大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校演劇ー基礎練習(4)

2011-05-07 09:52:25 | 基礎練習
大阪府高校演劇連盟が、まだ大阪府高校演劇研究会といっていたころからの関わりで、数知れない基礎練習を試してきました。スタニスラフスキーの『俳優修業』千田是也の『近代俳優術』リー・ストラスバーグの『メソード演技』などなど……しかしほとんど身に付きませんでした。というより、私自身は、これらの本によって得るところがあったつもりではありますが、これをもとにして高校生を指導しても成果が上がらない。生徒の大半が基礎練習は、その時間だけやればいいと思っているようで、自分でなかなか独習しようとはしない。わたしは高校ではさっぱり勉強せずに(おかげで高校は落第して、二年生を二回やった)朝の七時から学校にいき『近代俳優術』の実践などをやっていた。いま思い返しても、こと芝居に関しては、かなりストイックな生徒でありました。

今の高校生にこれを求めるのは無理であります。昨年は偏差値六十に近い演劇部の指導を一年余やってみたが、基礎練習についての結果は同じであった。結論から言うと実際に舞台に立つ芝居の稽古が一番であります。笑う芝居があったとする。でも笑えない。そこで、本人は笑えない自分に気づいて笑いの基礎練習をやる。ちなみに笑いとは横隔膜のケイレンで、横隔膜は半随意筋……ちょっと説明。筋肉には手足の筋肉のように、意志のままに動かせる随意筋と、心臓や内臓の筋肉のように意志では動かせない不随意筋がある。分からない人は心臓を止めてみう……できませんねえ。ウィンクできますか? たいていの子ができません。アメリカ人はたいていできます。生活習慣にウィンクがあるからです。日本人にとっては目のまわりを含めて、顔の表情筋は半随意筋です。あ、半随意筋とは、訓練次第によっては意志で動かせるようになる筋肉のことです。ウィンクがそうですし、あ、耳動かせますか? 耳は動くんです。勝新太朗が座頭市を演るとき鍛錬してできるようになりました。
で、横隔膜です。横隔膜は一応随意筋なのですが、完全には意志のままには動きません。自分で息を止めて自殺した人はいませんし、サッカーの観戦に夢中になって呼吸することを忘れて死んでしまった人もいません。役者は横隔膜のケイレンができなければいけません。横隔膜のケイレンはクシャミ、しゃっくり、泣きじゃくったとき、そして……笑ったときにケイレンするのです。笑いは呼吸のトレモロです。リコーダーやドラムのトレモロができなくて、ちょっぴり困った人いませんか? ちょっと訓練すればできるようになりますね。横隔膜はちょっと努力がいります。「ハッ」と一回はできますね。これをくり返して早くします「ハッ、ハッ……」としだいに早くしていきます。ある瞬間を超えると、自然な笑いになります。で、「ハ、ヒ、フ、ヘ、ホ」で笑えるようにします。と、言葉では簡単ですが、かなりストイックにやらないと身に付きません。去年指導した生徒は、一年で四回の舞台に立つことでやっと、なんとか笑えるようになりました。ことほどさように基礎練習は継続してやることが難しいのです。

今春から、新しい基礎練習を始めました。基礎練習というよりは、一見遊びです。「だるまさんが転んだ」と「いすとりゲーム」をやっています。集中力と自己解放、笑いの練習が無意識のうちにできます。あと以前にも述べましたが無対象の大縄跳びも有効です。一つ大事なのは、やる前に「基礎練習だ!」と構えないことです。そしてやったあと「どういう効果があったのか」ということを難しく言うと検証、簡単に言えば、楽しかったところと、楽しくなかったところを話しあいます。楽しくないところはズルをやったり、大縄跳びでは、ミスを見逃したところです。
もう一つ新しい試みで、全員でAKB48の「会いたかった」をやらせています。ガキンチョのアイドルごっこなどと侮ってはいけません。彼女たちの集中力、笑顔、意外にきついアクション。にもかかわらず、息も乱さず、笑顔も絶やさず唄い踊りきるのは生半可なものではありません。
ユーチュ-ブなどで、素人さんがやっているのと彼女たちを比較すれば違いは歴然です。本物も、本番が終わり、カメラが止まったあとのメイキングなどを見てみると、OKが出たあと大きく息を整えているのがわかります。わたしが指導している子も初日虫歯が痛いのを堪えているような笑顔しか出来なかったのですが、二日目動きと歌をマスターするととびきりの笑顔になっていました。一度おためしになってみてください。また、詳しい基礎練習のメソードは『女子高生HB』を検索してください。青春ドラマのかたちで、アハハと笑って読んでいるうちに「なるほど」と思えるように書いております。   大橋むつお


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