ヒラマサ(平政)刺身
ヒラマサ(平政、)は、スズキ目アジ科に分類される海水魚の一種。アジ科魚類の最大種で、全世界の亜熱帯・温帯海域に分布する。日本での地方名はマサ(東京)、ヒラス(大阪・高知・九州)、ヒラサ(瀬戸内海の一部)、ヒラソ(山陰)、テンコツ、ヒラソウジ(九州)等がある。
形態
成魚は1m前後だが、最大で全長250cm・体重96.8kgの記録がある。約150種を含むアジ科魚類の最大種である。体は前後に細長く、側扁する。体色は背が青緑色、腹が銀白色で、体側には太い黄色の縦帯がある。鰭条数は第一背鰭6-7棘・第二背鰭1棘34-36軟条・臀鰭2遊離棘1棘19-22軟条である。体表は細かい鱗に覆われ、側線鱗数は約200に達する。
同属のブリ に似ているが、上顎の上後端が角張らず丸みを帯びること、胸鰭が腹鰭より短いこと、体が側扁すること、黄色の縦帯が明瞭であることで区別できる。
生態
全世界の亜熱帯・温帯海域に広く分布するが、赤道付近の熱帯海域では見られない。日本近海では北海道南部以南で見られる。沿岸や沖合いの浅い海に生息するが、水深825mからの記録もある。ブリより高温を好み、水温18-24℃の海域に多いが、これより低い水温で見られることもある。
単独か小さな群れで行動する。また回遊魚でもあり、日本の北海道南部や東北地方では夏に北上したものが出現する。遊泳速度は速く、時速50km以上で泳ぐことができる。食性は肉食で、遊泳する小魚・甲殻類・頭足類を追いかけて捕食する。
日本近海での産卵期は4-8月で、ブリより遅い。卵は球形の分離浮遊卵である。全長数cm程の稚魚は体側に6-10本の横縞があり、成魚とは模様が異なる。ブリの稚魚も同様の模様があるが、ヒラマサの稚魚はブリの稚魚とちがって流れ藻に付かず、沖合いで生活する。成長はブリより早い。寿命は最高で12年という記録がある。
身はブリより脂肪が少なく歯ごたえもあり、高級食材として扱われる。旬は夏で、大型個体よりも全長1mに達しないほどの若魚が美味とされている。特に刺身や寿司種で珍重されるが、他にも焼き魚(照り焼き、塩焼き)、煮魚、酢の物等にも用いることができる。