映画『 GODZILLA ゴジラ』(2014年5月アメリカ、7月日本公開 123分)
『 GODZILLA ゴジラ』は、日本の同名映画キャラクターに基づいた2014年のアメリカ合衆国の SF怪獣映画であり、『ゴジラ』シリーズのリブートである。アメリカ合衆国の資本でゴジラ映画が製作されるのは、1998年公開の『 GODZILLA 』以来2作目。ワーナー・ブラザーズ映画とレジェンダリー・ピクチャーズ提供、レジェンダリー・ピクチャーズ製作。総製作費1億6千万ドル。
興行収入は、2014年6月23日時点でアメリカ合衆国で1億9千万ドル、世界で4億7千万ドルを売り上げている。
ちなみに、1998年版の『ゴジラ』は総製作費1億3千万ドルで興行収入はアメリカ合衆国で1億3千万ドル、世界では3億8千万ドルだった。
2004年公開のシリーズ第28作『ゴジラ FINAL WARS 』の商業的失敗(興行収入12億円)を受けて、東宝は以後10年間ゴジラ映画を製作しないことを発表し、それまで数々の特撮映画の海上シーンの撮影に使用した東宝大プールを解体した。『ゴジラ対ヘドラ』(1971年)の監督である坂野義光は、東宝からゴジラシリーズを元にした IMAX 3D による短編映画の製作権を獲得し、その後の2007年、坂野はアメリカのプロデューサーのブライアン=ロジャースと会い、ロジャースは2009年にレジェンダリー・ピクチャーズに話を持ちかけ、長編映画を製作するプロジェクトが開始された。
2009年8月、レジェンダリーが東宝と共同で新しいアメリカ版『ゴジラ』を製作して2012年に公開すると報じられ、2010年3月、レジェンダリーがゴジラの権利を獲得していたことが明らかとなった。レジェンダリーはワーナー・ブラザーズと共同製作、共同出資し、シリーズをリブートすることを発表した。ちなみに、1998年版『 GODZILLA 』を製作したトライスター・ピクチャーズは2003年に製作権が期限切れとなったため、本作には関与していない。レジェンダリーは1998年版に登場した「イグアナのような巨大生物」ではなく日本版に近いゴジラが登場する新作を計画した。レジェンダリー・ピクチャーズ会長兼 CEOのトーマス=タルは、「ゴジラは世界でも有数のポップカルチャー・アイコンであり、我々もその一ファンとして、ファンが見たいと思う映画を作りたいと考えている。」と説明した。
2010年10月にデヴィッド=キャラハムが脚本を書くことが報じられたが、2011年1月の時点で、すでにキャラハムは脚本製作から手を引いており、キャラハムによる第1稿が書き直されることも発表された。同年7月、デヴィッド=S=ゴイヤーが脚本書き直しに参加した。
2013年1月、フランク=ダラボンが追加で脚本を執筆することが報じられた。ダラボンはインタビューで、「『ゴジラ』を見て我々が学んだことは、ゴジラが広島と長崎の原爆、そして当時我々アメリカ人が行った核実験のメタファーであるということだ。」と答え、ゴジラを「自然が生み出した驚異」として描くと語った。
2012年7月、アメリカのサンディエゴで開催された「コミコン2012」にて、本作の約1分間のフッテージ映像が初公開された。上映後、監督を務めるギャレス=エドワーズは「(監督を任された)責任は十分承知している。」、「(ゴジラによるパニックが)実際に起きたらどうなるか、現実的に描きたい。」と語った。
撮影は、2013年3月18日にバンクーバー島のナナイモ周辺で始まり、6月30日のハワイのホノルルでの撮影などを経て、2013年7月18日にクランクアップした。しかし、出演した渡辺謙によれば、クランクアップ後も再撮影が続けられていたという。
音楽にはアレクサンドル=デスプラが起用された。デスプラは NHK BSプレミアムの TV番組『音で怪獣を描いた男 ゴジラ VS 伊福部昭』でのインタビューで、多くのシリーズ作品の音楽を担当した伊福部昭に触れ、「伊福部の音楽を学ばずして、ゴジラという存在を表現することはできない。」と敬意を表している。
視覚効果は、『ロード・オブ・ザ・リング』3部作でアカデミー視覚効果賞を受賞したジム=ライジールが担当する。着ぐるみを用いるオリジナル版と異なり、本作ではモーションキャプチャを用いてゴジラを描く。
2014年7月の日本公開を控えて放送されたラジオ番組『渡辺謙ゴジラを語る』に出演した渡辺によれば、撮影を終えた結果、4時間を超える内容になってしまったため、芹沢博士が原爆を語るシーンや登場人物たちの背景描写などが大幅にカットされたようである。
