飛び出せ! 北の宇宙基地

北の地である北海道で、人工衛星の開発などを行っている 北海道工業大学 佐鳥研究室の活動日記です。

読書メモ(善の研究)

2009-11-28 07:00:00 | 佐鳥新の教授&社長日記
本書に書かれている「純粋経験」という概念は、人間がモノと精神を超越して(包含して)実在そのものを受け止める瞬間を捉えた表現である。インスピレーションを受けた瞬間の心の状態といっても良いだろう。非常に良く分かる。
20年以上前(大学院博士課程の頃)に読んだ本だが、「当為の科学」を中心とする私の思想形成に影響を与えてくれた一冊である。
-------------------------------------------------------------
書 名: 善の研究
執筆者: 西田幾多郎
出版社: 岩波文庫


-------------------------------------------------------------
第1編 純粋経験
1.純粋経験
2.思惟
3.意志
4.知的直観

第2編 実在
1.考究の出立点
2.意識現象が唯一の実在である
3.実在の真景
4.真実在は常に同一の形式を有っている
5.真実在の根本的方式
6.唯一実在
7.実在の分化発展
8.自然
9.精神
10.実在としての神

第3編 善
1.行為 上
2.行為 下
3.意志の自由
4.価値的研究
5.倫理学の諸説 その1
6.倫理学の諸説 その2
7.倫理学の諸説 その3
8.倫理学の諸説 その4
9.善(活動説)
10.人格的善
11.善行為の動機(善の形式)
12.善行為の動機(善の内容)
13.完全なる善行

第4編 宗教
1.宗教的要求
2.宗教の本質
3.神
4.神と世界
5.知と愛



読書メモ(宇宙開発戦争)

2009-11-27 07:00:00 | 佐鳥新の教授&社長日記
-------------------------------------------------------------
書 名: 宇宙開発戦争
執筆者: ヘレン・カルディコット  グレイグ・アイゼンドラス
出版社: 作品社


-------------------------------------------------------------
序章 進む宇宙軍事化とビジネスの無限の可能性の狭間で
1.冷戦と衛星の軍事化
2.衛星の民間利用の可能性-----ビジネスのための新たな開拓地
3.現在の宇宙開発政策-----米国の新たな宇宙政策
4.21世紀の平和的な宇宙開発のために

第I章 宇宙開発の歴史-----軍拡競争と商業利用という両輪
1.米ソの宇宙開発競争-----軍事的優位と商業的可能性
2.米ソの開発協力
3.衛星の軍事利用と商業利用
4.衛星による相互監視と軍事的相互抑止
5.国連を中心にした宇宙軍拡への歯止め
6.「宇宙法原則宣言」と「宇宙条約」
7.宇宙に関するその他の協定や条約
8.ピンポイント攻撃-----衛星による兵器誘導
9.ふたたび動き出したミサイル防衛システム

第II章 発展する宇宙ビジネス-----生活に不可欠となった衛星機能
1.宇宙開発とグローバリゼーション
2.宇宙ビジネスの無限の可能性-----1ドルの投資に7ドルの経済効果
3.グローバルな通信システムの出現
4.衛星による位置測定と誘導
5.GPSの商業性と軍事性
6.欧州「ガリレオ計画」、ロシア「GLONASS」-----GPSへの対抗計画
7.気象観測-----衛星打ち上げビジネスを独占する欧州とロシア
8.宇宙の科学的探査
9.米国による月と火星への有人飛行計画

第III章 ミサイル防衛構想-----その不可能性と軍需産業の思惑
1.大陸間弾道弾(ICBM)と「相互確証破壊」(MAD)
2.ミサイル防衛システムとは?
3.“おとり”を識別できない防衛システム
4.ミサイル防衛計画の困った副産物
5.レーガンの「戦略防衛構想」(SDI)
6.「スターウォーズ計画」と宇宙軍需産業
7.ブッシュ(父)と「GPALS構想」
8.クリントンと「TMD構想」と「NMD構想」
9.ブッシュ(子)による新たなNMD早期配備
10.「テロとの戦い」のために「弾道弾迎撃ミサイル制限条約」から撤退?
11.ブッシュ(子)のミサイル防衛計画の有効性
12.ミサイル防衛費に費やしてきた国家予算
13.北朝鮮の核ミサイルは、迎撃できるか?
14.イランの核ミサイルへの先制攻撃
15.米国のミサイル防衛の標的-----仮想敵・中国
16.宇宙の攻撃的軍事利用に突き進む米国

