Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

韓国現代戯曲ドラマリーディングVol.7 本日初日

2015-01-15 | Weblog
韓国現代戯曲ドラマリーディングVol.7(及びシンポジウム)

日韓の演劇交流を推進する目的で、日本の〈日韓演劇交流センター〉、韓国の〈韓日演劇交流協議会〉が相互に隔年で行っているドラマリーディング。
その二本での開催七回目。
いよいよ本日初日。
ぜひお誘いあわせの上、ご来場お願いします。

「韓流」ブームの御陰か連日満席だった前回までに比べ、今回はまだまだお席に余裕があります。
私も関係者なのですが稽古のため17日しかちゃんと顔を出せません。
〈韓日演劇交流協議会〉現会長、私の戯曲を韓国で上演してくれている盟友キム・カンボはじめ、多くの韓国の仲間たちも来日。久々の再会が楽しみです。

詳細、キャスティング等は以下の通り。

2015年1月13日(火)~18日(日)
シアタートラム
料金 1500円 通し券3000円 シンポ500円   ※当日も同料金です!

15日(木)19時 五重奏 
16日(金)14時 木蘭姉さん
16日(金)19時 アリバイ年代記
17日(土)14時 五重奏 
17日(土)19時 木蘭姉さん
18日(日)14時 アリバイ年代記 

シンポジウム「女性が世界を変える」18日17時
出演=金明和、金潤美、永井愛、小林七緒、 大笹吉雄


チケット取扱
世田谷パブリックシアターチケットセンター
TEL:03-5432-1515 (10:00~19 :00 年末年始をのぞく)
パソコン:http://setagaya-pt.jp/
携帯:http://setagaya-pt.jp/m/
日韓演劇交流センター(東京演劇アンサンブル内)
TEL:03-3920-5232(11:00~18: 00)
MAIL akira@tee.co.jp



◆『五重奏』
キム・ユンミ作 鬼頭典子訳 保木本佳子演出

あらすじ
時期  一九九〇年代中盤  ある夏の日
中風の後遺症で車椅子に座っている老人、キム・キプン。ある日、バラバラに暮らしている4人の娘を呼び寄せる。
キプンは後継ぎ息子が欲しいばかりに、次々多くの女と関係を持ってきた。
娘たちは、そんな女性たちの間に産まれた腹違いの姉妹である。
娘たちはそれぞれ父や母、姉妹たちとの間で様々な過去を抱え、心に傷を負っている。
キプンの家には、死んだ妻たちも、成仏できずに幽霊となって集まって来る。
生きている娘たちと幽霊になった母親たち。それぞれの思いが、再会を機にぶつかり合う。
そして、それでも息子をもうけることが出来なかったキム・キプンが娘たちに伝えようとしたことは…?

保守的な家父長制を描いた作品で、フェミニズム的な視点もある。定められた運命を女性は受け入れなければならない、ということがテーマにある。

登場人物
キム・キプン (七十代) 父   山野史人(劇団青年座)
ヨンスン (四十代)    長女  秦由香里(演劇集団円)
ヨンファ (四十代)    次女  小山萌子(エンパシィ)
ヨンオク (四十代)    三女  町田カナ
ヨンジン (二十代)    四女  長尾奈奈
スク (五十代)    幽霊  都築香弥子(オフィス・ミヤモト)
イファ (十代)     幽霊  角谷邁
クムスン (五十代)   幽霊  南谷朝子(青年座映画放送)
サンピル (四十代)    キム・キプンの従兄弟、アルコール中毒者  岸槌隆至(劇団文学座)
クォン先生 (四十代)    漢方医 青木鉄仁(劇団青年座)
仮面をかぶった幽霊たち多数
ト書き  中村万里

作者プロフィール
キム・ユンミ
慶尚北道奉化生まれ。
1988年、東亜日報新春文芸戯曲部門に『列車を待ちながら』が当選し、登壇。
中央大学文芸創作学科を卒業し、延世大学大学院国語国文学科で修士、博士課程を終了。
戯曲集に平民社『月を撃つ』、『キム・ユンミ戯曲集1、3、4』、公演戯曲に『月を撃つ』『チェア』『五重奏』(2003年初演)『メディアファンタジー』『結婚した女』『結婚しなかった女』『楽園での昼と夜』などがある。



