A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

レヴュー「吉永マサユキ展:ちょッカン」

2009-06-02 22:35:29 | お知らせ
東京・浅草橋のCASHIにて開催された<吉永マサユキ展:ちょッカン>(2009年5月8日~5月30日)のレヴューをアートウェブマガジン「カロンズネット」にて書かせて頂きました。お時間ございましたらご覧ください。

レビューページ
http://www.kalons.net/j/review/articles_661.html

未読日記269 「月世界へ行く」

2009-06-02 22:04:04 | 書物
タイトル:月世界へ行く
著者:ジュール・ヴェルヌ 江口清訳
カバーデザイン:小倉敏夫
発行:東京創元社/創元SF文庫
発行日:2002年4月12日28版(1964年10月23日初版)
内容:
186×年、アメリカ人とフランス人の乗員を乗せた月ロケットがフロリダ州から発射され、97時間の歴史的な大飛行が開始された。しかし、ロケットの行く手には流星の衝突や酸素の欠乏、軌道の修正といった予想外の事態が待ちかまえていた・・・! 19世紀の科学の粋を集めた本書は、その驚くべき予見と巧みなプロットによって、今日、一層輝きを増している。SF史上不朽の名作である。
(本書カバー表紙解説より)

購入日:2009年5月9日
ジュール・ヴェルヌの”Autour De La Lune” 1869の翻訳。
 注)いわゆるヴェルヌの『月世界旅行』は2部作。前篇が"De la terre à la lune", 1865、後篇が本書である。日本では前後篇が揃って完訳されたことは一度もなく、後篇の翻訳・出版の機会は何度かあるのに対し、前篇の翻訳はほとんど読むことができない。前篇の翻訳として1993年に高山宏訳『詳注版 月世界旅行』がちくま文庫から出版されたが現在は絶版である。文学作品として、2部作の作品がまとめて読むことができないという不遇な状況を日本の出版界は作り出している。

 今年はアポロの月面着陸40周年ということを知り、それならジュール・ヴェルヌの『月世界旅行』を読もうと思った。そこで、日本語で手軽に手に入る文庫本として探した結果、高山宏訳による『詳注版 月世界旅行』(ちくま文庫)があることを知ったが、絶版というあまりに嘆かわしい状況であった(ちくま文庫さま、どうか復刊してくださるよう心からお祈り申し上げます)。これも、理系離れの影響か、それとも古典離れのせいかはわからない。
 創元SF文庫による本書は2005年にヴェルヌ生誕100年を記念して、新版が出版されており、継続して重版されている。だが、やはりタイトルは『月世界旅行』の方が、ジョルジュ・メリエスによる世界初のSF映画とされる『月世界旅行』(1902)を思い起こさせていいタイトルのような気がする。

 そんなわけで、家族の者に『月世界旅行』が読みたい読みたいと言いふらしていたら、妹がたまたま古本屋であったと創元SF文庫版の『月世界へ行く』を見つけてきてくれた。言いふらしてみるものである。ちくま文庫版を読みたい思いをまずは、本書で紛らわすこととしよう。

追記: 
 最近、光文社古典新訳文庫よりヴェルヌの『八十日間世界一周』が上下巻として文庫化された。ということは・・? ぜひ『月世界旅行』の日本初奇蹟の完訳文庫化を期待したいではないか!光文社古典新訳文庫様、なにとぞ文庫化の程、よろしくお願い申し上げます。