三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

新住協総会2010

2010年05月21日 05時25分24秒 | Weblog





きのうは昼過ぎに仙台へ移動。
飛行機に乗ったあたりから、顔見知りのみなさんと遭遇。
今日明日と開催される新住協の総会に
北海道から参加されるみなさんたちです。
ことしの開催場所は東北仙台、会場は松島であります。
年に1度、代表理事の室蘭工大・鎌田教授の研究発表も行われ、
全国から多くのメンバーが集います。
で、きのうは「前夜祭」ということで
仙台は国分町で食事会でした。

この1年間でも全国でいろんなみなさんとの交流もあり、
あちこちで歓談がとぎれることがありません。
新住協は、ご存知のように高断熱高気密住宅の家づくりの
実践的な活動を続けてきている全国組織。
大学研究機関・工務店・設計事務所・設備機器メーカーなど、
さまざまなひとたちがひとつの目的、
省エネで快適な家づくりをめざして活動している団体です。
わたしどもで発刊している「エコ住宅Q1.0」という本は
この新住協の全国での活動を伝え、協同を働きかける役割も持っています。
いま、省CO2・省エネが緊急の課題になってきて
この高断熱高気密技術は、時代が求める基本技術となってきています。

仙台は、東北ではありますが
気候が温暖な地域であり、
これまで新住協メンバーが比較的に少ない地域。
にもかかわらず、きのうの前夜祭にはなんと、121名の参加ということ。
きょうからの総会には、総勢で280名の参加という発表が行われました。
仙台というメンバーの少ない地域での開催にもかかわらず
過去最大規模の参加者数ということだそうです。
特に最近は、関東以西のいわゆる「温暖地」でのメンバーが
急増を見せており、
適正なコストで高断熱高気密住宅を建てられる
この技術の広がりが、大きな期待感を持って進んでいると言えます。
ということで、きょう明日、
とはいってもわたしは、明日は朝一番で
関東に行かなければならないので、1日ですが住宅技術のお勉強と
最新の話題を取材したいと考えております。
<杜の都仙台、ほろ酔いでホテルまで徒歩で帰り道>








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鏡のような縁側空間

2010年05月20日 06時36分40秒 | Weblog




日本人は大体、高校生頃に
「修学旅行」という機会に、京都とか奈良とかの
日本の伝統的建築を見て回る体験をさせられることになっています。
フランスでは農家住宅での住体験を教育の一環として
行っていると聞くことがあります。
で、その場合には、空間体験の原点としての住宅への感受性教育
っていうようにとらえて、すごいなぁと思っていたのです。
その現実がどんなものなのか、調べたことはないのです。
ところが、考えてみると、わたしたちのこうした「修学旅行」体験も
それがどこまで計画的であるのかどうかは別にして
やはり、日本的空間性という情操教育ではあると思います。
日本人的なるものについて、
情操教育として意義があるものなのでしょうね。

とくに北海道で生まれ育った人間に対しては
日本の教育は、こういう感受性が本来の日本人の持つべきものなのだと、
そういうように教えようと考えているのでしょう。
世界に開かれていく日本人として、
その民族の情操としての基本素養を涵養するという意味では
まぁ、おおむね了解できることなのだなぁと思いますね。
というか、その割りに、もうすこしその部分を強調して
教育していってもいいのではないかと思われます。
ただし、日本の建築教育はこと構造については
このような写真の空間性とは無縁に耐震性向上を追求し、
そういう構造力学的には、RC構造に基本的な考え方を置いていると
考えられます。
一方で、こういった写真のような空間性について
日本的なるものとしての刷り込みは行っている。
まぁ、教育といっても幅が広いわけで、
学際的な部分では矛盾も出てくるのはやむを得ないでしょうか。

