長岡京エイリアン

日記に…なるかしらん

『軍師官兵衛』  視聴メモ 第13回『小寺はまだか』

2014年04月02日 10時10分42秒 | 日本史みたいな
『軍師官兵衛』第13回『小寺はまだか』(2014年3月30日 演出・田中健二)


登場する武将の『信長の野望』シリーズでのだいたいの能力評価(テロップ順)

小寺 官兵衛 孝高  …… 知力84、統率力67
 (演・岡田准一)

竹中 半兵衛 重治  …… 知力59、統率力91
 (演・谷原章介)

明智 光秀      …… 知力93、統率力95
 (演・春風亭小朝)

高山 右近 重友   …… 知力71、統率力75
 (演・生田斗真)

荒木 村重      …… 知力52、統率力83
 (演・田中哲司)

母里 太兵衛 友信  …… 知力44、統率力80
 (演・速水もこみち)

石田 三成      …… 知力92、統率力60
 (演・田中圭)

織田 信長      …… 知力115、統率力108
 (演・江口洋介)

別所 賀相      …… 知力48、統率力45
 (演・ベンガル)

別所 重棟      …… 知力64、統率力57
 (演・佐戸井けん太)

蜂須賀 小六 正勝  …… 知力74、統率力90
 (演・ピエール瀧)

羽柴 小一郎 秀長  …… 知力83、統率力75
 (演・嘉島典俊)

別所 長治      …… 知力63、統率力63
 (演・入江甚儀)

中川 清秀      …… 知力26、統率力75
 摂津国茨木城主で荒木村重の重臣。高山重友の従兄にあたる。(演・近江谷太朗)

小寺 政職      …… 知力44、統率力49
 (演・片岡鶴太郎)

羽柴 秀吉      …… 知力95、統率力94
 (演・竹中直人)

小寺 職隆      …… 知力72、統率力55
 (演・柴田恭平)


ざっとの感想

●自分の祖父・重隆から三代にわたっての居城だった姫路城(天守閣はもちろんない)を、なんとも潔く羽柴秀吉に譲り渡してしまう官兵衛!
 でも、史実では「城をまるごと」ではなく、本丸だけを譲って自分たちは二ノ丸に居住している。まぁ、そりゃそうです、別の城に引っ越したり、まったく新しい城を築くほど余裕のある大名じゃないですからね。
 でも、ドラマのセリフと演出はそこらへんをたくみに省略して、あたかも官兵衛が姫路城ぜんぶをあげちゃったかのような印象を観る人に与えますよね。
 ちょっと気になって調べればわかることなんだから別にどうだっていいんですが、そういうちまちました小手先の小細工、お母さん大っキライ!!

●姫路城は確かに官兵衛一族代々の居城でもあるんですが、それと同時に、乱世による多少のブランクをはさみながらも、官兵衛の主君である小寺政職の一族がおよそ200年もの長きにわたって城主をつとめてきた、歴史ある名城でもありました。官兵衛のおじいちゃんが姫路城主になれたのは、小寺政職の親父(小寺則職)が御着城に本拠を移す際に譲り渡したから。
 つまり、官兵衛の姫路城割譲策は、小寺政職にとっては「聞いていないわけがない」大事件だったはずなのです。とりようによっては、官兵衛が主君を政職から秀吉(つまりは織田信長)に乗り換えた決定的瞬間、という重大事になりますよね。
 官兵衛が1577年の時点でまだ、ドラマのような「きっちりした主従関係」を政職ととっていたのならば、政職の事前の承諾を得て行ったに違いない割譲であるわけなのですが、どうも毛利家とのパワーバランスから観ても、そんなことを政職が承諾したようには思えないし……実際、他のヘボ重臣たちの総スカンを喰らっちゃったでしょ。まぁ、キャラクターも演技もヘボだから、そんなのガン無視すればいいんだけど。

 やっぱ、ドラマで強調するような「政職に義理堅い官兵衛」という設定は少々無理のある幻想で、官兵衛もいかにも戦国人らしく「政職ぉ? 無視、無視!」という半分以上独立した立場をもって織田方にすりよっていたのではないのでしょうか? ドラマの「清く正しく美しい官兵衛」には、無理がある!

