飛び出せ! 北の宇宙基地

北の地である北海道で、人工衛星の開発などを行っている 北海道工業大学 佐鳥研究室の活動日記です。

読書メモ(光マイクロメカトロニクス)

2007-02-26 08:21:39 | 佐鳥新の教授&社長日記
MDやCDなどに使われているボイスコイルと呼ばれるミラー駆動用アクチュエータの制御技術などが紹介されている。制御機構とその力学モデル及び制御ループのブロック図なども書かれている。このあたりは恐らくA柳君(道工大B4)のレーザー通信器のアクチュエータに応用できるだろう。

第6章では外部共振器型半導体レーザーが紹介されていた。この技術は20年ぐらい前から東工大などで研究されていたもので、私も博士論文で使った技術だったのでとても懐かしく感じられた。



書 名:光マイクロメカトロニクス
著 書:坂生 清  保坂 寛  片桐 祥雅 
出版社:共立出版株式会社


第1章 光メカトロニクスの世界

第2章 光マイクロメカトロニクスの技術像

第3章 光マイクロメカトロニクスにおける間欠位置決め

第4章 光マイクロメカトロニクスにおける定速位置決め

第5章 光マイクロメカトロニクスにおける追従位置決め

第6章 光マイクロメカトロニクスの基礎光学

第7章 光マイクロメカトロニクスの基礎力学

第8章 光ナノメカトロニクスへの展開


読書メモ(ウェーブレット変換とその応用)

2007-02-25 20:20:17 | 佐鳥新の教授&社長日記
10年ぐらい前から信号処理の分野で流行った手法である。最近ハイパースペクトルデータの解析やHIT-SATの無線データの信号処理について考えなければならなくなったので読んでみた。
ウェーブレット変換というのは時間軸から別の座標空間への積分変換なのだが、信号を観測する際にスケールパラメータaとシフトパラメータbで指定される空間で観測した方が、信号抽出やノイズ分離などがやりやすくなるという利点を持っている。レーダーの信号処理の事例は興味深かった。



書 名:ウェーブレット変換とその応用
著 書:前田 肇  佐野 昭  貴家 仁志  原 晋介
出版社:朝倉書店


第1章 ウェーブレット変換の基礎

第2章 マルチレート信号処理とウェーブレット変換

第3章 通信・レーダーへの応用

第4章 システム同定への応用


書店回り

2007-02-24 21:59:25 | 佐鳥新の教授&社長日記
今日は札幌駅の紀伊国屋書店と旭屋書店へ行った。当為の科学のアイディアを定式化するための数学のテキストを探しているのだが、数学者の書いた本は専門的すぎて私の数学力では歯が立たないのだ。偶然にも、今日は非常に良い本に巡り会うことができた。

1.「理論物理学のための微分幾何学・・・可換幾何学から非可換幾何学へ」
  杉田勝美、岡本良夫、関根松夫 著  森北出版

2.「新版 演習場の量子論」 
  柏太郎 著   サイエンス社



ハイパースペクトルの数学に関するアイディア

2007-02-23 22:58:02 | 佐鳥新の教授&社長日記
ハイパースペクトルカメラで撮影したスペクトル画像データを使って、人と人以外のものを分離するテーマで卒業論文を書いたT川君という学生の研究内容を紹介する。
最初はなかなかうまく分離できなかったようだが、彼が考案した“頂点距離”という概念を導入したところ、見事に分離できるようになった。“頂点距離”というのはスペクトル特徴点pとその波長qをセットにした(p,q)をベクトルと捉え、あるスペクトル基準ベクトル(p0,q0)からの距離により類似性を評価しようというアイディアだ。

これを発展させれば視覚的な認識と非視覚的認識の両者を統合した画像分類の概念が作れる筈である。


読書メモ(新版物理数学演習)

2007-02-22 22:55:03 | 佐鳥新の教授&社長日記
物理数学もしくは工業数学のテキストに使えそうな本だったので購入した。トポロジーと微分幾何の章が面白かった。


書 名:新版物理数学演習
著 書:佐藤 光
出版社:サイエンス社


第1講  物理数学とは何だろうか

第2講  物理と微分方程式

第3講  振動の方程式

第4講  1次変換・行列と振動子系

第5講  スカラー・ベクトル・テンソル

第6講  ベクトル解析と場

第7講  変分法とハミルトンの原理

第8講  固有関数展開とフーリエ解析

第9講  複素関数と積分定理

第10講 偏微分方程式とグリーン関数

第11講 量子力学と代数

第12講 群と対象性

第13講 トポロジーと微分幾何

第14講 確率現象の数学

第15講 非線形現象の数学


読書メモ(植物生産における計測・制御・情報)