床レベルがやや高めに設定されていて
大きな軒の出が、視界上端をしっかりと区切っている。
紙で明かり取り機能を果たさせる格子の建具が
最低限の内と外との結界を仕切る装置として機能する。
庭木は、季節変化の明瞭な空間として自然を生け捕っている。
で、足の裏には植物性の繊維加工物・畳がいろいろな蝕感を伝える。
そういう空間性の中にあって
縁側の鏡面仕上げというのが、やはり重要な装置なのでしょう。
この画面で見ても、視界上端の明瞭な区切りに対して
実に曖昧な光のグラデーションが対比的です。
場合によっては、この鏡面にそとの緑や空が反射して
まことに濃密な自然感受装置になっているのですね。
で、こういう鏡面仕上げにするのに、毎日ぞうきん掛けを
メンテナンスとして行わせてきた生活文化を持っているのですね。
米ぬかで磨かせるとか、いろいろな工夫もあるのですね。
まぁ、北海道が一番はじめに諦めた民族的空間性として
こういった美意識があったことは事実ですね。

さてこんな空間性、
北海道でどんなふうに継承していくものなのかどうか、
わたしたちの求める空間性の中に生き続けていくかどうか、
そんな興味はずっと持ち続けています。








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職業性・地域性って?

2010年05月19日 06時49分14秒 | Weblog





写真は石垣島の古民家の間取り図。
敷地の上に住宅は建つわけだけれど、
やはり敷地の広さと家づくりは、その文化性も含めて一体のものだと思う。
石垣のような温暖地域の場合には
伝統的に建物は用途的に分離した棟が
いくつか建てられているケースが多い。
東南アジアなどでもよく見られる住宅スタイルのようですね。
こういうのって、当然ですが
ゆったりとした敷地が前提であって
「家」という概念が、主屋だけで考えられず、
いろいろな機能分化した建物が役割分担しているのが明瞭。
暮らし方としては、農家住宅。
過不足なく必要な生活装置機能が振り分けられて
あとは気候条件などの外的環境に対して対応するという
要素が明確になっています。

ひるがえって、今日建てられている
およそ、職業性を反映していない現代生活装置としての住宅って、
後世の人たちは、どのように現代生活を理解するのか
ちょっとわかりにくいかもしれませんね。
「いったいこの時代の人たちは、どう生きてきたのだろう?」
って、疑問に思うかも知れません。
現代では、農家住宅を含めて
その職業性というのは、ほとんど見いだしにくい。
また、宗教性を表現するような空間もほとんどない。
「なんのため」という要因を現代住宅から探り出すのは困難ではないか。
現代の生活が、無名性・没属性的な暮らしであるということを
表しているのかも知れません。
どんな地域でも同じような住宅が建てられるというのは
その分、暮らし方が均質化して、
地域による偏差が少なくなっていると言うことを表しているのか
作り手の側、あるいは建てる側の意識の問題として
そういうような個別性に考えが及ばないようになっているのか。
どうも、いろんな事が浮かんでくるなぁと思います。

まぁ、確かに個性的な暮らし方でなければ
その職業を維持することができない、みたいなものは
あんまり考えられなくはなってきている。
でも問題は、そういう社会性の均質化と、
地域の気候風土対応は本来別に存在して
むしろ地域性というのは、表現されやすいのに、
そう言った部分でも、日本全国同じような住宅が建てられ続けているほうが
むしろ、ちょっとおかしいことなのかも知れません。

さて、本日は住宅取材を終えて
明日からは再び、あちこちと出張が控えております。
頑張らねば、というところ。







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住宅設備の核心・水洗トイレ

2010年05月18日 07時43分40秒 | Weblog





爽やかな写真なのですが、
話題は、トイレの話であります。
ここんところ、住宅設備系の話題になっておりますが、
その核心は、やはり水洗トイレでしょうね。
きょう、たまたま知人の丸谷博男さんのメールマガジンが送られてきて
そこでトイレのことが触れられていました。
水洗トイレって、その場所の快適性は高いかも知れないけれど、
下水道網を都市生活の快適性のために網の目のように張り巡らし、
その建設費やメンテナンス費用、さらに集中的に処理する施設を作り
最終的には地球環境に垂れ流している、とする意見でした。