第IV章 米国が推し進める宇宙兵器配備-----その全貌と実態
1.米国の「全方位支配」戦略
2.宇宙システムの防衛
3.新たな「包括的ミサイル防衛構想」-----宇宙兵器配備による全方位支配
    ※宇宙配備レーザー
4.宇宙での実験計画
    ※宇宙空間迎撃機試験用プラットフォーム、宇宙赤外線システム
5.ミサイル防衛計画のごまかしと嘘
6.宇宙兵器
    ※電波妨害、高出力マイクロ波兵器、動力学的エネルギー攻撃、小型衛星(衛星迎撃・衛星査察・宇宙機雷)、近接場赤外線監視衛星、軍事宇宙往還機、低軌道上の核兵器開発
7.宇宙に兵器配備された世界は、どのようなものになるのか?
8.破壊される宇宙環境-----デブリ
9.無線周波数・軌道位置をめぐる問題
10.増加する軍事衛星
11.21世紀は、宇宙戦争の時代になるか?

第V章 宇宙の恒久平和のために
1.宇宙兵器配備の阻止に向けて
2.エネルギー資源の逼迫(ひっぱく)と衛星による探査.
3.増大する軍事費と貧困問題
4.宇宙の情報公開
5.宇宙の国際的管理のための「衝突防止法」を
6.宇宙兵器禁止に向けて-----積極的なカナダ・ロシア・中国
7.これまでの宇宙に関する国際条約
8.国際条約は、宇宙兵器の配備を阻止できるか?
9.国連での動き
10.米中関係-----戦争ゲームからの脱却
11.米下院と国連事務総長に提出された宇宙兵器禁止条約案



読書メモ(サルでもわかる 日本核武装論)

2009-11-26 07:00:00 | 佐鳥新の教授&社長日記
本書は政権交代の2ヶ月前(2009年7月)に発刊となった書籍である。当時の世界情勢を思い出しながら読むと面白い。
核兵器は実際には使わない兵器だが、外交で強い立場で交渉するためには不可欠なものだという。国防に関する田母神氏らしい鋭い視点が随所に感じられる。

--------------------------------------------
書 名: サルでもわかる 日本核武装論
執筆者: 田母神 俊雄
出版社: 飛鳥新社


--------------------------------------------
1.プロローグ いまこそ“国の護り”を
 ・米中の真の懸念は北朝鮮より日本の核武装
 ・奇怪な朝日・読売の報道合戦
 ・おめでたい日本の政治家

2.「北の核」に日本はどう備えるのか
 ・北朝鮮の外交戦略は正しい
 ・国際関係のなかの核武装戦略
 ・自称「保守」論陣を疑う
 ・日本の安全保障を真剣に考える政治家がいない
 ・東京が核攻撃されたらどうなる?

3.日米安保はどこまで信用できるか
 ・「核の傘」は存在するのか
 ・アメリカの「核の傘」はすでに変質した
 ・「抑止」と「対処」は異なる
 ・北のミサイルは断固撃墜せよ!
 ・敵基地攻撃能力が必要だ
 ・国益はどこにあるのか?

