韓国の女優ユン・ソジョンさんが亡くなった。 享年73才。敗血症という。
拙作『ブラインドタッチ』韓国版に出てくれた(写真)。サムリヌ劇場での初演はもう十年以上前になる。日本公演もあった(あうるすぽっと)。
『ブラインドタッチ』は二人芝居である。日本初演では岸田今日子さんが演じた役をやって下さった。キム・カンポの演出。稽古場を覗いたこともあるが、真剣そのものだった。今日子さんも最後の代表作になったと思うが、ユン・ソジョンさんは、今日子さんとは違うコンセプトで、実にパワフルだった。そして、相手役との押し引きの中に、秘められた繊細さがこぼれ落ちる、豊かな演技だった。日本でも韓国でも、「大人のラブシーン」は珍しいものだと言われたりもしたが、リアルな恋愛の劇を熟練のベテランがいきいきと演じてお見事だったと、あらためて思う。
『ブラインドタッチ』は、1971年に実際にあった「渋谷事件」を背景としている。先月、大坂正明容疑者が逮捕され話題となったが、この戯曲は、今も獄中にある星野文昭さんの冤罪について描いている。日本の現実を伝える大人の政治劇として、RADA前校長Nicholas Barterさん演出により、ロンドンでも紹介されている。
韓国は日本よりも政治と演劇が、近い。その迫力は確実にあったと思う。
ユン・ソジョンさんは、2009年・アルコ芸術劇場での〈坂手洋二フェスティバル〉では、韓国版『だるまさんがころんだ』にも出てくれた。ユン・ソジョンさんはやくざの組長が出てくるシーンで「姐さん」役を楽しそうに演じて下さった。こちらもたいした迫力だった。
じっさい、韓国では、私たち世代の演劇人の姉貴分として、しっかり支えてくれていたのだと思う。
ご冥福をお祈りする。
http://m.khan.co.kr/ent_sp_view.html?artid=201706162343001&code=960801&med_id=khan
『ブラインドタッチ』はれんが書房新社から出版されている(『最後の一人までが全体である』併録)。韓国でも出版されている。
拙作『ブラインドタッチ』韓国版に出てくれた(写真)。サムリヌ劇場での初演はもう十年以上前になる。日本公演もあった(あうるすぽっと)。
『ブラインドタッチ』は二人芝居である。日本初演では岸田今日子さんが演じた役をやって下さった。キム・カンポの演出。稽古場を覗いたこともあるが、真剣そのものだった。今日子さんも最後の代表作になったと思うが、ユン・ソジョンさんは、今日子さんとは違うコンセプトで、実にパワフルだった。そして、相手役との押し引きの中に、秘められた繊細さがこぼれ落ちる、豊かな演技だった。日本でも韓国でも、「大人のラブシーン」は珍しいものだと言われたりもしたが、リアルな恋愛の劇を熟練のベテランがいきいきと演じてお見事だったと、あらためて思う。
『ブラインドタッチ』は、1971年に実際にあった「渋谷事件」を背景としている。先月、大坂正明容疑者が逮捕され話題となったが、この戯曲は、今も獄中にある星野文昭さんの冤罪について描いている。日本の現実を伝える大人の政治劇として、RADA前校長Nicholas Barterさん演出により、ロンドンでも紹介されている。
韓国は日本よりも政治と演劇が、近い。その迫力は確実にあったと思う。
ユン・ソジョンさんは、2009年・アルコ芸術劇場での〈坂手洋二フェスティバル〉では、韓国版『だるまさんがころんだ』にも出てくれた。ユン・ソジョンさんはやくざの組長が出てくるシーンで「姐さん」役を楽しそうに演じて下さった。こちらもたいした迫力だった。
じっさい、韓国では、私たち世代の演劇人の姉貴分として、しっかり支えてくれていたのだと思う。
ご冥福をお祈りする。
http://m.khan.co.kr/ent_sp_view.html?artid=201706162343001&code=960801&med_id=khan
『ブラインドタッチ』はれんが書房新社から出版されている(『最後の一人までが全体である』併録)。韓国でも出版されている。