2007-02-16 22:37:08 | 佐鳥新の教授&社長日記

書 名:植物生産に計測・制御・情報
著 書:(社)計測自動制御学会 編
出版社:コロナ社

1988年に出版された古い本ではあったが、植物の生育計測に関する基本原理や計測器の作り方などが丁寧に書かれており、(私のような)新参者には有用な書籍といえる。

私達は宇宙技術であるハイパースペクトル技術の応用として植物の光合成量を数値化する計測器を開発したのだが、この当時には光合成量の数値化には、①炭酸ガス交換量、②蒸散量、③気孔開度(気孔が何μm開いたかという計測値)の3種類を用いていた。

また、画像計測により葉の障害部を可視化する手法として、正常部と障害部の分広範車両が大きく出る0.67μmの波長(クロロフィルaの吸収帯)を用いていたことは興味深かった。(リモートセンシングに用いられる正規化植生指数(NDVI)はこういう研究背景から生み出されたのかもしれない。)

植物栽培用の光源の比較結果が興味深かったので紹介する。クロロフィルaの吸収帯に最も感度のある高圧ナトリウムランプを使用してサラダ菜を生育した場合、蛍光灯で生育させたものよりも黄色味を帯びて形状品質が劣るという。RGBのバランスが意外に重要だと書かれていた。そういえば植物工場の野菜を目玉商品にしている京都のレストランの経営者も「LEDを使って様々な照明を試したが、結局、蛍光灯が一番良かった」と話していたこととも一致している。こういう微妙なところが農業の難しさでもあるのだろう。



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第1部 総論
第1章 バイオテクノロジー
第2章 システムとしての生物
第3章 植物生産と計測・センサ
第4章 制御
第5章 情報化
第6章 計測機器と信頼性技術
第7章 機械化
第8章 アグリビジネスの将来

第2部 ほ場・施設(従来の農業からのアプローチ)
第1章 総論(1) 栽培の生理と計測・制御
第2章 総論(2) 農業環境調節工学
第3章 作物の栽培
第4章 果樹の栽培
第5章 タバコの栽培
第6章 ウンシュウミカンの加温ハウス栽培
第7章 施設環境における計測・制御
第8章 システム園芸実験施設(高知大学農学部の場合)
第9章 太陽エネルギー有効利用温室
第10章 エキスパートシステムによる作物病害診断
第11章 画像による植物診断
第12章 土壌水分の計測
第13章 放射温度の計測
第14章 微気象的方法による光合成・蒸発散の計測
第15章 農生産の熱物性
第16章 農産物内の物質移動
第17章 機械化(1)
第18章 機械化(2)

第3部 工場(工業的アプローチ)
第1章 総説 植物工場
第2章 植物工場の制御理論
第3章 クローン植物の大量生産
第4章 人工制御環境下での栽培特性
第5章 植物工場内照明
第6章 種苗工場におけるロボット
第7章 植物工場におけるセンサについて
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読書メモ(人工衛星によるマイクロ波リモートセンシング)

2007-02-13 23:12:08 | 佐鳥新の教授&社長日記
書 名:人工衛星によるマイクロ波リモートセンシング
著 書:古濱 洋治  岡本 謙一  増子 治信
出版社:(社)電子情報通信学会


以前からリモートセンシングの中でも合成開口レーダ(SAR)は光学センサよりも難しい技術だと思っていた。本書を読み、あらためてその事実を実感した。

信号処理の複雑さは当然だが、それだけではなく、扱う位相情報から研究者が着目する物理量を抽出するプロセスは結構微妙で、評価も難しそうだった。前に読んだVLBIと共通する難しさがあるように感じられた。


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第1章 概説

第2章 マイクロ波リモートセンシングの原理
○放射特性の概論(このあたりは一般論)
○レーダー方程式の導出と散乱理論の説明
○複素誘電率に与える海水濃度の影響とその周波数特性などの事例

第3章 マイクロ波リモートセンサ
○マイクロ波高度計の原理に関する説明
○合成開口レーダ(SAR)の原理に関する説明

第4章 海洋への応用

第5章 雪氷への応用
○積雪の放射特性と水分含有量による変化に関する説明
○流氷内部のモデル化と内部構造の物理に関する説明
 ※道工大の鈴木勝裕先生と佐々木正巳先生はSARによる積雪量の研究者。
  これまで学内の卒論発表会で聞いていたので、少し理解できた気がした。

第6章 大気への応用
○気体の状態方程式から鉛直方向の風速の3次元分布が求められるらしい。

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