4.中国の核にどう対処するのか
 ・憲法はもう破綻している
 ・覇権国家・中国が狙っているもの
 ・通常兵器では、まだ中国を圧倒している日本
 ・アメリカが日本を見捨てる日

5.いまこそ総理のリーダーシップを
 ・オバマ大統領の核廃絶宣言の真意
 ・NPT体制の矛盾
 ・総理の決断と指導力が必要だ
 ・減り続ける国防費に危機意識を

6.真の平和はバランス・オブ・パワーで成立する
 ・国防の考え方
 ・南西諸島の護りは喫緊の国民的課題
 ・中国の野心を封じる南西諸島の自衛隊基地建設
 ・中国は核軍拡から海洋軍拡へ進む
 ・現実を直視し、自立した自衛観を
 
7.日本人は自力でマインドコントロールから脱却せよ
 ・世界が核武装していった歴史を正しく理解する
 ・忍び寄る中国の“対日工作”の罠
 ・七十数名の“文化人工作員”
 ・アメリカとは決然とした意志を持って交渉せよ
 
8.日本・核武装へのロードマップ
 ・「ニュークリア・シェアリング」を急げ!
 ・日本のケースではどうあるべきか
 ・最小限の核武装と攻撃力の整備
 ・核武装はリーズナブルな選択
 
9.防衛産業を保護育成しなければ国は危うい
 ・危機に瀕する日本の防衛産業
 ・武器輸出はメリットばかり
 ・日本製4WD車はアフリカでは“貧者の戦車”
 ・技術的には世界のトップレベル

10.エピローグ もう時間は残されていない


読書メモ(銀河II)

2009-11-25 07:00:00 | 佐鳥新の教授&社長日記
銀河の構造や中心のある巨大ブラックホールの話はディスカバリーチャネルやNHKスペシャルでは良く見ていたが、専門書として読んでみると奥の研究であることが実感される。
まだ半分ぐらいしか読んでいないが、ブログで紹介することとした。
-------------------------------------------------------------
書 名: 銀河II
執筆者: 祖父江義明 有本信雄 家正則
出版社: 日本評論社


-------------------------------------------------------------
第I部 銀河系
第1章 銀河系の概観
1.銀河系と銀河の発見
2.さまざまな波長で見た銀河系
3.基本的な観測量
4.銀河としての銀河系

第2章 銀河系の構造
1.銀河系の構成成分
2.銀河系の運動
3.銀河系の3次元構造
4.銀河系の質量分布とダークマター
5.銀河系の磁場構造

第3章 銀河系中心
1.電波で見た銀河中心
2.赤外線で見る銀河中心
3.X線、ガンマ線で見る銀河中心
4.銀河中心の動力学
5.中心核

第4章 銀河系の形成と進化
1.銀河系の描像
2.構成の種族と年齢、金属量
3.銀河系の構造形成
4.銀河系の化学進化

第II部 局所銀河群と構成銀河
第5章 局所銀河群と構成銀河
1.局所銀河とは
2.局所銀河群の空間分布と動力学
3.局所銀河群のおもな構成銀河
4.局所銀河群のこれから

第6章 矮小銀河
1.矮小銀河の性質
2.矮小銀河のダイナミックス
3.矮小銀河の形成と進化

第7章 マゼラン雲
1.大小マゼラン雲
2.マゼラン雲の星間物質
3.星形成、スターバースト、30Dor
4.マゼラン雲の力学、棒状構造、ダークマター
5.マゼラン雲流、高速度HI雲
6.銀河系との相互作用
7.マゼラン雲と局所銀河群

第III部 銀河系と銀河の動力学
第8章 重力ポテンシャル論と恒星系力学
1.重力ポテンシャル論と銀河の形状
2.恒星系力学
3.力学平衡
4.銀河の構造と運動の流体近似
5.ジーンズ方程式とビリアル定理
6.動力学

第9章 渦状構造論
1.銀河の渦状構造の理論:密度波理論
2.渦状腕の発生と成長
3.銀河衝撃波理論
4.渦状腕理論の数値的検証


読書メモ(宇宙の観測I)

2009-11-24 07:00:00 | 佐鳥新の教授&社長日記
本書は赤外天文学の観測機器に関する書籍である。
私には赤外天文というよりはむしろ赤外線計測の最先端技術という意味で興味深いものがあった。ハイパースペクトル技術の勉強にもなるので、佐鳥ゼミの学生にはぜひ読んで欲しい。
-------------------------------------------------------------
書 名: 宇宙の観測I
執筆者: 家正則 岩室史英 舞原俊憲 水本好彦 吉田道利
出版社: 日本評論社