水洗トイレって、
それこそわたしたちの年代はその近代的衛生観念の代表のように
考え、とらえてきたものだったと思います。
しかし、大変なコストを掛けてでしか、
こういう設備が維持できるわけがない。
ライフライン、という言い方がある中で
こんな大規模な公共設備がずっと維持されていくと考えるのは
少し、時代感覚がずれてきているのかも知れません。
確かに利便性は高いけれど、
水を、場合によってはいのちに関わる水を
そのままで飲み水になる貴重な、衛生管理された水を
見てくれ的な快適性にこだわって目の前から消すことに
ここまでの公共維持管理費用をかけ続けていいのだろうかと、
確かに、考えさせられますね。

サスティナブル、という意味合いからは
本当はこういうことから意識変更を考えていくべきであるのかも知れません。
住宅設備って、
確かに現代的快適性を作り出すモノですが、
それがどのように実現できているのかまで、
深い洞察を持っていかなければ、無条件でいいものだ、
っていうようには、ならないものであると思います。
孫子の代まで、こういう設備環境維持のために大変なコストが
必要なのだと考えたら、ちょっと考え直す必要もあると思います。






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住宅と設備

2010年05月17日 08時04分17秒 | Weblog





きのうまでお風呂のことを書きましたが、
住宅って、今日では確かに設備のことが不可欠な要素になっている。
「快適性」というとき、
断熱性や住宅の性能のことと考える地域と、そうではなく、
ひたすらお風呂とか、その設備的な部分にスポットを当てる地域に
あるいは、ひとによって、別れる部分すらあると思います。

ひとが癒されるとか、憩う、というときの
必要性のレベルが違うと言うことを表してきているのか。
わが家の坊主と話していて、ふと気付いてしまったのですが、
かれには折り紙を教えていませんでした。
で、わたしはなぜ折り紙を折れるようになったかというと、
冬場に外での遊びができない時期に、
だれか、家族から教えてもらったような気がするのです。
それはほかに娯楽らしいものがなくて
仕方なく、そのような時間を過ごしていたのですね。
そういう必要性は、現代の文化ではあまりない。
テレビもあればゲームもあって、
むしろ、時間というものがなくなっている。
飴のように伸びきったような、そういう時間がなくなっている。
そういう時間を消費させるような装置は溢れかえっている。
でも、折り紙もできないというのは、
日本人の歴史伝統的なある大切なものを伝えていないのではないかと、
急に、不安感に襲われてしまった。

住宅の設備の快適性はむろんなのですが、
しかし、こういうタイプの快適性は、衰退することもあるという
そういう認識も必要ではないのかと
疑いを持たざるを得ない部分もありますね。
いま、建てられている住宅の設備では、
台所やお風呂、冷蔵庫や家電製品の山々
さらに暖房設備や換気装置などなど、本体としての構造以上に
さまざまな設備機器の大洪水の中に、われわれの暮らしはある。
まぁ、もう後戻りもできないでしょうが、
こういうのが、ごく最近始まったことだという認識は必要ですね。
<写真は家庭用サウナ>






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お風呂とシャワースペース

2010年05月16日 06時31分23秒 | Weblog





きのう、お風呂のことを書いたら
さっそく書き込んでくれた方がいまして、
国際的な、というか、各国での入浴習慣の違いと言うことを
お知らせいただいた次第です。
その通りなんですね。
日本の住宅価格が他国と比較して高いと言われるのには
いろいろな側面があると思いますが、
住宅の性能面で考えると、住宅の中で天国のように快適な
お風呂を維持して、木造本体構造を毀損させないように配慮する必要がある
っていうような必要性も、大きな部分ではあると思います。
そうい配慮の結果、いま現在の主にFRPという石油科学系の素材を利用した
「ユニットバス」という水密性・防水性を確保した
住宅部材が開発され、ほぼ全戸で利用されているのですね。
伝統的な暮らしの中には、ここまでの水準の温浴装置が
家庭内に収納されている状況はあり得なかったわけで、
ユニットバス以前の住宅では、ほぼ間違いなく
タイルで仕上げた浴室は木造の構造に対して
致命的な「腐れ」を引き起こしている最大の箇所になっていました。

