解決のための論理は明白だ。
普天間基地の閉鎖問題と、辺野古新基地工事の問題は、リンクしてはならない。させる必要もない。
普天間基地が逼迫して危険であることを認めるのなら、普天間基地を即時閉鎖すること。そして、県民の圧倒的な反対意志が表明された以上、辺野古工事もすぐさま中止すること。
他にない。
そもそも14年2月に首相が県に約束した「普天間の5年以内の運用停止」は、既にその期限を過ぎている。そんなに危険なら約束を守れ。米軍・米政府に本気で申し入れよ。
24日。辺野古の埋め立てについての、県民投票。
名護市辺野古沿岸部の埋め立てに「反対」の票が、43万人超。昨年9月の知事選で玉城デニー氏が獲得した知事選最多得票(39万6632票)を上回った。じつに73%。投票率も53%。
反対が七割超。賛成の四倍なのだ。確かに、民意は明確に示された。
県民投票条例は、最多の選択肢が投票資格者総数の4分の1に達した場合、知事は首相と米大統領に結果を通知すると定めている。
ところが政府の側の反応は相変わらず。
岩屋毅防衛相は、結果を「真摯に受け止めたい」としつつ、「沖縄のみなさんの声を受け止めながらも、最終的にその気持ちに添うことができるように、沖縄の負担軽減、普天間の全面返還に向かって、一歩ずつ進めさせていただきたい」、そして「一つの沖縄の民意だと思う」「普天間の危険性除去の必要性がある」「普天間基地を返還してもらいたいということも、沖縄のみなさんの強い民意だ」という。
安倍総理大臣もまた「投票結果を真摯に受け止める」としたうえで、「世界で最も危険といわれる普天間基地が固定化され、危険なまま置き去りにされることは絶対に避けなければなりません。もうこれ以上、先送りすることはできないと思います」と、はねつけた。
辺野古工事を止める気はないのだ。
マスコミ世論も操作されている。
NHKは「法的拘束力なし」を連呼しているという。
フジテレビや産経系の解説員は、投票率52%なので、反対72%でも積極的反対は過半数に達してない、38%に止まり、「投票に行かなかった人を含め62%が積極的に反対していない」として、「投票結果報道はフェイクニュース」というデマを飛ばしている。それこそホンモノのフェイクニュースである。投票率5割超程度では、あらゆる選挙が無効と言っているに等しいからだ。
じっさい、県民投票結果が「反対」圧勝なのは明白なのに、現状が打開できないでいる。
県民投票で民意が示された翌日以降も、ゲートからは資材を積んだダンプトラックが次々と入り、それに抗議して座り込む市民が警察官によって排除され、海では埋め立て工事が着実に進み、それを止めようとするカヌー隊の行動も阻止され、海上保安庁によって拘束されている。
3月25日にも予定している新たな区域での土砂投入に関して政府は、「準備が整い次第、一歩ずつ前に進めさせていただきたい」として、予定通り、進める考えを示しているという。
そして、工事開始以前から指摘されている、辺野古移設予定地の「マヨネーズ並み」といわれる軟弱地盤の問題は、解決のしようがない。
まだ埋め立てが始まっていない大浦湾側の6割にあたる65・4ヘクタールに、砂の杭7万6699本を打ち込むという。いったいどういう数だ。使う砂の量は東京ドームの約5・25個分。県内の砂利採取量の数年分に匹敵するらしい。
日本国内の作業船が地盤改良のために砂杭を打ち込める深さは最大で70メートルだという。しかもそれができるのは2隻しかない。90メートルまで杭を打ち込める作業船は、国内に存在しないのだという。
なぜそんな無理をしなければならない。
地盤改良工事には設計計画の変更が必要だが、玉城デニー知事は申請を認めない意向だ。
政府はそれも無視するつもりだろう。
軟弱地盤対策で工事が長期化すれば、その間、現在の考え方を守るなら政府による普天間撤去の動きは考えられず、基地の固定化につながる。固定化させているのは日本政府である。「普天間の一刻も早い危険性除去」を求めているとは思われず、政府が掲げる大義名分は通らない。
岩屋毅防衛相はさらに26日の記者会見で、「沖縄には沖縄の民主主義があり、しかし国には国の民主主義がある。それぞれに、民意に対して責任を負っている」と述べ、「政権は日本の国の安全保障という大きな責任を負っているわけで、私どもはその責任もしっかり果たしていかないといけない」として、国としては新基地建設を進めなければならない立場を主張した、そうだ。
沖縄と日本政府とは、「民主主義」に違いがあるのだそうだ。言い換えるなら、沖縄の民主主義を、ヤマトは認めないのだ。圧殺していいと決めているのだ。
「民主主義」を守らない政権を、日本国民は支持しているということになる。ひどい話だ。
普天間基地の閉鎖問題と、辺野古新基地工事の問題を、リンクさせない。
他にも争点は山のようにあるが、ただただシンプルに、この一点をクリアできればと、切に思う。
写真は、古の沖縄本島・やんばるの製塩所界隈。