飛び出せ! 北の宇宙基地

北の地である北海道で、人工衛星の開発などを行っている 北海道工業大学 佐鳥研究室の活動日記です。

宇宙関連情報: 2012年の宇宙科学関連イベント

2012-01-31 07:00:00 | 佐鳥新の教授&社長日記

宇宙科学研究所からの情報を転載します。

 

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 年が改まって2012年となりました。昨年を振り返ると、やはり大きかったのは3月11日の大震災と、それに伴って発生した福島第一原子力発電所の事故でした。

 

私自身は年150回を超える講演に飛び回りましたが、科学者として社会に適切なタイミングで適切に情報発信していくことの難しさを改めて感じた一年でもありました。

 

 計画停電や節電要請への対応に加え、被災した筑波からも衛星が搬入される中で、展示室は一時閉鎖、ISASのウェブサーバーも頻繁にシャットダウンを余儀なくされましたが、イトカワ微粒子の初期解析への提供など各種の研究開発は大きな遅滞なく進められました。

 

また、そんな混乱の中で「はやぶさ」映画の制作は粛々と進められました。(制作会社3社とメーカー・JAXAのキーパーソンが管制室に集まって全体打ち合わせをしたのは震災2日後の3月13日のことでした)

 

夏の特別公開も、何とかやりくりして節電モードでの公開を行うことができました。願わくば今年は普通の年となってほしいものです。

 

 2012年は宇宙科学関連での国内からの大型ロケットの打ち上げ予定はありません。

観測ロケットや大気球などの小型飛翔体を用いた実験や、国際宇宙ステーションでの宇宙環境利用実験などが粛々と進められます。

 

広報普及の観点では派手な打ち上げの機会がないのは残念なことですが、ちょうど冬芽の中で翌春に芽吹く準備が着実に進められているのと同じように、2013年度の打ち上げに向けて開発が進む小型科学衛星SPRINT-AやX線天文衛星ASTRO-H、来年ESAへの引き渡しを予定している水星磁気圏探査機MMOなどの組立・調整が、相模原キャンパス内の飛翔体環境試験棟で重ねられています。

 

また、すでに運用を終了したプロジェクトでも、小惑星探査機「はやぶさ」をはじめ、月周回衛星「かぐや」や赤外線天文衛星「あかり」などでも、優れた成果が着実に挙がっています。

また、とかく大型プロジェクトに関心が集まりがちな中で、萌芽的な研究や研究室レベルでの個別の研究、要素技術開発などをご紹介するよい機会だともとらえるようにしています。

今年はこれらの取り組みや成果を、見える形でご紹介していきたいと思います。

 一方、日本の宇宙科学の歴史にとって節目となる行事が今年はいくつも予定されています。

その一つは「日本の宇宙開発の父」と称される糸川英夫先生の生誕百周年。そして、内之浦宇宙空間観測所と能代ロケット実験場の開所五十周年も控えています。五十年もたつと現役は当時のメンバーとほぼ完全に入れ替わります。諸先輩方が築きあげてきた歴史を風化させないためにも重要な行事だと位置付けています。

 

 また、今年は天文現象も盛りだくさんです。

5月21日の朝の金環日食では相模原や肝付、筑波などが金環日食帯に入るのをはじめ、6月4日には部分月食、6月6日には金星が太陽の前を横切る日面経過、8月14日の未明には金星が月に隠される金星食など、宇宙科学にも関連した興味深い現象が見られます。

 

 一般の関心の高い天文イベントは、ふだん宇宙に関心のない方にアクセスするためのまたとない機会です。実際、昨年12月10日の皆既月食の際にJAXA相模原チャンネル

(⇒ http://www.ustream.tv/channel/jaxa相模原チャンネル

を通じて行った月食中継は視聴者数が延べ68万人を記録し、その直前に相模原市立博物館で行った私の「皆既月食直前ガイド-月並みでない月の話」も、会場で生でお聞きになったのは150名程度でしたが、中継では9万人程度の方にご覧いただきました。

これらの影響で、平時のストリーミング映像の視聴者数も飛躍的に増えたようです。

今年もこのような機会を通じて宇宙ファンを増やしていきたいと思います。

どうぞご期待ください。

 

(阪本成一、さかもと・せいいち)

 