●秀吉から義兄弟の契りを確約する誓紙をプレゼントされて狂喜乱舞する官兵衛。田舎モンまるだし!! こういう、紙ッペラ1枚でひょいひょいついてきてくれる青いやつらが日本全国そこらじゅうにいてくれてるから、足利義昭公の信長包囲網も成立できてたんじゃねぇか! これが日本人の哀しいさが、なのだろうか。
 もうさ、嫁もふくめて、その話を聞いた家臣全員が「なにがうれしいんだか……」って内心で引いてるはずですよ。その紙があれば毛利軍は降参してくれるのか!? 現実みろ、このバカ社長!!

○姫路城に着くなり、やぐらに登って「どうやって、この城を攻め落とそうかナ~♡ 」と妄想をたくましくする竹中半兵衛。あっ、それ、私もよくやります。あの……ヒマなの?

●「自分の息子や家を織田方に差し出す官兵衛を、ワシは信じるぞ!」と、いつになく強気に官兵衛を弁護する小寺政職。
 でも、それはあくまでも「ダーティワークを代わりにやってくれた部下に恩を感じる上司」、といういかにも現代的なうすっぺらくてビジネスライクな関係のみから生まれうる感情なのであって、「大名としての小寺家のメンツまるつぶれ」とか「もともとワシの一族伝来の居城だったのに」という、もっと距離感の近い一蓮托生なファミリーとしての論理から観ればガラガラといとも簡単に崩壊してしまいます。
 政職がこんなに個人プレーの目立ちすぎる家老を容認するほどモダンな感覚を持ってたわけがないんですって! もしそこまで寛容なんだったら、とっくの昔に大名やめて官兵衛に全てを譲ってるんじゃないですか?
 どうにもね、『軍師官兵衛』の小寺政職にはリアリティというか、戦国大名らしいエネルギーが感じられないんだよなぁ! もっと必死なバカ殿になってください!! 志村けんエディションみたいな太平の世じゃないんですからね、殿!

○前回の松永久通に続いて、オープニングでのクレジットはなかったけど播磨国神吉(かんき)城主・神吉頼定(よりさだ)キター!! ちなみに、知力42、統率力54。
 この方も、のちの三木合戦で大きなワンシーンをになう武将であるはずなのですが、今回はかなりおだやかなやりとりで登場しましたね。
 私、この神吉頼定さんの御子孫にあたる方に大変お世話になっていた時期が長くありまして……いろいろと迷惑かけて、ほんとにすんませんっしたァ!! 大河ドラマご登場、まことにおめでとうございます。けっこうイケメンでしたね。

●播磨国に来てもあいかわらずのノースリーブ・ルックの蜂須賀正勝。このとき、おん歳52。
 もうやめたら、そんなかっこう……

●よりにもよって小寺政職に直接、「秀吉と義兄弟になったんだょ☆」という自慢話をきりだして、政職の機嫌を激しくそこなう官兵衛。
 バカすぎ……そんなミス、ゆとりでもやらねぇっつうの!! 軍師? おまえが軍師!? 甲斐国の山本勘助晴幸に、トム=クルーズも御用達の姫路銘菓のバウムクーヘン「書写 千年杉」もって詫びに行けやアホンダラ!! 私はゆず味が食べたい!

●別所家、小寺家と連続する「大名本人じゃなくて名代が参上」の事態に、憤然としたおももちで退席する秀吉。そりゃあ当然の感情ですよね。
 でもさ、だったら、なんで前回に「大名本人じゃなくて家臣の息子」を人質に預かっただけで、織田信長は小寺家を信用することにしたんだろうか……
 やっぱりここんところ、『軍師官兵衛』の内容における戦国時代の論理は一貫性を欠いている、というか、明らかに脚本家の都合を優先するために破綻してしまっているような気がしてなりません。そ~んなに、官兵衛を清廉潔白で勤勉なサラリーマンにしたてあげたいんですかねぇ? 歴史ドラマの主人公としての魅力はどんどん減っていくばかりのような気がするんですが。もっと本音で戦国しませんか!?

