稽古場通しを終え、夜、神谷町の音楽スタジオへ。『兵器のある風景』音楽録音。大友良英作曲・指揮による、梅津和時さんはじめ豪華な１５人編成の大規模な演奏。大友さんと、彼の別な仕事相手の方の好意があって、このようなチームが組めた。演劇用なので幾つかお願いをする。そのまま残って編集ミキシングに立ち会い、その間に音響プランナーの小山田昭さんと選曲の相談も。合間に大友さんともあれこれと話。二十年の時を振り返る。深夜三時過ぎまで。
「悲劇喜劇」誌最新号、届く。特集は「ヘンリー六世」。私の連載〈本番五分前〉は「アジア劇作家会議始まる（下）」。江森盛夫氏がしょっちゅう褒めているように、誠実かつ堅実な作りの雑誌である。ミステリと翻訳物で知られる早川書房だが、演劇文庫シリーズも毎月新刊が出ている。私のものは『屋根裏/みみず』『沖縄三部作』の２冊。出版界のシビアな情勢の中で、演劇を支える取り組みに頭が下がる。……ところで「悲劇喜劇」という誌名だが、時折りこれは「世の中に起きる出来事は〈悲劇〉と〈喜劇〉の二通りでしかない」という慧眼に読めて、ぎくっとする。