宇宙関連情報: “「きぼう」を見よう”スマートフォン向けページを公開

2012-01-30 07:00:00 | 佐鳥新の教授&社長日記

「きぼう」日本実験棟/国際宇宙ステーション(ISS)が、いつ、どの方角に

見えるかという情報を、スマートフォンでも閲覧できるよう、スマートフォン

向けの“「きぼう」を見よう”をオープンしました。現在地からの観測情報を

確認する機能もあります。

スマートフォンから“「きぼう」を見よう”にアクセスすると、スマートフォ

ン向けのページに誘導されます。ぜひお試しください。(携帯からは“JAXA

バイル”(http://mobile.jaxa.jp/)でご覧になれます。

 

“「きぼう」を見よう”(PC/スマートフォン)

http://kibo.tksc.jaxa.jp/

 

出典:AXAメールマガジン 第167

 


宇宙関連情報: カーボンナノチューブで衛星、ロケットの形が変わる?

2012-01-29 07:00:00 | 佐鳥新の教授&社長日記

 カーボンナノチューブという軽くて強い、夢の高強度素材の話をご存知の方もおられるでしょう。

 

カーボンナノチューブとは直径が数ナノメートル(1ミリの100万分の1程度)の小さな炭素(カーボン)からなる繊維形状の材料です。日本で発見されたこの物質は、理論上は現在各種軽量複合材(通称カーボン、またはCFRP)に使用されている炭素繊維の数十倍の強度を持ち、密度は変わらないという夢の素材です。私たちはこのカーボンナノチューブを使った軽くて強い複合材の開発に取り組んでいます。

 

 炭素繊維とプラスチックスを混ぜた複合材(通称カーボンまたはCFRP)は金属材料に比較して軽い材料です。単位体積あたりの重さ(密度)を比較すると鉄鋼材料に比べてアルミ合金は半分から3分の1ですが、なんとCFRPは4分の1以下です。

 

ロケットや衛星などの飛翔体に使う材料を比較するさいに、この密度で強度や弾性率を割った比強度、比剛性という値を使います。CFRPの比強度、比剛性は鉄鋼材料、アルミ合金、チタン合金に比較すると桁違いに大きな値となります。このことからCFRPはロケットの上段構造や人工衛星にたくさん使われているのです。

 

 さて、CFRPの強さの理由は炭素繊維にあります。炭素繊維は繊維の形をしているので、黒鉛結晶(炭素の構造の1つ)の結合力の強い方向を繊維の軸方向にそろえることができます。

 

さらに、炭素は原子番号が小さいので軽量であるという特徴を持っています。この2つの理由から炭素繊維は現在CFRPとして多くの構造物に利用されています。

 

ここで、炭素繊維の引っ張り強さはそろそろ限界に近づいて来ています。これは炭素繊維の作り方に起因する不純物や黒鉛結晶のみだれなどの欠陥が引っ張り強さを決めてしまっているために黒鉛結晶の強い方向の原始の結合力から推定できる理論値には全く及ばないのです。

 

 ではカーボンナノチューブは炭素繊維に比べてどうなのでしょう?

カーボンナノチューブは炭素繊維に比較すると直径が遥かに小さく炭素繊維で問題となる欠陥がより入りにくくなります。さらに、炭素の結合構造は黒鉛結晶の強い方向と同一であるため、理論強度がより出やすいのが特徴です。

 

では、なぜこれまでカーボンナノチューブはなぜ構造用のCFRPになることができなかったのでしょう。

 

カーボンナノチューブは凝集力が強く、製造した後に回収するといろんな方向にナノチューブが向いた固まりになってしまい、これをほぐすのは大変難しいのです。この欠点によってカーボンナノチューブはプラスチックスの中にたくさん均等に入れることができませんでした。また、同じ方向にチューブの向きをそろえることもできなかったのです。

 

炭素繊維を用いたCFRPでは体積の割合で約半分が炭素繊維ですが、カーボンナノチューブはそのまま粉状で混ぜると1割いれるのも困難なのです。また、炭素繊維もナノチューブも繊維方向に強いのでその方向が制御できなければ折角の強さが生きてこないのです。

 

 ところが、最近このカーボンナノチューブの欠点を補う手法がでてきました。欠点である凝集力を生かして一方向にカーボンナノチューブが並んだシートを作ることができるようになったのです。