-------------------------------------------------------------
第1章 光・赤外天文観測の歴史
1.望遠鏡と観測装置
2.スペースへの展開

第2章 天体からの光・赤外放射
1.連続光
2.スペクトル線
3.天文観測への地球大気の影響

第3章 光学系の基礎
1.ガウス光学
2.ザイデル収差
3.代表的光学系
4.回折限界・干渉

第4章 可視光・赤外線観測
1.撮像と測光
2.分光
3.偏光

第5章 地上望遠鏡とスペース望遠鏡
1.地上望遠鏡
2.上空からの天体観測
3.関連共通技術

第6章 検出器と光学素子
1.可視光・赤外線検出器
2.フィルター
3.プリズム
4.回折格子
5.グリズム
6.偏光素子
7.光ファイバー
8.イメージスライサーとマイクロレンズアレイ
9.光源
10.光学素子の精度、光学仕様

第7章 観測装置
1.真空冷却関連技術
2.天体観測装置
3.補償光学と位相補償
4.光干渉計

第8章 観測データの解析
1.天文観測データ
2.観測手法と1次処理
3.物理量の測定
4.分光データの評価と物理量測定

第9章 データベース天文学
1.はじめに
2.天文データベースの現状と将来
3.バーチャル天文台


読書メモ(宇宙論I)

2009-11-23 17:46:47 | 佐鳥新の教授&社長日記
宇宙論の現象論的側面と数学モデルの説明と式の導出がきちんと書かれていて大変興味深く読ませて頂いた。お奨めの一冊です。
-------------------------------------------------------------
書 名: 宇宙論I
執筆者: 佐藤勝彦 二間瀬敏史
出版社: 日本評論社


-------------------------------------------------------------
第1章 宇宙論入門
1.現代宇宙論の歴史
2.宇宙の階層構造
3.宇宙の物質史

第2章 相対論的宇宙論
1.一様等方宇宙モデル
2.フリードマン方程式の解の振る舞い
3.相対論的赤方偏移
4.宇宙論パラメータ
5.距離-赤方偏移の関係
6.宇宙論的地平線
7.地平線問題
8.平坦性問題

第3章 宇宙の熱史
1.膨張宇宙における物質の放射と進化
2.クオーク-ハドロン相転移
3.平衡条件と宇宙の温度
4.膨張宇宙における粒子数の発展方程式
5.対消滅の凍結による粒子数密度の決定
6.脱結合後の分布
7.ニュートリノの脱結合
8.軽元素合成
9.宇宙の晴れ上がり

第4章 ビッグバン元素合成
1.軽元素合成の基礎
2.軽元素の観測
3.標準ビッグバン元素合成とバリオン数
4.ビッグバン合成元素とレプトン数
5.ビッグバン合成元素とニュートリノ世代数
6.非一様な元素合成

第5章 素粒子理論と初期宇宙
1.素粒子の標準モデル
2.超対称性理論
3.大統一理論
4.位相的欠陥
5.バリオン数生成
6.ダークマター
7.ダークエネルギー

第6章 
1.歴史的背景
2.地平線問題と平坦性問題の解決
3.スカラー場のダイナミックス
4.インフレーションのモデル
5.宇宙の再加熱
6.古典的量子ゆらぎの生成
7.線形密度ゆらぎのゲージ不変な解析
8.ゆらぎの発展方程式と長波長解
9.ゆらぎの発展・保存量
10.インフレーション宇宙における曲率ゆらぎの生成と発展

