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“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

本日開催! 「俊鶻丸」の史実を現在に届けた『海の放射能に立ち向かった日本人 ビキニからフクシマへの伝言』の奥秋聡さん登壇のアフタートーク

2023-11-22 | Weblog

「俊鶻丸」の史実を現在に届けたNHKディレクター・奥秋聡さん登壇のアフタートークは、本日開催です! 

 

水産庁の調査船・俊鶻丸の存在は、ほとんど語り継がれてこなかった。奥秋聡ディレクターの2013年ETV特集「海の放射能に立ち向かった日本人~ビキニ事件と俊鶻丸~」で、多くの人がその史実を初めて知ることになった。

日本独自に海の放射能汚染の実態を解明する一大プロジェクトの船・俊鶻丸が、ビキニ事件発覚二ヶ月後の一九五四年五月十五日に、ビキニ爆心地に向け出航できていた。

当時大平洋のマグロから強い放射能が出て大量に破棄され、安全が確認されても価格は半値以下、社会問題になってた。水産庁が呼びかけたということになってるが、国会で調査の用意があるか問い詰められた長官が苦し紛れに「現在計画を進めています」と答えてしまったという経緯である。

ちょうど水産講習所の練習船があいていた。水産業への損失補償をアメリカに請求するならうごかぬ証拠が必要だ。実地調査に反対する理由がない。科学の発展はラッキーな偶然に背中を押される。海洋汚染をどう計るかを、俊鶻丸が世界に知らしめた。

俊鶻丸の顧問団は二十二人の若き科学者を選んだ。気象班二名、海洋班三名、計測班三名など、放射能、医学でも将来を嘱望された研究者が結束。船員・漁夫・報道関係者も加わり総勢七十二名。記者団が九名。

もともとは練習船として使われていた海洋調査船五百八十八トン。水産庁は三千万の予算を要求したが大蔵省は千四百万に削減。顧問団が強く要求していた危険手当も削られた。放射能に危険手当認めたらレントゲン技師にも出さなきゃならないからダメということになった。予算削減のため、放射能の灰をかぶったとき船を自動的に洗う装置もつけられなかった。.

その年十一月十五日から五日間、放射性物質の影響と利用に関する日米会議が、日本学術会議の会議室で行われた。日本側は三宅泰雄さんたち俊鶻丸顧問団。アメリカ側は原子力委員会の核兵器開発担当メンバー。水爆爆発点から二千キロ離れても海水や生物に放射能があるという分布図を示した俊鶻丸調査の結果は、アメリカ側が示した「最大許容量」という安全基準がまったく通用しない現実を突きつけた。

「記録に残すことはだいじだ。今を知ることは明日を知ること」が三宅泰雄さんのモットーだった。

ビキニ事件後、一ヶ月半の準備で、俊鶻丸が出航しました。対応が非常に早かったわけですが、東日本大震災時の福島第一原発事故に対しても、海洋調査船を出すべきだったという気がします。そして除染水の放出を実行してしまっている現在、必要なのは新たな「俊鶻丸」ではないでしょうか。六千メートル以上の深海の採水や採泥ができる装置を装備する必要がある。深海調査船「みらい」や「白鳳丸」レベルのものならすぐ使用できるはずである。

何か放射能汚染に係わる事象が起きた時に、優先して使用可能な海洋観測船を準備しておくと共に、専門家チームによる定期的な調査を実施することが重要ではないかと思う。しかし指揮体制はいっさい作られず。海水や海底土は文部科学省、魚は水産庁、原発近くは東電、川の河口は環境省、バラバラに調べてきた。サンプルを取る場所を整理しないと全体像がわからない。組織も顧問団もない。俊鶻丸の経験が生かされていないのである。

そうした私なりの理解が、『わが友、第五福竜丸』には、取り入れられている。

 

※※※※※※※※※※

 

燐光群『わが友、第五福竜丸』座高円寺公演、

11月22日(水)14時の回のアフタートーク・ゲストは、

NHKディレクターの、奥秋聡さん。

2013年ETV特集「海の放射能に立ち向かった日本人~ビキニ事件と俊鶻丸~」には、たいへんな刺激を受けました。

「俊鶻丸」の存在に出会えたのは、奥秋さんの御陰です。

そして、今回の創作にあたっては、刺激的なお話を、たくさん聴かせていただきました。

アフタートークでお話しできることが、たいへん楽しみです。

 

 

奥秋 聡(おくあき さとる):プロフィール

NHKディレクター。

1974年神奈川県生まれ。1999年NHK入局。

静岡放送局在籍時にビキニ事件を取材。
2013年ETV特集「海の放射能に立ち向かった日本人~ビキニ事件と俊鶻丸~」を
制作、その内容を書籍にもまとめた。
これまでに制作した番組
ETV特集
「あとにつづくものを信じて走れ~井上ひさしさんが残したメッセージ~」
「関東大震災と朝鮮人 悲劇はなぜ起きたのか」
「久米島の戦争 なぜ住民は殺されたのか」
こころの時代
「死者は沈黙の彼方に 作家・目取真俊」など

 

燐光群『わが友、第五福竜丸』上演情報です。

https://rinkogun.com/portfolio/20231117_wagatomo_dai5fukuryumaru/

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