Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

「くまもん」の真実

2014-08-24 | Weblog
熊本といえば「くまもん」。
日本で唯一「ゆるキャラ」を成功させた例。
だが。

「くまもん」には日本語的に謎があった。

「くまもん」は「すっかりクマの者」なのか「クマ的な愛称で呼ばれる、あいつ」なのか。
まあ、クマなのか、似ていてクマのようだがクマではないのか。である。
そのへんは「省略」を得意とする日本語の変形特質により、謎である。
じつは私はそれはどっちでもいいな。
というか、あまり知りたくない。

私が気になるのは、イントネーションである。
「くまもん」を平坦に、まっすぐ読むのか。まあ今風の読みであるというか、「伊賀者」というようなニヒルな味に近い。
もう一つの読み方は、「く」を高めに出して。「くま(もん)」と、はっきり「くま」を優先して打ち出すようなあれである。「カネゴン」「ピグモン」というように怪獣的でもあり、かわいらしくもある。

私は前者の読み方だと思ってきた。
ところが異論を唱える者がいた。
私の知る限り、東京界隈ではフィフティ・フィフティである。

真相は、熊本に行って、ご当地の方々に聞けばわかる。
しかも私は、三十数年前から専用演劇ホールを擁する熊本県立劇場の招きで講演会をやりに行くので、熊本文化の要の方々にお会いするわけだから、ことの真実は必ずや、はっきりとするであろう。

馴れぬパワーポイントを駆使しつつ写真を繰り出し、講演会を無事に終わらせ、私は、9年前に「劇作家大会」を一緒に開催した熊本県立劇場と熊本演劇人の皆さんと居酒屋におもむき、馬刺し、カワハギ刺し、辛子レンコンなどを肴の慰労会に突入、旧交を温め、熊本での劇作家大会がなぜあんなにうまくいったかなど、実にたのしく話に花を咲かせ、一通り盛り上がり、その会の後半、ついにその「くまもん」イントネーションの謎に迫る質問をした。

まず、みなさん、おそろしく「くまもん」に誇りを持ち、その成功を我がことのように喜んでいらっしゃる。熊本の文化を守る者たちとしては、うるわしい姿である。

そして、ついに、読み方の真相が明らかになった。

はい。

地元の方々の回答は、
「どっちも」
であった。

ある放送局は片方に決めている。
別な放送局は別な読み方に決めている。
あるアナウンサーは譲らない。
現場では職員の自主判断にまかせている、というところも。
やはりフィフティ・フィフティ。

こうしてみんながそれぞれ自分なりの「くまもん」像を持てることが人気の秘密なのかもしれない。

で、私はこれからも「くまもん」を平坦に読むので、そこはひとつ、よろしく。




コメント (2)
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