飛び出せ! 北の宇宙基地

北の地である北海道で、人工衛星の開発などを行っている 北海道工業大学 佐鳥研究室の活動日記です。

読書メモ(相対論的量子力学)

2008-02-27 07:55:44 | 佐鳥新の教授&社長日記
ディラック方程式、つまり相対論的量子力学を平易にきっちりと解説してある教科書として紹介したい書籍の中の一冊である。
私がこの書籍と出会ったのは学部2年生の後期の時で、当時は理論物理を目指していた友人達と図書館でこの本で輪講をやったものだ。その後の進路は様々だったが、ここまで言ったら相手が傷つくのではないかという配慮など全くせず、お互いに一切の妥協や感情論を入れずに徹底的に議論しあったことが懐かしい。

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書 名: 相対論的量子力学
執筆者: 西島和彦
出版社: 培風館


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第1章 Dirac方程式
・自然単位
・非相対論的量子力学
・Klein-Gordon方程式
・荷電粒子に対するKlein-Gordon方程式
・Dirac方程式の導入
・Weyl方程式の導入
・Dirac方程式の相対論的共変性
・Dirac行列の性質
・自由粒子に対するDirac方程式
・静電磁場におけるDirac方程式
・負エネルギー解の物理的解釈 
・中心的静電場におけるDirac方程式の解
・断面積の定義
・外場によるDirac粒子の散乱
・電子・電子散乱
・空孔理論におけるDirac粒子の散乱

第2章 電磁場の量子論
・古典電磁力学の正準形式
・電磁場の量子化
・電磁場と電子との相互作用
・摂動論

第3章 電磁場の量子論の応用
・輻射の放出と吸収
・摂動論の改良と共鳴散乱
・光電効果
・Thomson散乱
・非相対論的近似における光子の散乱
・Klein-Nishinaの公式

第4章 散乱の一般論
・散乱問題と因果律
・散乱振幅の部分波展開
・Born近似
・S波散乱の例題
・effective rangeの理論
・S行列と束縛状態
・Fredholm理論の応用
・重心系と実験室系
・スピン依存力
・同種粒子
・Lippmann-Schwinger方程式
・組み替え反応の理論

付録
A.時間反転
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宇宙関連情報: 衛星で高速通信利用も 総務省、情報格差是正で

2008-02-25 08:43:06 | 北海道衛星
 総務省の「デジタル・ディバイド解消戦略会議」は7日、ブロードバンド(高速大
容量)通信や携帯電話を全国どこでも使えるようにするための第一次報告書案をまと
めた。衛星を活用し、離島や山間部にも高速インターネット通信を広げることなどを
盛り込んだ。

 携帯電話の電波が届かず、「圏外」と表示されることも多い高層ビルや地下街で
は、ブロードバンド通信によって携帯の通信網につなぐ簡易な超小型基地局の普及を
目指す。無線局の免許を持たない個人や商店でも設置できるように、2008年度中に現
行制度を見直す。

 ブロードバンド通信網の整備と一体で、(1)地上放送のデジタル化(2)携帯の通信地
域拡大(3)防災のための情報基盤整備―を急ぐよう促した。(共同)


出典:http://www.spaceref.co.jp/

読書メモ(相対論の意味)

2008-02-23 10:27:04 | 佐鳥新の教授&社長日記
本書(The Meaning of Relativity)はアルバート・アインシュタインが1921年の5月にプリンストン大学で行った講義をまとめて1922年にプリンストン大学出版からその初版が発行されたものだ。

アインシュタインが特殊相対性理論を発表したのは1905年、そして一般相対性理論を発表したのは1915年であったが、その後、これらの理論が次々と実験によって確認された。現在では、特殊相対性理論による時間の遅延現象や一般相対性絵理論が予言しているブラックホールの存在も常識となっている。微分幾何学(当時はリーマン幾何学)の扱いも現在では直感的に理解できる形に整備されているが、当時は未だ数式の羅列のようであった。“創造性”と“時代精神” が感じられる。

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書 名: 相対論の意味
執筆者: アインシュタイン
出版社: 岩波書店


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相対論以前の物理学における空間と時間
特殊相対性理論
一般相対性理論
一般相対性理論(続き)
第二版への付録
付録II 非対称場の相対論
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宇宙関連情報: 米衛星破壊

2008-02-21 19:30:31 | 北海道衛星
【ワシントン=山本秀也】AP通信によると、米海軍は日本時間の21日午後零時半すぎ、地球の周回軌道上で制御不能に陥っていた米軍事偵察衛星に対し、ハワイ西方沖の太平洋に展開したイージス艦から高高度用の迎撃ミサイル(SM3)を発射した。弾頭は大気圏外で衛星に命中し、迎撃ミサイルによる初の衛星破壊に成功した。

 米国防総省で破壊の効果を検証している。衛星には有毒物質の「ヒドラジン」が燃料として搭載されており、燃料の処理や破片(デブリ)の飛散状況が検証対象となる。

 衛星の破壊を前に、連邦航空局などは、衛星が通過するハワイ沖の空海域を危険エリアに指定。米スペースシャトル「アトランティス」が20日午前(日本時間同深夜)、ケネディ宇宙センターに帰還したことで、衛星破壊の実施に向けた条件が整っていた。


http://sankei.jp.msn.com/world/america/080221/amr0802211322012-n1.htm

宇宙関連情報: 宇宙で結婚式を挙げる

2008-02-20 21:30:08 | 北海道衛星
宇宙連合の学生諸君に耳寄りの情報です。

結婚式のプロデュースを行うファーストアドバンテージと宇宙事業会社のロケットプレーン・キスラー・ジャパンは2月19日、業務提携を結び、宇宙ウエディングビジネスに参入すると発表した。ファーストアドバンテージ内に「宇宙ウエディング事業部」を設け、今後は宇宙における結婚関連ビジネスを開発していくと発表した。具体的な商品内容については4月ごろに発表し、実際に結婚式ができるのは2010年を予定しているという。

