英国の車に、ダッシュボードがマホガニーであると、走る書斎という雰囲気がどこまでも宗主国である。
その様な車は、誰にもぴったりといかないのが残念だ。
Royceに停車したさまざまの傑作を、ときにジャズ的に座席までのぞかせてもらうのが楽しい。
車はあるとき、毛越寺のそばの空中回廊を通って、中尊寺の金色堂の裏手の道に出た。
太いタイヤが棚田の縁をゆっくり下りていくと、数羽のキジ鳥が雪の上に野生の姿のまま餌を啄んでいる。
金色堂の竹林を背景に、羽根の色合いが美しい。
この棚田になって残っている区画については、古代の池の名残で、かっては庭園が広がり、おそらく三重塔や平安様式の離宮が建っていたのではなかろうか。
礎石が見つかれば、構造や復元も可能かもしれない。
宗主は、西行や義軽ばかりでなく、遠来の客が月見坂を登った汗を鎮めるための、小型の鴻臚館のような接待殿を設けたのは自然のことである。
Royceで、すばらしいベースとサクスを、エキサイティングに披露してくださった御仁からお電話があって、受話器の向こうの声は、ベースのように話がすすんでいく。
そこで思い出したが、この方のご友人が、先日わざわざRoyceにお見えになり、日常のことをちょっと話してくださった人柄に気品があった。
ご自宅は神戸にあり、これまでしばらく東北で業務していること。
過日、車の事故に巻き込まれ、いまだどこか痺れているような気がするけれども、会社の意もあって業務に復帰された。
なるほど、隣に座している御仁を見ると、姿勢と押し出しの良い外務官僚のような人であるが、首のところがすこし不自由かもしれないと申されていた。
ジャズに関心があって、ゆっくりアンプのつまみをひねってコーヒーを楽しまれる日常を、春のように待っておられるのかもしれない。
その様な車は、誰にもぴったりといかないのが残念だ。
Royceに停車したさまざまの傑作を、ときにジャズ的に座席までのぞかせてもらうのが楽しい。
車はあるとき、毛越寺のそばの空中回廊を通って、中尊寺の金色堂の裏手の道に出た。
太いタイヤが棚田の縁をゆっくり下りていくと、数羽のキジ鳥が雪の上に野生の姿のまま餌を啄んでいる。
金色堂の竹林を背景に、羽根の色合いが美しい。
この棚田になって残っている区画については、古代の池の名残で、かっては庭園が広がり、おそらく三重塔や平安様式の離宮が建っていたのではなかろうか。
礎石が見つかれば、構造や復元も可能かもしれない。
宗主は、西行や義軽ばかりでなく、遠来の客が月見坂を登った汗を鎮めるための、小型の鴻臚館のような接待殿を設けたのは自然のことである。
Royceで、すばらしいベースとサクスを、エキサイティングに披露してくださった御仁からお電話があって、受話器の向こうの声は、ベースのように話がすすんでいく。
そこで思い出したが、この方のご友人が、先日わざわざRoyceにお見えになり、日常のことをちょっと話してくださった人柄に気品があった。
ご自宅は神戸にあり、これまでしばらく東北で業務していること。
過日、車の事故に巻き込まれ、いまだどこか痺れているような気がするけれども、会社の意もあって業務に復帰された。
なるほど、隣に座している御仁を見ると、姿勢と押し出しの良い外務官僚のような人であるが、首のところがすこし不自由かもしれないと申されていた。
ジャズに関心があって、ゆっくりアンプのつまみをひねってコーヒーを楽しまれる日常を、春のように待っておられるのかもしれない。