○子役だけど、加藤清正&福島正則の豊臣最強コンビ初登場! 剣の稽古でおもいっきりもまれる松寿丸。キラトくんはほんとうに日を追うごとに、別の大河ドラマで官兵衛を演じた斉藤洋介さんに似てくるようになったね……
 清正のりりしいもみあげは実にいいんだけど、正則はちょっと、二の腕が細すぎやしないか? もっと役作りしてきてちょうだい!

●ベタなツッコミですみませんが、石山本願寺の軍勢になんで白頭巾の僧兵がまじってんの? こういうイージーミス2回目だぞ!! 宗教戦争ナメんなよ!?

○村重「はいっ、されど、木津川のいくすぁで……いくさで!」
 うおお!! 田中哲司さん渾身の「カミ芸」が大炸裂! セリフのいい直しを信長への恐怖からくる緊張感のあらわれに転化しおったわ!!
 自分のカミカミで、相手をたてる! 役者の鑑よのう~!! 今回の放送も、いろいろと不満に思うところはあったのですが、この田中さんの名演と、これをオンエア GO!にした制作サイドの英断で、すべてチャラにしたいと思います。やさしい気持ち~!!

○いやぁ~、谷原章介さんの半兵衛、いいね! それでこその軍師!! 視聴者の「おいおい官兵衛……」というフラストレーションを実に見事に代弁してくださいました。冷たさがものすごくさまになってますね。
 官兵衛から受け取った秀吉の誓紙に対するリアクションを全部ワンカットで撮影する演出は、なんか往年のビートたけしあたりの冷酷なお笑いアクションみたいで、何回観てもおもしろいぞ! 愛あるサディズムよね~。
 でも、「早死にする人フラグ」って、なんであ~も何十年も変わってないベッタベタな「ゴホゴホ吐血」しかないんでしょうか。もう飽きたよ……

●官兵衛のよくわからない秘策をもって、ついに小寺政職と会見した秀吉。いやだから、お忍びにカモフラージュしたところで、秀吉が政職のもとに出向いた事実は政治上かならず播磨国中に公表しなければいけないんだから意味ないんだって……官兵衛、おまえやっぱ、なんにもわかってない!!
 それにしても、私が愛してやまない歴史ドラマ『大友宗麟 心の王国を求めて』(2004年)で秀吉を演じた片岡鶴太郎さんと竹中秀吉とのご対面! 胸に迫るものがありますなぁ~。

●「囲師必欠」を知らない戦国武将なんかいないだろ……さては秀吉、官兵衛をたてるために知らんぷりを決め込みおったか! さすがは人たらし!!


結論、「第14回がとてもたのしみです。」

 なんか、今回の視聴率がかなり悪かった(平均12.9%)らしいんですが……同じ時間にやっていた『世界フィギュアスケート選手権エキシビジョン』の影響らしいものの、エキシビジョンでしょ? そんなに強敵でもなかったはずなんですが。
 私なんかは、そんなもん一向にかまわずに来週からも観ていくことに変わりはないんですが、なにぶん「連続ドラマ」ですからねぇ。来週からも、数字はなかなか厳しい状況が続くことになるんでしょうか。

 だけどね、世間的な話なんかどうでもよくて、今回は『軍師官兵衛』の「軍師」という部分が初めてクローズアップされた記念すべき回だったし、それ以上に見どころもたっくさんある大事なエピソードでした。まぁ、ほんとの戦国時代には、「軍師」なんて言葉もお仕事もまるで存在してなかったんですけどね……

 それはともかく、要はおもしろかったってことなのよ! 特に、竹中重治と荒木村重という2人のキャラクターに、今後どんどんおもしろくなっていくことを予感させる厚みが加わったのはすばらしいことでした。田中さんは本当にいい役者さんだ……

 来週からも、がんばってくだしゃ~い。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 2014年3月度版 そうだい短... | トップ | すべてはひとりから始まった... »

コメントを投稿

日本史みたいな」カテゴリの最新記事