上空100キロ以上の宇宙空間まで到達したところで結婚式を挙げるという。飛行時間は約1時間で、「無重力の時間が5分ほどあるため、その間に指輪交換などが考えられる。また宇宙服用のウエディングドレスも用意している」(ファーストアドバンテージ)という。価格は未定だとか。

出典: http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080220-00000012-zdn_mkt-bus_all

宇宙用小型ハイパースペクトルセンサ研究開発方針

2008-02-19 08:15:39 | 佐鳥新の教授&社長日記
昨年末にUSEFからの依頼もあり、2015年までの北海道衛星プロジェクトとしてのハイパースペクトルセンサーの開発方針をまとめた。今回は大学院生のS藤君とA柳君にも手伝ってもらった。

小型衛星搭載用のリモートセンシングの画像センサーで、重量10kg程度のものを想定している。現在開発しているHSC1800というハイパースペクトルカメラを宇宙用センサーのブレッドボードモデルと位置付け、まずその宇宙用モデルであるHSC3000を開発する。この開発を通して、宇宙用ミッション機器としての技術を確立する。HSC3000の開発に着手した1年後から、C-MOSセンサーのドライブ回路を自主開発する。HSC1800の光学センサー(CCD)をC-MOSセンサーに置き換えたモデル(HSC3100)を開発すれば、これは衛星リモートセンシングにそのまま実用化することができる。世界で十分競争力のある宇宙用センサーとなるだろう。

もしこれが国家プロジェクトならばHSC3100に着手するだろうが、私達はもっと手堅く段階を踏みたいと思う。


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タイトル:宇宙用小型ハイパースペクトルセンサ研究開発方針

第1章 ハイパースペクトルセンサの開発動向
1-1 北海道におけるハイパースペクトルの研究
1-2 ハイパースペクトル技術とは
1-3 衛星搭載用ハイパースペクトルセンサ
1-4 ハイパースペクトルセンサの技術動向

第2章 ハイパースペクトルリモートセンシングの潜在市場
2-1 リモートセンシング市場
2-2 スピンオフ市場

第3章 ハイパースペクトルカメラ
3-1 概要
3-2 原理
3-3 ハードウェア構成
3-4 ソフトウェア
3-4 校正
3-4 性能評価
3-4 その他

第4章 宇宙用小型ハイパースペクトルセンサの開発ロードマップ

第5章 宇宙用小型ハイパースペクトルセンサの概念設計
5-1 仕様案
5-2 システム構成
5-3 重量・電力管理表
5-4 衛星インターフェース
5-5 軌道上実験計画
5-6 機能確認モデル (HSC1800)
5-7 開発体制
5-8 開発スケジュール

第6章 まとめ
参考文献

卒論発表会

2008-02-18 21:54:28 | 佐鳥新の教授&社長日記
18日~19日は電気電子工学科の卒論発表会である。
私の研究室の発表は19日の10:00からだ。今年はレーザー通信2件とハイパースペクトル計測3件の計5件の発表となる。
ハイパースペクトル計測では、花が開花した直後に、植物の光合成能力を示す正規化植生指数(NDVI)がガクンと低下するという興味深い結果が出ている。

実験室の引越し準備

2008-02-17 22:23:27 | 佐鳥新の教授&社長日記
休日ではあったが、16日、17日の2日間は実験室の引越しの準備として、私の研究室に運び込む物品を移動させた。大学の近くの物件を借りてハイパースペクトル計測の実験室にしていたのだが、大学の実験室に空きができたので引越すことにしたのだ。この方が情報が集約されるので研究の効率がもっと良くなるだろう。
本格的な引越しは今週末の22日に行う予定である。

宇宙関連情報: ロケットの「ゴミ」拾います 船舶事故防止へ

2008-02-16 10:07:58 | 北海道衛星
出典: http://www.asahi.com/special/space/TKY200802020221.html
・ロケットの「ゴミ」拾います 船舶事故防止へ 宇宙機構
(2008年02月03日15時49分)

 ロケットが落とす「ゴミ」は確実に回収し続けます――。宇宙航空研究開発機構は
ロケットが飛行中に捨てる先端部の覆いの回収に、15日打ち上げ予定の国産大型ロ
ケットH2A14号機でも挑む。船舶にぶつかり事故につながるのを防ぐためで、こ
れまでの発見率は100%。「世界的にも珍しい取り組み」(宇宙機構)だという。

 ロケット先端部に積まれる人工衛星などは「フェアリング」という覆いで保護され
る。H2Aの覆いはアルミ製で6種類(長さ12~16メートル、直径約4メート
ル)。打ち上げ後、高度100キロほどに達した時点で外れて海に落ちるが、沈まず
に、破片が海上を漂うこともある。

 事故防止のため、01年のH2A初飛行時に「回収」の方針を決定。覆いに発信器
をつけ、捜索・回収してきた。
[写真]http://www.asahi.com/special/space/images/TKY200802020222.jpg