海外の住宅視察に行って、
一番の違いを感じるのも、このポイントですね。
欧米の住宅では、浴槽はあるけれど、
それに付随して「洗い場」というような場所はない。
日本では、浴槽+存分にカラダを洗う防水された区域が必要になる。
そうすると、排水とか防水とか、
構造材への悪影響を及ぼさせないように格段の配慮が必要になる。
ところが欧米では、浴槽とシャワーが一体であって、
区分けはシャワーカーテンだけで
多少湯水が飛び跳ねても、布マットなどで拭き取れるくらいでいい。
実際の施工現場の途中プロセスでも、
仕上げ前の「浴槽+シャワースペース」の下地防水状況は
至って簡便でして、若干、仕上げ素材の直下に防水ビニールを敷き込んでいる程度。
「え、これでいいの?」と日本の建築関係者は
びっくりしてしまう程度なんですね。
そういうことなので、そういうスペースの配置もきわめて臨機応変。
まぁだいたい、夫婦寝室の隣にこういうスペースを造作する。
ゲストルームの隣などにも、作る。たくさん作ってもそうコストはかからない。
この程度の下地造作でいいので、
施工単価で考えても、ごく気軽に作ることができるのですね。
それに対して、日本のユニットバスは、
ものすごく重装備。
タイル仕上げの普通浴室に至っては、大変なコストがかかる。
わが家では、そういう浴室を2階に造作していますが、
やはり、かなり過重とも言える住宅性能装置といえるのですね。

でもこういう日本の家屋に普及した習慣も
ほんのここ30~40年くらいでのお話しなんですね。
それ以前の社会は、銭湯通いが一般的な暮らし方だったんですね。
そのように考えると、シンプル化を考えたら
世界標準的なシャワースペースというように家庭の風呂は考え直した方がいいのかも。
これから、経済も暮らし方もそうは上昇が見込めない中で
こういう習慣も見直していくべきものなのかも知れませんね。
<画像は手水石場。お風呂のいい写真がなかったのです>







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風呂の歴史って?

2010年05月15日 10時04分56秒 | Weblog

]



あ、大変お見苦しい足湯の様子です(笑)。
温泉での無料サービスでこういうのがあると、
なにはともあれ、入ってみたくなる性格をしております。
まぁ、風呂好きの典型的日本人ということで・・・。

以前、司馬遼太郎さんの著述の中で
日本人は湯に肩まで入るような温水浴の習慣はつい最近までなかった、
っていうような書き方を見ていたことがありまして、
え、そんなこと、ホントかいな、と疑い続けていた次第です。
まぁ、よく言われているのは仏教の伝来とともに
こういった入浴風習が行われるようになり、
それは「衛生」という観念を植え付けたのではないかと
そのように言われていますね。
ただ、清水を湧かして湯として入浴するというのは
たいへんコストのかかる話で
江戸時代初期には、戸棚風呂が銭湯として使われた。戸棚風呂は浅い浴槽に膝までつかり、引き違い戸で湯気の漏れるのを防ぐもので、蒸し風呂と浴場を兼ねていた、
というようなことだったそうですね。

しかし、温泉場は火山列島日本、
どこでも素晴らしい温泉がその古さを誇示しておりまして、
司馬さんの記述、どうも腑に落ちないなぁと思い続けてています。
日本人って、入れそうな湯があったら
こんなふうにとにかく入ってみたくなる国民性なのではないでしょうか。

現代では家に肩まで入浴できる風呂が付いているのが一般的。
これって、「ユニットバス」という文化が根付いたことで広がったもの。
いまでは、どんな住宅でも当たり前のようになっていますが、
このユニットバスも、北海道で大流行して
それが全国の住宅マーケットでも広範に普及したという歴史経緯だと思います。
北海道には、ユニットバス専門のメーカーが存在していた。
寒冷地・北海道では造作で木造構造に防水技術を接ぎ木するような
いわゆる造作風呂、タイル風呂はどうしても難しかったのですね。
それを克服するために防水加工をしやすい工場生産品風呂を
現場に据え付けるという手法が流行したのですね。

ごく最近、50年もまだ経っていない
こういう事実も、そのうち、忘れ去られていくことがあるかも知れません。
時代の変化のスピードの速さに
最近、どうもしっくり来ないものも感じてきている部分がありますね(笑)。
まぁ、たまにゆっくり体を伸ばす温泉、
やっぱり日本人なら、たまりませんね。