 

技術の根幹はガラス基板上に長さ数ミリのカーボンナノチューブがまっすぐ等間隔に並んだナノチューブの林というより森を作ることです。ここからナノチューブ同士の凝集力を利用してガラス基板から、いってみれば蚕の繭から絹糸を作るように、カーボンナノチューブをシート状に巻き取ることができます。

 

この一方向シートを利用するとこれまで困難であった、均等に、たくさん、しかも同じ方向にカーボンナノチューブを並べたCFRPができるようになったのです。ただ、まだまだ大きな量産物を作れるようになるには多くの問題がありますが、この技術はナノチューブ利用の大きな障害を打破したといってよいでしょう。

 

将来は衛星やロケット上段構造の重量が半分以下になって、より大きなものを宇宙に運べるようになるばかりではなく、形も大きく変わってくるかも知れません。楽しみな新素材だと大きな夢を持って開発に取り組んでいます。

 

(後藤 健、ごとう・けん)

 

出典:ISASメールマガジン 第382


宇宙関連情報: 恒星間飛行に挑戦 DARPA

2012-01-28 07:00:00 | 佐鳥新の教授&社長日記

米国DARPAが推進する「100年宇宙船研究:100-Year Starship Study」シンポジウムが開催され、さまざまな意見が交換された。参加者には様々な分野エンジニア、科学者、SFファン、学生、そして夢想家たち。さまざまなアイディアが発表される中には100年間も資金や組織を維持するのか、宇宙船の推進エンジンが到達する惑星の破壊兵器に使われる可能性もある中で人間がその到達惑星で生存できるのか、などなどの奇抜な疑問も発表された。

その中で、ある物理学者はエンジンの無い宇宙船のアイディアを発表した。アイディアの元となったのは、消費者金融で銀行がどの程度損をするのか予測した方程式を考案した。この博士論文から、この物理学者の卵によると、カオスの重力変化の中で、恒星はどきどき高速で移動する。同様の効果を利用すれば宇宙船を推進できると考えている。

そのためには、まず楕円軌道の小惑星を見つける。この小惑星は太陽の近くを通過する。そして宇宙船を小惑星の軌道近傍に移動させる。もし小惑星がこの新しい太陽近傍の軌道に乗れば、惑星間飛行の軌道に乗ることができ、恐らく光の速度の10分の一で飛行できる。

イカルスインターステラ代表者は数年間も宇宙船設計に費やしている。もし地球がオーランドだとすると、アルファ・センツーリはロスあたりになる。そしてNASAの2基の宇宙船もちょうど1マイル飛行することになる。等など。これ以外に多くの驚きにアイディが披露された。

 

出典:http://www.spaceref.co.jp/index.html


宇宙関連情報: DARPAのHTV-2、マッハ20を3分間記

2012-01-27 07:00:00 | 佐鳥新の教授&社長日記

DARPA(国防総省国防高等研究事業局)が開発を行なっている超音速実験機HTV-2 (Hypersonic Technology Vehicle 2)Falconの飛行実験は、最終的には墜落という結果に終わったが、記録データによると、少なくとも3分間は音速の20倍の速度で飛行を続けたことが判明した。

この実験の最終目標は地球上のいかなる場所へ一時間以内に到達する航空機を開発する。

HTV-2はミノトー(Minotaur)小型ロケットのトップにのり打ち上げられた。降下段階ではすべての装置は順調。しかし再上昇する段階で、自動システムに異常をきたし、飛行の最終段階に入る前に姿勢を崩した模様。コンピュータ制御になって太平洋に落下した。

DARPA責任者によると、完全に成功したわけではないが、飛行データを分析することで次の実験に結び付ける。

 

出典:http://www.spaceref.co.jp/index.html


宇宙関連情報: 宇宙焼酎にお墨付き 12社の自信作、鹿児島大で試飲会

2012-01-26 07:00:00 | 佐鳥新の教授&社長日記

宇宙を旅した酵母菌、こうじ菌でつくった宇宙焼酎「宇宙だより」ができあがり、13日に鹿児島市郡元1丁目の鹿児島大で試飲会があった。焼酎づくりに加わった大学や酒造メーカーの関係者が12種類の焼酎を飲み比べ。「すっきりしている」「欠点がない」など評判はよく、新たな特産品になりそうだ。