◆『木蘭姉さん』
キム・ウンソン作 石川樹里訳 松本祐子演出

あらすじ
平壌の芸術学校でアコーディオンを専攻した木蘭は、画家である父、舞踊家である母とともに北朝鮮で幸せに暮らしていた。しかしある日、家族は知らぬ間に政治的な事件に巻き込まれ、両親は収容所に送られ、木蘭は韓国に亡命することになる。演劇は木蘭の韓国での生活を描く。
北朝鮮にいる両親を南に脱出させてくれると約束したブローカーに、南での定着金と賃貸アパートの保証金すべてを騙し取られた木蘭は、韓国での生活に懐疑を覚える。北から亡命してきた人間に、両親が収容所を追放され、地方の芸術団体で活動しているという消息を聞き、再び北に帰ることを決意した木蘭は、その費用5千万ウォンを稼ぐために、引きこもりの太山の世話を引き受ける。
泰山の母は女手一つで三人の子を育てるためにピンクサロンを経営し、手段や方法を顧みずに財をなしたやり手のビッグママ。長男の太山は韓国史の博士号を持っているが、失恋の痛手から立ち直れず何年もうつ状態のまま引きこもり生活を続けており、次男の太江は哲学を教える大学教授、長女の太陽は作家志望である。資本主義の手垢に染まっていない木蘭の純朴さは、三人の兄妹たちを次第に変えていく。
生きる意欲を取り戻し始めた太山の姿を見て、ビッグママは木蘭を太山の嫁に迎え、5千万ウォンを渡すことを約束する。ところが、ある日突然事業に行き詰まり、ビッグママは借金取りに負われて雲隠れしてしまう。北に帰る当てがなくなり悲嘆にくれる木蘭に、兄ではなく自分と一緒に逃げてくれれば5千万ウォンを渡すと約束する太江。彼の提案を受け入れた木蘭だったが、彼女は5千万ウォンを手にして消えてしまう。
演劇は、おそらく中国であろう都市の酒場で、木蘭がアコーディオンを弾きながら歌を歌っている場面で幕を閉じる。
*あらすじだけだとわからないが、戯曲は短い場面が非常に速いテンポで次々に移り変わるように書かれ、特に前半は、資本主義の目まぐるしさとカオスのような韓国社会の模様が観客さえも混乱させるような手法で書かれている。

登場人物
この劇に登場するのは、俳優12人(男優6人、女優5人、子役1人)である。
主要人物以外は、次のように多役で演じわけるように書かれている。
俳優1> チョウ・モンナン (女、26才) アコーディオン奏者 Kiyoka((株)MAパブリッシング)
俳優2> チョウ・デジャ(女、55才) ピンクサロン経営者/ナム・グムジャ(女、55才) チョウ・モンナンの母親 寺内よりえ(劇団昴)
俳優3> ホ・テサン (男、36歳)韓国史の博士号取得者、無職,チョウ・デジャの長男 櫻井麻樹
俳優4> ホ・テガン (男、33歳)大学教授、チョウ・デジャの次男 谷山知宏(花組芝居)
俳優5> ホ・テヤン (女、30歳) 小説家、チョウ・テジャの長女であり、末っ子 高畑こと美(エンパシィ)
俳優6> キム・ジョンイル (男、 41歳)反北朝鮮団体会員、北朝鮮脱出ブローカー 荒川大三郎
俳優7> ぺ・ミョンヒ (女、30歳) 統一団体会員ㆍ民謡歌手/ユク・ソニョン (女、33歳)小学校の教師/チャ・ヨンミ (女、29歳)大学院生/リョ・モンナン ホ・テヨンが書いているシナリオの中の登場人物。 星野愛(株式会社ALBA)
俳優8> チョウ・ソンホ (男、55歳)画家、チョウ・モンナンの父/オ・ヨンファン (男、48歳)映画監督/カン・グッシク  (男、66歳)事業家、韓国系アメリカ人 井上倫宏(演劇集団円)
俳優9> リ・ミョンチョル (男、32歳)再入国脱北者/グッ・サンチョル (男、32歳) 国会議員補佐官/ヒョン・ソンウク (男、34歳) 大企業秘書室職員/ヤン・ムノ (男、15歳) 北朝鮮の男子中学生/チャ・ミニョク  ホ・テヤンが書いているシナリオの登場人物 永野和宏(劇団新人会)
俳優10> ナ・ヌリ (男、9歳) 小学生/チョン・シンギュン (男、34歳) 医者/ソ・ヒンドル (男、25歳) 大学生/チョン・ウォンサン (男、20歳) ピザ配達員 永栄正顕
俳優11> ソン・ホンヨン (女、15歳) 北朝鮮の中学生/ホ・セビョル (女、9歳) 小学生/ノ・ミレ (女、21歳) ピンクサロン従業員/コン・ドゥソン (女、23歳) 大学生 日沖和嘉子(SOMEYA・本舗)
俳優12>  ユ・モンナン (女、10歳) 脱北児童  稲松遥

