せやさかい・292
ちょっと、なに、これ!?
思わず、叫んでしもた。
顔洗って、リビングに行くとお祖父ちゃんが写真を見てる。その写真にビックリした!
「さくら、まず挨拶でしょ。お早うございます」
留美ちゃんに怒られる。
「あ、おはよう、二人とも」
「おはよう、お祖父ちゃん。で、なに、この写真!?」
「ああ、久しぶりに大仙公園行って来てなあ、ほんなら、高校じぶんの友だちに逢うてなあ」
言われて、初めてお祖父ちゃんの横に知らんジイサンが居てるのに気いつく。
うちが、びっくりしたんは、ジイサンのツーショットとちがう。
二人の背景になってる『DAISEN』というモニュメント。
「ああ、これは、ライオンズクラブが堺市に寄付したもんでなあ、うん、一月やったかなあ。ちょっとした撮影スポットになってるんや」
「なるへそ……」
文字通りのアルファベット。人の背丈ほどで D A I S E N と並んでる。
小高い芝生公園の真ん中へんで、木々の向こうにごりょうさんが見えて、元々がイケてるロケーション、そこにモニュメントができたもんで、メッチャかっこええ。
「知らなかったねえ」
うちの十倍くらい情報に強い留美ちゃんやけど、さすがに知らんかったみたい。
「コロナの真っ最中やし、除幕式も関係者だけやったみたいでなあ、まあ、わしみたいなもんが、パチパチ写真撮ってるうちに、だんだん知られて観光スポットになるんとちゃうか」
「ですよね、ハリウッドの文字看板なんて、世界的に有名ですよねえ」
「せやなあ、ハリウッド言うたら、あの山のてっぺんに並んだHOLLYWOODの看板文字思い浮かべるもんねえ」
「あ、でも……」
「「なんや?」」
お祖父ちゃんと声が揃う。
「DAISENI……Iが余計に付いてるよ」
「「ええ?」」
ほんまや。
「いやあ、気ぃつかへんかったなあ」
「 I……アイ……愛! 愛の堺市!」
アハハハ
笑われてしもた(^_^;)
「でも、I が一文字あるから、Sが真ん中にくるんだよね……」
「スーパー堺! スペシャル堺! とか?」
スーパーマンのコスの胸には大きなSのエンブレム。なんか、カッコええ!
「スーパー堺て、そんな名前のスーパーマーケットあったような気ぃするで」
「提供は『スーパー堺』でした、とか?」
アハハハ
アホ言うてるうちに、閃いた!
「なあ、これをネタに『 I のミステリー!』のタイトルでメールせえへん!?」
「え、なに?」「なんや、それ?」
「明日の昼に、このモニュメントの前に集合かけんねん。『 I のミステリー!』の謎を解く!」
「アハハ、要は、いちびってみんなで遊ぼうってことね」
「うん、そうとも言う」
「イチビリ根性は、高校になっても変わらんなあ」
「なんやてぇ!?」
振り返ると――オレも入れてくれ――いう顔してテイ兄ちゃんが立っておりました。