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北の地である北海道で、人工衛星の開発などを行っている 北海道工業大学 佐鳥研究室の活動日記です。

燃焼現象の2次元可視化:メタン火炎

2008-07-23 06:43:04 | 佐鳥新の教授&社長日記
タイトル : 燃焼現象の2次元可視化:メタン火炎
研究期間: 2008年4月
文責   : 佐鳥新(北海道工業大学)


1.概要

燃焼現象の2次元可視化法へハイパースペクトルカメラの撮影画像を応用することができる。1998年~1999年にハイブリッドロケットの燃焼反応領域を特定することを目的といて、紫外域のレーザー誘起蛍光法(LIF)によるOHや液晶チューナブルフィルターを用いたC2スワンバンドの2次元可視化実験を行った。反応領域ではOHとC2の発光分布に相関が見られたことから、C2をトレーサーとした可視域による計測が可能であることが分かっている。
その当時からの課題として、液晶チューナブルフィルターには、センサー部は小さいものの制御用パソコン等を含めると全体の実験装置が大掛かりになるという欠点があることから、ハイパースペクトルカメラのようなコンパクトで汎用性の高い計測器が望まれていた。

今回の実験では、温室効果ガスの一種でもあるメタンの燃焼火炎実験装置を用いてハイパースペクトルカメラ(HSC)によるメタンの火炎(全長約10mm)の撮影を行った。




図1 実験装置の構成




図2 発光スペクトル




図3 単波長表示による燃焼場の2次元可視化



2.展望

この実験を行った時点では露光モードが開発されていなかったので、やや不鮮明な画像となっているが、ハイパースペクトルカメラの有用性については十分確認することができた。露光モード(2008年4月下旬に開発した撮影機能)を用いて20-30回の撮影を行えば、無理なく鮮明な分光画像が得られるだろう。

更に、ハイパースペクトルデータをアーベル変換することにより、軸対称を仮定した火炎の空間分布(発光スペクトル特性)を取得することができることから、燃焼反応の理論モデルを評価できる可能性が十分期待できる。