A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記277 「絵画から植物へ 植物から絵画へ」

2009-06-20 22:43:36 | 書物
タイトル:川井昭夫 絵画から植物へ 植物から絵画へ
ブックデザイン:CROSS
プリンター:SUGANO PRINTING Co., Ltd.
発行:ハート工房
発行日:2002年
価格:1,000円
内容:
図版31点
テキスト:川井昭夫
「贈られた植物」
「PLANT CIRCLE」
「草について」
「つるバラの身振り」
「神の座」
「背景の植物」
「擬態(表現)とはなにか」
「麻布の絵画」
「絵画が色を失うこと」
「表現とはなにか」
「時間―記憶」
「表現の為し事」
「生成のための無」
「1979年の「麻布ドゥローイング」についての考察―ミニマリズムとの関係のなかで―」
「交差する線の奥に」
「ミニマリズムとしてのクソリアリズム絵画」
あとがき
略歴
謝辞

購入日:2009年5月15日
購入店:ギャラリーヤマグチクンストバウ
購入理由:
川井昭夫氏の作品を初めて見たのは今年1月に神楽坂のアグネスホテルで行われたART@AGNESの時だった。草を描いた「PHOTO PAINTING」シリーズ、麻布を絵の具で均質に線描した「麻布typ」シリーズなどが展示されていた。いままで見てきた部屋のとっ散らかったような「現代美術」にげんなりしていたが、この川井の画面からは緊張感が漂い、いまどき珍しいリアリズム絵画に戦慄した。確かに緻密な細密描写というのはよくある。だが、川井がモチーフとするのは絵画の支持体であるキャンバスの麻布であり、地面に生える草なのだ。この無意味とも言える禁欲な描写姿勢からは、真摯に絵画に向かい合おうとする倫理のようなものが感じられた。もっとよく知りたいと思い、見本で置かれていた本書を購入したかったが、売っているのかよくわからずその時はやめてしまった。
 それから、約5カ月たち、大阪の地で本書を手に入れることができた。しかし、残念なのは「PHOTO PAINTING」シリーズの画質が悪いのだ。画素が足りないのか、全体がモザイク状に見える図版もある。この点さえなければいいカタログなのだが・・。