飛耳長目 「一灯照隅」「行雲流水」

「一隅を照らすもので 私はありたい」
「雲が行くが如く、水が流れる如く」

やさしさは厳しさ

2024年04月11日 05時00分00秒 | 教育論
厳しいこと言われたり、注意を受けたり、また、自分の考えを否定的に言われると人は傷つく。
だから、現代では言わないという選択肢をとったり、言っても遠回しにいたったりする。
言い方はとても大事であることはわかるが、言わないという選択肢は本当に優しいのだろうか。

他の人からの指摘は、思わぬ盲点、見逃しをしていた点に気づくことが出来る機会である。
人の意見はとても参考になり、いってくれる人は貴重な存在である。

歌手の松任谷由実さんは、夫である松任谷正隆さんのやさしさについて次のように言っている。
「ドキュメンタリーか何かで私たちの制作風景を見た人はわかるかもしれませんが、彼は人前で容赦なく私を叱ります。
 年齢的にも、立場的にも、伸びしろが少なくなってきた私にとっては、とてもありがたい。
 彼が教えてくれたことが、今の私にとって前に進んでいくための唯一の力になっているんです。
 私が感じる彼のやさしさは、『きびしさ』で、心から感謝しています。
 口にすると涙が出ます。
 親は子を思うからこそ厳しい言葉をかけることがありますよね。
 『早く寝なさい』とか、『嫌いなものも残さず食べなさい』って。
 子どもはそれをうるさく感じるかもしれないけれど、後からそれが愛情だって気づく。
 そんな愛情に近い厳しさを、彼から受け取ってきた気がします。」
 (「いい時も悪い時も二人で一緒に歩いてきた 松任谷正隆。由美夫妻が語る「やさしい夫婦カンケイ」)

松任谷由実氏は、厳しい優しさを求めている。
松任谷正隆氏は、それをもっている。
大切なことは、結局何をやさしさと感じるかだ。
予防的なやさしさを求めている人に、治療的やさしさは理解されることはないだろう。
ただ、気づくだけのお節介にしかならない。
何をやさしいと感じるか、どうかかわることが心地いいのか、その方向性がすれていると相手を傷つけることになる。
視点を変えて自分はどんなやさしさを求めているのか。
そのやさしさで満足しているのか。
その視点をもって人間関係のみならず、子どもとの関係も見直す時代になっている。

saitani

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