飛耳長目 「一灯照隅」「行雲流水」

「一隅を照らすもので 私はありたい」
「雲が行くが如く、水が流れる如く」

どうすれば成績があがるのか

2024年06月01日 05時00分00秒 | 教育論
書店に行くと「東大生の〇〇」という本が並んでいる。
東大と言えば、日本における学力の最高峰と言ってもいいだろう。
その学生は入学するまでにどんな勉強方法で学習してきたのか。
また、勉強する上で何を重要と考えているのか。
教師としてはとても興味あるところである。

【「思考」が整う東大ノート】で話題の西岡壱誠さんは、「国語の成績があがる方法」について次のように言っている。
「国語の成績はどうすればあがる?」と問われて次のように答えている。


「小学生の子どもの国語力をあげるのに一番いい方法はなんですか?」
国語は「漢字」をしっかりやることが必要だと思います。
よく「読書が大事だ」と言います。
もちろん、本を読むことはとても大切です。
しかし今の子にとって、それは結構ハードルが高いことなのではないでしょうか。
その前に、しっかり「漢字」の勉強をしたらいいと思います。
人間って「学んだことが生かせた瞬間」にすごく喜びを感じる生き物だと思いますが、まず漢字をしっかり勉強して、その後に読書をしてみると、勉強して覚えた漢字がたくさん出てくるわけです。
これって学んだ成果がわかりやすく出た体験だと思います。
この瞬間に本を読む面白さとか、勉強の楽しさに目覚める子って結構いるのではないでしょうか。
本を読めばいろんなことを学べますから、その分学んだ知識を生かす場面も多くなるでしょう。
こうなってくると、とてもいいサイクルがまわり始めた感じがしますよね。
逆に、中途半端な漢字力や語彙力のまま、難しめの本を読んで挫折してしまうと、本嫌いになってしまう可能性があるかもしれません。
そうさせないためにも、「まずは漢字」なのではないでしょうか。

漢字学習の重要性をまず言っている。
自分もその通りだと思う。
学級担任をしていた頃は、漢字についてはその都度教えてきた。
本当はいけないのかもしれないが学年配当など全く無視していた。
ただし、書き取りのテストなどはしない。
ひたすら読み方のみを練習させる。
読み先習である。
読み先習の法則(よみせんしゅうのほうそく)とは、「漢字の読みを先に指導し、読みが充分身についた時点で書く練習を行うと効果が高い」という漢字指導の法則。
これをすると大きなメリットがある。
ゴールデンエイジの時期に、楽しみながら漢字の読みを覚えてしまうこと。
さらに漢字が読めるということは読書をするときに読める本が圧倒的に増えるという点である。
先の東大生が言っているように、本を読むことにより、知識が増え、多様な思考の基となる圧倒的な下地が形成されるのである。

日本の教育史上でもその効果を実証した教師が二人居た。
一人は澤柳政太郎である。
澤柳は、「読み書き雁行の法則」として1920年(大正9年)ごろ発見した。
二人目は、石井勲である。
同様の法則を提唱した彼の方法は「石井式漢字教育」と言われている。
石井式漢字教育とは、「漢字で表記するのを本則とする言葉は、最初から漢字で表記して指導し、読むことを先行させて教える」というものである。
どちらも「読むこと」を先行させる方が、漢字をよく覚えられるという点では同じ法則を述べている。

ある点については優れた方法であることは確かである。
私自身も残念なことがある。
この2人は実験的裏付けのある同じ教育上の法則を発見した。
しかし、どちらもその後の小学校の現場には積極的には受けいれられることはなかった。
残念な点とは、その法則の存在も教育関係者や教育学者の間で継承されることもなかったことである。

saitani




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