった。

 

 


米ペンタゴン研究機関が取り組む「恒星間航行100年計画」

2011-09-07 07:07:00 | 佐鳥新の教授&社長日記

タイトル: 米ペンタゴン研究機関が取り組む「恒星間航行100年計画」

 

米国国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)は恒星間宇宙船の建設に取り組んでいる。米国軍の所属機関であるDARPAは同プロジェクトに十分な資金を持って取り組んでいる。中国網日本語版(チャイナネット)が報じた。

 DARPAと米国航空宇宙局(NASA)は協力して、2011年秋から恒星間航行100年プロジェクトを始めた。どのような機関でも、恒星間航行を推進するために必要な技術を開発できると証明しさえすれば、どのような技術でもDARPAが奨励金を出す。

 もちろん、この技術は想像上のアイデアではなく、実際の現実的な科学研究でなければならない。DARPAの職員はあるシンポジウムで、天文物理学者やエンジニア、SF作家にも知識の動員協力を乞い、実際に有人での恒星間航行の実現方法を模索している。現在、登録はすでに終わっており、DARPA1111月、受賞アイデアを公開する予定だ。

 米国航空宇宙局のアメーダス研究センターの主任によれば、「100年恒星間航行プロジェクト」のおもな目的は100年以内に宇宙飛行士をそのほかの星にまず片道で送り込むことだ。DARPAの戦略技術事務室の職員は、「今回のプロジェクトは恒星間の宇宙船の構築方法に関するだけではなく、より多くの科学技術や新しいコンピュータープログラム、物理や数学、哲学、宗教観などの推進が期待できる」と述べた。(編集担当:米原裕子)

 

出典: http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110906-00000026-scn-sci