7月に北海道で洞爺湖サミットが開催される。ここでは地球温暖化対策として2050年までに世界の二酸化炭素排出量を50%削減することを目標とする見込みだ。クリーンエネルギーの候補としてのプラズマ核融合について最近本を読み返しているので、何冊か紹介したいと思う。
「核融合のためのプラズマ物理」は500頁以上もある厚い本で、プラズマを加熱する際の波動の種類、プラズマの加熱、磁場によるプラズマの閉じ込め、拡散、不安定性現象、プラズマ計測の原理など、核融合プラズマを研究する上での一通りの知識が網羅されている。
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書 名: 核融合のためのプラズマ物理
執筆者: 宮本健郎
出版社: 岩波書店
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第1章 核融合炉の条件
1.1 エネルギー資源
1.2 核融合反応
1.3 ローソン条件および着火条件
1.4 核融合炉の輪郭
最2章 磁場構成
2.1 マックスウェルの方程式
2.2 磁気面
2.3 種々の磁場構成
2.4 トーラス面における回転変換角、シアー、磁気井戸
第3章 単一荷電粒子の運動
3.1 荷電粒子の運動方程式
3.2 軸対称系における粒子の軌道
3.3 ドリフト近似による粒子の運動の記述
3.4 案内中心の軌道
3.5 バナナ中心のドリフト
3.6 高周波電場における粒子の運動
第4章 クーロン衝突
4.1 エネルギー、運動量の変化
4.2 粒子ビームによるプラズマの加熱
4.3 二成分プラズマにおける温度の緩和時間
4.4 プラズマ中を運動する粒子の運動量変化
4.5 遁走電子
4.6 電気抵抗
4.7 デバイ遮蔽とクーロン対数
第5章 速度分布関数とプラズマの基礎方程式
5.1 位相空間と分布関数
5.2 ボルツマン方程式およびブラゾフ方程式
5.3 衝突項
5.4 ミラー磁場における速度空間での拡散(ミラー損失)
5.5 拡散テンサーと動的摩擦係数
最6章 電磁流体力学の方程式
6.1 巨視量に関する方程式の導入
6.2 電磁流体力学方程式
6.3 衝突項について
6.4 無衝突プラズマのC.G.L方程式
6.5 簡単化された電磁流体力学方程式
第7章 プラズマの平衡
7.1 圧力平衡
7.2 プラズマの流体力学的記述例
7.3 プラズマ中における粒子の移動
7.4 プラズマ平衡における諸関係式
7.5 トーラス系における平衡と自然座標
7.6 軸対称系およびヘリカル対称系における平衡の式
7.7 トカマクの平衡
7.8 ステラレーターの平衡とベーター比の上限
第8章 プラズマの拡散および閉じ込め時間
8.1 衝突頻度が大きい場合の拡散(古典拡散)
8.2 トカマク磁場における衝突頻度が小さい場合の拡散(新古典拡散)
8.3 ステラレーター磁場における拡散
8.4 揺動損失、ボーム拡散、対流損失
8.5 擬古典拡散
8.6 不純物イオンによる拡散
8.7 バナナ領域におけるブート・ストラップ電流
第9章 電磁流体力学的不安定性
8.1 交換不安定性およびソーセージ不安定性、キンク不安定性
8.2 電磁流体力学的不安定性の公式化
8.3 円柱プラズマの不安定性
8.4 トーラス系における局所モードの安定条件
8.5 抵抗不安定性
8.6 バルーニング不安定性
8.7 抵抗性ドリフト不安定性
最10章 冷たいプラズマにおける波および熱いプラズマにおける粒子と波の相互作用
10.1 冷たい無衝突プラズマの分散式
10.2 波の諸性質
10.3 二成分プラズマ
10.4 いろいろな波
アルベン波、イオン・サイクロトロン波、低ハイブリッド共鳴、
高ハイブリッド共鳴、電子サイクロトロン共鳴、その他
10.5 エネルギーの流れと近接性
10.6 静電波の条件
10.7 速度分布を持つ(熱い)プラズマにおける粒子と波の相互作用
第11章 熱いプラズマにおける波(静電波)
11.1 熱いプラズマ中の波の分散式
11.2 静電波の分散式
11.3 イオン音波、電子音波、バーンスタイン波
11.4 複流不安定性
11.5 不安定性に関するナイキストの判定条件
11.6 絶対不安定性とコンベクティブ不安定性
第12章 速度空間不安定性(静電的)
12.1 圧力勾配による不安定性
12.2 捕捉粒子不安定性
12.3 速度分布関数の非等方性による不安定性
12.4 クロス・フィールド不安定性
第13章 熱いプラズマにおける電磁プラズマ波
13.1 電磁プラズマ波の分散式
13.2 磁力線方向に伝播する波(whistler不安定性)
13.3 fire-hose不安定性とミラー不安定性
13.4 電磁流体力学的解析(磁気音波)
最14章 プラズマ加熱
14.1 ジュール加熱および高速中性粒子入射加熱
14.2 圧縮加熱
14.3 高周波加熱
14.4 非線形現象、統計過程
準線形理論、Manley-Roweの関係、ランダウ減衰
第15章 プラズマの診断
15.1 プラズマ中における種々の素過程
15.2 制動輻射
15.3 シンクロトロン輻射
15.4 電磁波のプラズマによる散乱
15.5 電磁波を利用した診断
15.6 粒子測定法
15.7 静電プローブおよび磁気プローブ
15.8 種々の測定法の適用範囲
第16章 高温プラズマの閉じ込め
16.1 プラズマ閉じ込め研究の発展経過
16.2 トカマク
トカマク型核融合炉
16.3 逆転磁場ピンチ
16.4 ステラレーター
16.5 開放端系
タンデムミラー
16.6 波動過熱による高温プラズマ生成
16.7 慣性閉じ込め
ペレット利得、爆縮
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