作家プロフィール
キム・ウンソン
劇作家 / 劇団 月の国椿の花(タルナラドンベッコ) 代表
1977年生 / 韓国芸術総合学校 演劇院演出科卒業 北朝鮮学を専攻する。
全羅南道、宝城(ポソン)出身。
1986年冬からソウルで育つ。
2011年8月8日に劇団月の国椿の花を創立。
*発表作品
2007年 『死ぬほど死ぬほど』 設置劇場 精美所 / 演出 パク・カンジョン
2008年 『シドン洋服店』ゲリラ劇場 / 演出 チョン・インチョル
2009年 『シドン洋服店』ナオンシアター / 演出 チョン・インチョル (再演)
2010年 『スヌおじさん』世宗Mシアター / 演出 チョン・インチョル
2011年 『マジで新派劇』ヨヌ小劇場 / 演出 ブ・セロム
2011年 『寧辺母さん』大学路芸術劇場 大劇場 / 演出 パク・サンヒョン
2012年 『月の国連続劇』ヨヌ小劇場 / 演出 ブ・セロム
2012年 『木蘭姉さん』ドゥサン・アートセンター space111 / 演出 チョン・インチョル
2012年 『干潟』ドゥサン・アートセンター space111 / 演出 ブ・セロム
2012年 『ロプンチャン流浪劇団』ヨヌ小劇場 / 演出 ブ・セロム
2013年 『月の国連続劇』ヨヌ小劇場 / 演出 ブ・セロム (再演)
2013年 『木蘭姉さん』ドゥサン・アートセンター space111 / 演出 チョン・インチョル(再演)
2014年  『ぐるぐるぐる』 南山芸術センター / 演出 ブ・セロム (リーディング公演)
*受賞
2006年 韓国日報 新春文芸当選 「シドン洋服店」
2010年 大山文化財団 大山創作基金 授与 「寧辺母さん」
2012年 『木蘭姉さん』ドゥサン・ヨンガン芸術賞 公演部門受賞
『木蘭姉さん』東亜演劇賞 戯曲賞
『木蘭姉さん』大韓民国演劇大賞 作品賞
『木蘭姉さん』韓国演劇評論家協会今年のベスト3
*著書
2011年 キム・ウンソン戯曲集『シドン洋服店』 (ジアン出版社)
2012年 キム・ウンソン戯曲集『木蘭姉さん』 (演劇と人間)


◆アリバイ年代記
キム・ジェヨプ作 浮島わたる訳 公家義徳演出

あらすじ
韓国の現代史を背景に、小市民の日常を断片的に積み重ねた作品。父親、息子の二世代にわたってドキュメンタリードラマの形式で描かれている。
タイトルの「アリバイ」は各時代の政治責任者の失敗を隠ぺいするための口実という意味で用いられ、最後にはそれが一個人の不都合な部分を覆い隠す証明という意味にも使われている。
各時期の政治が韓国国民の心情にいかに深く入り込み、影響を与えていたかを皮膚感覚で知ることのできる作品であり、その意味で非常に韓国的な戯曲と言える。

