ロイス ジャズ タンノイ

タンノイによるホイジンガ的ジャズの考察でございます。

ウエスタン16A

2013年04月13日 | タンノイのお話
タンノイ装置を充分享楽したオーディオ愛好家が、個人でいよいよ一気に狙うのはこのスピーカーである。
むかしアメリカの映画館の銀幕裏にあったスピ-カーで、ウエスタン16Aという。
なぜこのような業務用のものが、個人の部屋に必要なのか?
それは、船でいえばタイタニック、戦車でいえばキングタイガー、車で言えばランボルギーニ、作家で言えば芥川龍之介、ワインで言えば。
本当に音楽に埋没するには、このようなスピーカーが良く、聴くというより、文字どうり音楽の中に入っていく装置である。
だが、このスピーカーを満足に鳴らすためには、非情な工夫がいり、オーケストラの弦の繊細な透明感を得るために部屋の構造から考えねばならない。
これまで聴いたあらゆる音楽、ベートーヴェンでもマイルスでも、忘我の境地に誘われる異次元の音像が聴こえるように、ウエスタンエレクトリックは技術を見せる。
アンプの真空管1本でも人道法的にサイフが痺れるわけである。
いちどこのスピーカーを聴いて、これはだめだ、と思うか、これはいけると思うか、ウエスタン16Aは、笑っている。
数学的に矛盾はなくとも情で納得できなければまだ真実ではないと岡潔は言ったが、いかにもオーディオも夢で、見ているだけで楽しい。





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