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古代「毛野国」

2010年05月14日 06時05分55秒 | Weblog





関東というと、現代では東京を中心とする地域が
中心的な地域というように考えますが、
家康がこの東京地域、というか、
武蔵の国の海浜地帯に首府を開こうと考える以前には、
いわゆる「関八州」という地域はどうにも中心の定まらない
いくつかの大きな河川が地域を分ける
広大無辺というような地域だったような気がします。
頼朝は周囲を山に囲まれた天然の要害、鎌倉を幕府と考えたし、
室町期の関東公方というのは一定の居所の定まらない存在。
鎌倉が主だったとはいえ、古河にもあったも言われる。
その後、戦国期には小田原という
およそ、関東と言うよりも東海地域の入り口のような防御優先の地域に
後北条氏は首府を置いていた。
で、それより以前の平安期から前の時代、
もっと以前のヤマト朝廷成立前後の時代には
関東でもっとも有力だった地域は、上野・下野というように
2つの「国」に分けられた「毛野国」が中心的な地域だったのですね。
現在の県の仕分けで言えば、群馬県と栃木県という地域。

先日の取材の時には、
5世紀初頭に榛名山の大噴火での火砕流によって
火山灰に埋もれてしまった古代の遺構を発掘した博物館を見てきました。
「かみつけの里博物館」といいます。
「毛野国」という存在は、ヤマト朝廷成立期にも
国造制の有力な勢力の代表選手のように語られる存在だったのです。
古代においては、大王位は有力豪族たちの連合体盟主的な存在であって
その有力豪族の中でも、「毛野国」王族は西の九州北部豪族とも
並び立つような存在だったと推定されます。
大変面白い考古的発見であるのですが、
残念ながら、写真を撮ってはいけないと言うこと。
このあたり、施設によって対応が違うのはどういうことなのでしょうか。
東京国立博物館では、常設展示については基本的に撮影はフリーですし、
それらは民族の基本資産なので
その知的所有権はだれもが共通に使用することができる。
また、日本以外の国では、知的所有権が切れた100年超の
美術作品なども含めて、写真撮影使用はフリーになっている。
まぁ、要するに人類共有の財産なのだ、とされているのですが、
「管理する」という名目で、勝手に使用してはいけない
っていうような法的根拠の曖昧な「規則」を来館者に押しつけていますね。
そもそも税金を使って調査した記録物について
それを国民が自由に使えないというのは、明らかにおかしい。

・・・とまぁ、まったく脱線してしまいますが、
ものすごく面白い民族的発見展示ではあると思います。
多くの人に、この地域の歴史的位置を大いに再発見して欲しいと思っています。
<ということで写真は、足利学校環濠です>








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デシカント空調機

2010年05月13日 07時09分22秒 | Weblog




最近、長期優良住宅とかの刺激策が出てきて
住宅についての研究開発が促進されてきて
新技術が、さまざまに出てきます。
そういうなかに、耳慣れないデシカント空調機というものがあります。
一流ホテルなどではこういう空調が実際に採用もされている
ということだそうですが、
不勉強で、知りませんでした。
以下、新晃工業、というこの分野のメーカーのHPよりの抜粋。

デシカント空調システムは、湿度と温度を個別に制御することが可能で、各要素技術や空気経路の変更で様々な特徴を出すことが可能です。
デシカント空調システムの特徴を以下に示します
デシカント空調システムは冷却コイルを用いた冷却除湿システムと比較して、過冷却防止のための再加熱エネルギーを必要とせず、再生熱源に排熱などを利用すると省エネルギー効果があります。

露点から離れた温湿度領域で湿度をコントロールするため、健康阻害要因であるダニやカビの繁殖を抑制し、室内空気質を大幅に向上させることが出来ます。
比較的大風量や大きな潜熱負荷にも対応可能で、湿度制御を幅広い範囲で行うことが可能です。
高温低湿冷房や低温高湿暖房を行うことができる省エネルギー空調システムです。
フロンや温暖化ガスの使用を大幅に制限できます。
再生用熱源として排熱や蓄熱の利用が可能です。
湿度と温度の制御が個別に行われることから、他の空調機器とハイブリット化するこが可能です。