第7章 量子重力と量子宇宙論
1.特異点定理と量子重力の必要性
2.トンネル波動関数と無限境界条件仮説
3.超弦理論と高次元宇宙
4.ブレーン宇宙論

ハイパースペクトル応用学会 第1回講演会

2009-11-20 10:56:08 | 北海道衛星
皆様におかれましては、ますますご清栄のことと心よりお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、宇宙空間産業研究会では、2010年1月15日に【ハイパースペクトル応用学会第1回講演会】を開催させていただく事になりました。 つきましては、皆さまのご参加をお待ちしております。尚、当講演会は、事前予約制となっています。

◇会期  平成22年1月15日(曜日) 13:30から17:10
◇会場  TKP東京駅ビジネスセンター2号館 カンファレンスルーム29F
 ◆住所 東京都中央区八重洲1-5-3 不二ビル
 ◆アクセス
  [東京駅]八重洲北口 徒歩2分 [日本橋駅]A3出口 徒歩1分 [大手町駅]B10番出口 徒歩1分
◇会費 2000円 事前予約制



「当為の科学」の一考察

2009-11-19 21:28:16 | 佐鳥新の教授&社長日記
「当為の科学」の一考察

※仲村智氏の寄稿文を転載


西田幾多郎を参考に当為の科学とは何かを考えよう。主な参考「思索と体験」:法則

(1) 存在の法則と規範の法則
 現代科学では、法則といえば存在はどのようにふるまうかという存在の法則を意味する。しかし、歴史的に言えば、神の意志がどこにあるかという規範の法則が主流だった。これが、ひっくり返ったのはニュートン以後である。
しかし、ニュートン自身は神の意志を知ろうとしてニュートン力学を創造したのである。ニュートン力学があらゆる物理現象を説明するので、存在はどのように振る舞うかを説明するニュートン力学だけで済まして、神の存在は忘れ去られ、存在の法則の時代が来たのである。
 規範の法則の代表は道徳の法則である。何が善で何が悪かを決める法則である。そして、何が善かを本当に深く知るとそれが動機となって善を実践せざるを得なくなるのである。

(2) 統一とは何か
 ここでよく西田が用いる「統一」という言葉を理解しよう。
 夢を無視するとしたら寝ている意識状態は統一されていない。目が覚めた時自分が寝室にいることに気づく。「ここは寝室である」と気づくためには、寝室の特徴を知覚しなければならないが、その為には知覚の統一が必要である。つまり、知覚を可能にしているのが意識の統一力なのである。西田は夢にも統一力を認めている。
 知覚のみならず、あらゆる目的をもった意識現象は統一されている。スポーツにおいてはチャンピオンになることに意識が統一されている。ここまで達成できなければ死んでも死にきれないという人生事業においても一生を貫く統一力が働いている。

(3) 当為とは何か
 西田は次の通り当為を定義している。「余はすべて当為ということは己自身を実現しようとする一般者の努力であると思う。」一般者とは潜在的主体と言ってよいだろう。この潜在的主体の努力の結果一般者の自発自展が起き、それを当為というのである。道徳的当為では一般者は良心のことである。良心により行為が定まり展開していく。論理的当為とは、思考の法則のことで、即ち、同一律、矛盾律、排中律のことである。正しく考えるためには従わなければならない命令である。その結果正しい思考が発展していく。当為は命令的であるが、必ずしも守られるとは限らない。
 当為には深さがある。道徳的当為においては善が出現しないのは心の浅いところまでしか掘っていないからである。最も深い動機から出現するのは善である。