 宇宙焼酎づくりは鹿児島大と県酒造組合の共同事業で、県内12の焼酎メーカーが参加した。ロケット発射場がある鹿児島で、特産の焼酎を通じて宇宙のロマンを感じようという試みだ。焼酎のもとになる酵母菌とこうじ菌計6種は昨年5月にスペースシャトルで打ち上げられ、国際宇宙ステーションに16日間滞在した。帰還後は鹿大などで培養され、10月から各メーカーで仕込みが始まった。

 実行委員会代表、鮫島吉広教授(焼酎製造学)は「飲み比べると発見があって楽しい。宇宙へ行った影響かは分からないが、全体的に焼酎らしい上品な甘さとキレのよさがある。欠点の感じられない味だ」と話した。事務局長を務めた馬嶋秀行教授(宇宙環境医学)は「すっきりしている。宇宙にふさわしい味」と満足そうな様子だった。

 「海童」をつくる浜田酒造の原健二郎さんは「初めて扱うので不安もあったが、いいものができた。味わいにふくらみがある」。「桜島」の本坊酒造の新城孝宏さんは「新酒なのに熟成した味。工夫して宇宙酵母らしさを出せる焼酎をつくりたい」と話した。

 「宇宙だより」は900ミリリットル瓶12本セットで2万400円。売り上げの一部を東日本大震災の被災者に寄付する。27日から発売で、酒屋などで注文を受け付ける。

出典:http://www.asahi.com/special/space/SEB201201130034.html

 


宇宙関連情報: 蚕のさなぎを宇宙食に クッキーにも 相模原のJAXA

2012-01-25 07:00:00 | 佐鳥新の教授&社長日記

宇宙航空研究開発機構(JAXA)相模原キャンパス(神奈川県)の一角に、小さな桑畑がある。

 5年ほど前、山下雅道・専任教授(63)が植えた。「蚕のえさです。宇宙食に蚕を利用する実験を進めています」

 山下さんは、人類の火星進出を視野に置いた「宇宙農業」を探究している。水、光、土壌などが極端に限られた環境で、いかに食料を生産するか。

 「蚕は効率よく動物性たんぱく質を得られる」と山下さん。大量の草や穀物が必要な牛などの家畜と比べ、蚕は少量の桑の葉ですみ、20日余りで幼虫の体重は1万倍に増える。

 人間が食べるのはさなぎだ。「いろいろ試したが、天ぷらがうまい。韓国ではさなぎの缶詰が出回るほどの人気です」と話す。

 山下さんは2005年、「宇宙農業サロン」を立ち上げ、100人近い専門家と研究を続けている。植物の中ではサツマイモ、大豆などが過酷な条件下の生産に向くことがわかったが、植物性たんぱく質だけでは栄養が足りない。それを蚕などの昆虫食で補う。

 「さなぎはちょっと」と尻込みする人のために、お菓子も開発した。砕いたさなぎとサツマイモ粉、おからなどを混ぜた「ヘルシーシルキー火星クッキー」。

 試食してみた。シナモンの香りとほのかな甘み。さなぎのつぶつぶ感もある。ううむ。宇宙に飛び出す覚悟があれば、乗り越えられる味だ。(米沢信義)

 

出典:http://www.asahi.com/special/space/TKY201201200664.html

 


宇宙関連情報: 人工衛星KUKAI、小学生が仕組み学ぶ 香川

2012-01-24 17:44:20 | 佐鳥新の教授&社長日記

香川大工学部が2009年に打ち上げた人工衛星「KUKAI(くうかい)」についての学習会が21日、高松市屋島中町の市屋島陸上競技場であった。県教委の委託で高松大が実施する「かがわ子ども大学」の講座の一環。小学2~6年生の26人が参加した。

 

 開発した香川大の能見公博准教授と研究室の学生約10人が、人工衛星の役割や仕組みについて話した。子どもたちは、空き缶とたこ糸、布でパラシュートを作った。気球で約30メートル上空からパラシュートを落とすと、歓声が上がった。市立木太南小4年の蓮井風馬君(10)は「糸と布を結ぶのが難しかったが、パラシュートが開くと感動しました。楽しかった」と話した。(長島一浩)

 

出典:http://www.asahi.com/special/space/OSK201201210087.html