っていうことだそうです。
で、きのう、実際に住宅サイズの建物でこのシステムの実験導入がされている
意欲的なモデルハウスを見て参りました。
実験的とは言っても、装置には700万円のお金がかかっているそうで、
まぁ、ちょっと一般住宅レベルの話ではないのですが、
システムとしては、パッシブ換気をベースに
さらに蓄熱の工夫とか、潜熱回収の工夫とかてんこ盛り。
システム全体の設計とか制御はまだ、経験値の蓄積段階のようで
東大の研究室などがデータを取っている段階のようです。

いわゆる「ここちよさ」ということについて
先端的にそれを分析して探求しよう、
それを一般住宅レベルで実現可能性はあるのか、
っていうような研究開発ですね。
まぁ、概念を頭のなかで整理して把握することが
すぐにはできないような事柄で、
凡人は、なかなか苦労させられると、実感させられました(笑)。
この研究住宅を作った方は、社会人入学枠で東大に入学している方で
まことにその研究意欲には敬服させられた次第です。
<写真は、富士山の伏流水飲み場>







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中国との付き合い方

2010年05月12日 06時02分17秒 | Weblog





最近の日本国内の報道の調子というのは
どうにも解せない部分がありますね。
夕刊フジに至っては、日本崩壊、とかと
デカデカと一面トップ記事を書き飛ばしている。
まぁ、反民主党というように明確に党派性を宣言しているという意味では
すっきりとしていて、いいかもしれないのですが、
どうも、尋常ではないように感じています。
経済規模で中国に抜かれた、というような基調的雰囲気が
民主党政権に対する忌避感とあいまって、
一定に存在するのは、無理からぬ所とは思いますが、
さりとて、そういう問題がそこまで大きな問題とも思えない。
中国はなんといっても13億からの人口を有する巨大国家、
っていうよりも、EUに近いような連邦的国家であって、
ヨーロッパ世界での、イギリスと大陸との関係くらいが
わたしたち日本人が持つべき東アジア世界認識だと思うのです。
歴史的に、日本はこの東アジア世界の中で
中国との関係がもっとも重要な国際関係であるという
枠組みと基本構図の中で生き抜いてきたのですね。
で、今日、中国がその本来の世界の中での歴史的位置に
復活しつつある、という認識こそ必要なんだと思います。
小泉政権のように、それを無視して、対米従属一辺倒で
むしろ、中国封じ込め的な対応を取るのではなく、
東アジア世界の中で、朝鮮・韓国を含めた世界観の再構築を
今後の「国家戦略」として、確立しなければならないのでしょう。

これまでの世界の枠組みは大きく変化してきているのに
その基本構図にこだわり、守旧的価値観に閉塞していてはいけない。
経済環境でも、こういう変化に即して対応をしていかなければならない。
きのう、最近中国を訪れて
すっかり「人脈開拓」をしている友人から連絡を受けました。
わたしたち、日本のメディアでは
中国国内での「北海道ブーム」を知らないか、
きわめて鈍感にしか認識していませんが、
昨年来の中国国内での大ヒット映画で、北海道が撮影地になって
それで、金持ち層では自家用ジェット機で
道東の観光地を電撃ツアーで訪れる、というような様子だそうです。
かれら中国の活発な消費活動の傾向分析や、
それへの対応という意味で、北海道の動きは
大変、じれったい思いを抱く、ということ。
結局、中国にとっても
万博での日本館人気を見ればわかるけれど、
国家による反日本的教育とは別に、日本というものへの
つよい興味は存在しているし、その根底に
同じ漢字文化を共有している近隣社会として
根の深い共通性を持っているという認識は必ずあるのですね。
単純に観光という分野でも、かれらの欲求に対して
応えていくということだけでも、
今後、大きなマーケットは存在するということでしょう。
心していかなければならない、大きな変化だと感じています。
<写真は甲府市内>






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