(4) 事実的認識も当為である
 通常は五感に映ったものを事実と解釈する。日常生活にはそれで不便はない。しかし、現代物理学、特に量子論や相対性理論は五感が間違っていることを明確に証明した。通常の科学では事実認識は人間の意識とは関わらない客観的なものだと思われている。しかし、現代科学は認識主体の存在を忘れている。認識は脳で行われていると思われているが、現代科学によれば脳も原子の集まりである。原子の集まりで認識が可能になるのは説明しがたい。
 それでは、事実認識とは何かを考えてみよう。通常は主観が白紙で、それに3次元空間の物体が五感を通して映ったのが事実と考えられている。そこで、真なる事実認識は主観と客観の両方を含めて考えねばならないだろう。現代科学の常識では時間空間は人間の主観から切り離されて存在するものと考えられている。しかし、カントは時間空間は人間の主観側に有る純粋直観と考えた。つまり、人間は時間空間という色眼鏡を通してのみ世界を認識しているのだと考えたのである。時間空間はあくまでも人間側に属する直観なのである。西田はさらに、時間空間は人間が経験を整理する枠組みの一つに過ぎないと考えている。時間空間以外の例はまだ読んだことはないが、考えるならば、経験の整理の仕方はいくらでもあると考えているようだ。
 それを踏まえた上で知覚を次のように定義している。「具体的なる現実の知覚は既にそれ自身の統一に依って成立する自発自展の作用である。」したがって、知覚も自発自展する当為なのである。普通には黒色のものを見たとき、時間空間の中の黒色と見る。しかし、西田は時空構成以前の知覚を言っているのである。そのとき、黒色は外部に有るのではなく知覚の内部にあって、それが自発自展したというのである。五感が刺激され脳に情報が伝わって知覚になるというのは間違いである。
 よって、知覚による事実認識も当為ということになる。
 最初に存在の法則と規範の法則があると言ったが、存在の法則は存在がいかに振る舞うかであるという法則と解釈したが、事実認識も当為ということになると存在の法則は消えて、規範の法則のみが残ることになる。現代科学では存在の法則が主流だが、主観を含めた科学を考えると規範の法則が法則の典型となる。

(5) 事実と法則の関係
 西田は事実と法則次のように定義している。「余はすべて経験が統一の状態にあるときが事実であって、或る一つの経験が中心となって他を統一し行く時、すなわち或る一つの経験が己自身を発展し行く時、この中心的経験が法則とみなされるのであると思う。」
 すなわち、経験の統一があったとき統一される側が「事実」で、統一する側が「法則」であるということである。
 統一の例としてニュートン力学を挙げてみよう。ニュートンの運動方程式が法則である。それに事実の一つとして自由落下がある。中心的経験というのはニュートンの運動方程式であり、一つの事実が自由落下である。また別の事実として放物線の運動がある。これもニュートンの運動方程式が適用され統一される。惑星の運動も一つの事実である。この場合はニュートンの運動方程式のほかに万有引力の法則があって統一される。このように、ニュートンの運動方程式は多くの事実に適用できる。すなわち統一できる。

(6) 事実と法則の相対性
 通常は「事実に対して法則がある。」ということで完結していたが、西田に従うと事実と法則は相対的である。ある法則があったとしても、その法則を事実とみなす上位の法則があることになる。そして、さらにこの法則を事実とするさらなる上位の法則があると無限に続く。ニュートンの運動方程式を事実とする上位の法則があることになる。しかし、もっと厳密に考えると、ニュートンの運動方程式はミクロの世界でシュレディンガー方程式に取って変わられ、さらに相対性理論に適合するようにディラック方程式に取って代わられた。
 今では素粒子論において場の一元論が主流で、4種の相互作用があることが分かっている。重力相互作用、電磁相互作用、強い相互作用、弱い相互作用の4種である。これらの法則を事実とする上位の法則を発見することが課題となるだろう。現に超弦理論はそれを目指している。さらには、主観も考慮した統一理論も課題となる。最も難しいのが「統一」と「自発自展」の数学的表現である。これは大きな課題である。

(7) 当為の科学
 現代科学の最大の欠点は主観を説明できないことである。観念論的に主観を考慮すると、存在の法則は無くなり、規範の法則のみが法則となる。事実の知覚も当為となるのである。したがって、法則の研究は当為の研究となる。当為とは潜在的主体の自己実現であり、個人にとっては内から来る命令である。当為の科学は、その振る舞いや構造を研究することになるのである。

月に大量の水があることが確認された

2009-11-14 14:22:12 | 佐鳥新の教授&社長日記
遂に月(Moon)に水があることが確認された。
2020年から始まる月面探査と月面基地建設計画が本格的になることは間違いない。
いよいよ宇宙時代が始まるのだ。


