A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記51 「ゴッホ」

2007-07-05 21:53:48 | 美術
タイトル:ヴァン・ゴッホ展
監修:国立西洋美術館
出版社:東京新聞、中日新聞、中部日本放送
発行日:1976年10月30日
内容:
1976年に国立西洋美術館にて開催された「オランダ国立ヴァン・ゴッホ美術館所蔵 ヴァン・ゴッホ展」の図録。油絵、水彩、デッサン計100点をヴァン・ゴッホの活動期に沿って紹介した展覧会。全体的に水彩、デッサンの比重が大きい。

贈呈日:2007年6月30日
練馬区上石神井にあるカフェに行った際、マスターより店内にある展覧会カタログで好きなものをあげると言われ、迷った末に選んだ1冊。
ほかにもいいカタログはあったのだが、このゴッホ展カタログに掲載されたデッサンが思いのほかよく、頂くことにした。本図録後半の白黒ページにまとめられたデッサン類は、樹木や風景、農民、人の手などゴッホがよくモチーフにする対象がデッサンされている。その中で手を描いたものは実によく描けている。ビールを飲みながらパラパラとこの図録を眺めていたらいい気分になってきた。白黒図版も思っていたより悪くない(ところで、なぜ昔の展覧会図録は正方形が多いのだろうか?なにか理由があるのだろうか)。
ゴッホというととかく狂人扱いされがちだが、作品を一通り見ると作品の変な部分も含めて、健康的な「狂気」という感じがする。なにが言いたいのかよくわからないが、芸術における狂気というのは興味がなく、人間における「狂気」を問題とするのとは本質的に違う問題なんじゃないか。そんなことをこのゴッホのデッサンを見ていて思う。
ゴッホには仕事でゴッホ展に関わったことがあるため、ちょっとした思い入れがある。その仕事で味わった苦汁を含め愛憎する作家ではあるのだが、もちろんそんなことゴッホにとって関係ないことだし、私にとっての勝手な思い入れに過ぎない。しかし、ゴッホと聞くと2年前のあの春を思い出し、ちょっと感傷的になったりもするのだった。それこそどうでもいい話だが。