韓国の政治、経済、社会、風俗の一定の知識がないと理解できない部分が多いでしょう。韓国の現代史をおさらいしながらお読みください。

登場人物
父キム・テヨン 中山一朗
ジェヨプ 石母田史朗(劇団青年座)
少年(テヨン)、少年ジェジン、少年ジェヨプ 津田修平
青年(テヨン)、ジェジン ハゼヤマ俊介(演劇集団円)
母、おばさん 高村尚枝(劇団文化座)
伯父さん、本屋の主人、刑事の班長、校長、嶺南[1]政治家1、酔客 井ノ口勲
従兄弟の兄さん、少年の父、青年の兄、おじさん、刑事、ヨンヒョン、南総連[2]、(国土開発)要員1、嶺南政治家2、宣銅烈 加藤裕(SET)
班長、ソンフン、店員、張り紙職人、新聞売り、応援団長、医師、(国土開発)要員2 廣畑達也
ト書き 日下範子

作者プロフィール
キム・ジェヨプ
1974年生まれ。
劇団ドリームプレイ代表、世宗映画演劇学科教授。
代表作『サバイバル・カレンダー』『風餐露宿』『まほろば』『六連発拳銃強盗2011』『ここ、人がいる』『幽霊を待ちながら』『誰が大韓民国の二十代を救えるのか』『朝鮮刑事ホン・ユンシク』『夢の演劇』ほか。
2013年 『アリバイ年代記』国立劇団にて初演。東亜演劇賞最優秀戯曲賞、韓国演劇評論家協会今年のベスト3、ベストセブンなど演劇賞を総なめにする。
大阪で生まれた父親の人生を語ることで、戦後の韓国の歴史を語っていく。ウィットに富み、感性あふれる作品。
2014年5月 『アリバイ年代記』再演


               ※※※※※


日韓演劇交流センターと韓日演劇交流協議会は、 1999年以前に韓国演劇協会と日本演出者協会の共催で行われていた 『日韓演劇人会議』によって設立が提案され、 2000年4月、(社)日本劇団協議会、(社)国際演劇協会日本センター、日本演出者協会、日本劇作家協会、日本新劇俳優協会、国際演劇評論家協会、日本新劇経営製作者協会の、国内演劇関係団体7団体を中心に発足しました。
日韓演劇交流センターは、その名のとおり、日本と韓国の演劇交流促進のための活動を行います。年4回のニュースレターの発行、韓国の優秀な戯曲を紹介するドラマリーディングの開催をソウルの韓日演劇交流協議会と連携し、隔年で行います。また、ドラマリーディングの開催に合わせて韓国現代戯曲集の出版をしています。

日韓演劇交流センター 委員名簿

会長 大笹吉雄 日本劇団協議会
副会長 西堂行人 国際演劇評論家協会
副会長 坂手洋二 日本劇作家協会

委員
小松杏里 日本演出者協会
松本祐子 日本演出者協会
鈴木アツト 日本劇作家協会
小田切ようこ 国際演劇協会
林英樹 国際演劇協会
扇田昭彦 国際演劇評論家協会
青山眉子 日本新劇俳優協会
広戸聡 日本新劇俳優協会
夏川正一 日本劇団協議会
森正敏 日本新劇製作者協会

事務局長 太田昭 日本新劇製作者協会
事務局 奥秋圭

専門委員
青木鉄仁(翻訳・俳優)
上野紀子(演劇ライター)
鬼頭典子(俳優)
津川泉(翻訳)
洪明花(翻訳・俳優)
石川樹里(翻訳・韓国在住)
馬政煕(翻訳・韓国在住)
鄭義信(作家・演出家)


http://www.tckj.org/
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