---------------------
月に大量の水存在 NASAが確認、将来の宇宙基地に道

 【ワシントン=御調昌邦】米航空宇宙局(NASA)は13日、月に水が存在することを示すデータを入手したと発表した。月面の太陽光が当たらないクレーターの底に、無人探査機「エルクロス」を衝突させ、巻き上がった噴出物を分析した。水の存在を確認できたことは、将来の月を利用する宇宙基地に道を開く可能性がある。

 NASAによると、水の存在を確認したのは、月の南極付近にある「カベウス」というクレーター。10月9日にエルクロスに搭載していたロケットが最初に衝突、約5分後に秒速2.4キロメートル(時速約8700キロメートル)以上で同探査機も衝突させ、計2回の衝撃を与えた。

 衝突で発生した噴出物はクレーターの縁を越える高さまで上昇。それにより分光計などでデータ収集が可能になった。NASAの研究者が分析し「クレーターに水が存在すると言って間違いない」と結論づけた。(11:08)

出典:NIKKEI NET
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20091114AT2M1401814112009.html

UNISECのスタッフを募集しています!

2009-11-13 20:29:21 | 佐鳥新の教授&社長日記
私はUNISEC(NPO大学宇宙コンソーシアム)の理事を仰せつかっていますが、本日は事務局からの広告をお知らせします。
ぜひ、東京近郊に在住の方で、私たちのプロジェクトに参加してくださる方をお待ちしております。


-----------------
UNISEC事務局の竹内です。

このたび、UNISECでは以下の通り事務局の一員となってくださる方を募集することに
なりました!

どなたか適任と思われる方がいらっしゃれば、こちらのメールを転送ください。

どうぞよろしくお願い致します!

=====================================

● UNISECスタッフ募集のお知らせ ●

2010年3月からの正規雇用を前提とした募集になりますので、長期勤務を希望される
方を優先致します。
ご自身の考えを反映して業務を遂行できる環境ですので、好奇心をもって事にあたれ
る方の応募をお待ちしております!

<仕事内容>
・セミナー、ワークショップ、シンポジウム等開催の企画・運営
・会員の入退会管理、MLの立ち上げや管理
・講座、セミナー等の運営や入金管理
・共同購入のコーディネーション
・簡単な経理事務
・各種書類作成・発送
・取材・インタビュー
・ジャーナル作成
・PR活動
・その他事務局運営業務全般
(上記の内容のうち、能力・適性にあった業務を担当していただきます)

<勤務条件>
勤務日:月~金。(完全週休二日制、祝祭日休み)
(イベントの際には、土日の出勤をお願いすることもあります)
勤務時間: 9:00~18:00あるいは10:00~19:00(昼休み1時間)
勤務場所 :NPO法人大学宇宙工学コンソーシアム
       〒113-0032 東京都文京区弥生2-6-7-101
勤務期間:最低1年以上勤務が可能な方を希望します。
勤務開始日:12月1日(相談に応じます)


<応募条件>
年齢性別 :不問
必要スキル:パソコン・インターネット・Eメール等が使えること。
(多少わからないことがあっても、臆せず、自分自身で解決できること。)

<待遇>
時給1000円から1500円程度(能力、ご経験に応じて、ご相談のうえ決定いたします)
交通費支給 (1日1000円位まで)(応相談)

<応募要領>
履歴書(形式を問いません。市販のものでもけっこうです。写真貼付)および職務経
歴書(新卒の方は不要です)を電子メールで下記あてにお送りください。
書類選考のうえ、通過者に限り、当NPOが受理した日より2週間以内にご連絡いたしま
す。

応募締切:11月末日(消印有効)
送付先:office@unisec.jp
UNISEC事務局  担当:竹内・中村
〒113-0032 東京都文京区弥生2-6-7-101

※面接の際にかかる交通費については、応募者の負担となります。
※応募書類につきましては、本採用に関する目的にのみ使用するとともに、応募の秘
密厳守の観点から返却いたしませんので、予めご了承ください。