2013年7月20日に、サンディエゴの「コミコン2013」にて『ゴジラ』のパネルディスカッションが開催された。ギャレス=エドワーズ監督は、「プレッシャーは自ら課してしまったものだと思う。というのも、これこそ(自分が)やりたかったことだから。この作品が東宝のゴジラの一部になってほしいと思う。これこそ本物のゴジラ映画だ、といわれるように。」とコメントした。また、撮影のためにカナダへ入国した際、自分が『ゴジラ』の監督であることを説明すると、入国審査官たちに「絶対に変なもんつくるなよ!」と言われ、彼らと20分もの間、どうしたら良いゴジラ映画が撮れるかについて語りあったという。また、東宝からも「これまでの『ゴジラ』映画のレガシーを受け継ぐ作品にして欲しい。」と言われたと語った。
2014年2月28日には、ドイツ・ハンブルグにて本編の冒頭20分間のフッテージ映像が公開された。出席したエドワーズ監督は、質疑応答の際に1998年版『ゴジラ』について質問され、「本当のゴジラ映画ではない。」と断言し、「ゴジラのような怪獣映画を見たい時、人間の闘いなんて見たいとは思わない。」と語った。
2014年3月12日には、アメリカのサウス・バイ・サウスウエストにて新たなフッテージ映像の上映とエドワーズ監督へのインタビューが行われ、エドワーズは「優れた SF作品に共通するのは、作品が2つの事柄で構成されていることだと思うんだ。1つは、ただただ面白いこと。エンターテイメント作品として怪獣の闘いを観たいという観客の思いに答えることだね。でも2つ目としては、物語の背後に隠れた意味を説教臭くしないで伝えることも重要なんだ。そのためにはいくつかの視点で映画を語る必要がある。」と答えた。
アメリカでの映画公開後、アメリカで本作を二度観賞した俳優の宝田明(1954年のオリジナル版などに主演)は、「観客が、ゴジラが現れるのをいまかいまかと待っているのをひしひしと感じるんです。そして、ゴジラが出てくるとウワァーって拍手が沸き起こってビックリしました。何でこんなに愛されているんだろう?と涙が出てきました。」と感激を口にした。エドワーズ監督は、「日本でヒットするまでは祝福はできないよ。」と慎重な姿勢を見せながらも、「続編のオファーが来たらメガホンを握りたいか?」という質問には、「 YES!」と即答した。その際にゴジラシリーズから起用したい怪獣を尋ねられると、「キングギドラかラドンかな?」と楽しそうに答えていた。
シリーズ第25作『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』(2001年)の監督を務めた金子修介は、「映画は監督を選ぶことから始めたほうが良いものなのですよ。この映画、監督選択に成功した例でありましょう。」とコメントしている。ミレニアムゴジラシリーズ諸作の監督を手がけた手塚昌明は、「『畜生!やりやがった!……でも、正直、羨ましい。』というのが素直な感想です。」と語っている。VS ゴジラシリーズの特技監督を務めた川北紘一は、「ゴジラとムートーの戦いは、ちゃんとやっていたと思います。ゴジラも恐竜の延長じゃなくて、怪獣として描いているので、そのあたりは良かったんじゃないかな。」とコメントしている。昭和ゴジラシリーズの多くで特技監督を務めた中野昭慶は今作の3D 制作について、「手前と奥とのカットバックや、全体のバランス、ドラマの作り方も徹底して3D を研究している。」と語った。
なお、本作を平成『ガメラ』3部作(1995~99年)と重ねて評価するファンも存在し、3部作の監督も手がけた金子本人も作品の類似点に言及している。
全体的に作品の評価は高いが、ガーディアン誌は、「日本のゴジラに込められていた反核の風刺が、この映画では滑稽なほど弱まっている腹立たしいリブートだ。」と批判している。ワシントン・ポストは主演のアーロン=テイラージョンソンの演技について、「ハリウッド映画のステレオタイプの肉体派俳優に成り下がってしまった。」と評している。
本作の世界的な大ヒットを受け、早くも続編の企画が進められており、『ハリウッド・リポーター』誌は、ワーナーとレジェンダリーが3部作構成を計画していることを報じた。その後、「コミコン2014」にて、続編にはゴジラの他にラドン、モスラ、キングギドラが登場することが発表された。
あらすじ
1999年。フィリピンの炭鉱を調査していた科学者・芹沢博士と助手のグレアム博士らは、そこで巨大な生物の化石を発見する。その化石には2つの繭のようなものが寄生するように付着しており、その片方からは、何かが誕生して海へと這い出た痕跡があった。その直後、日本の太平洋岸の都市・静岡県雀路羅(じゃんじら)市にある原子力発電所に勤務するブロディ夫妻は、近づきつつある謎の振動と電磁波を探知する。その振動によって炉心が異常をきたしたため、妻サンドラは原子炉の調査へと向かうが、奇怪な鳴き声と共に大きな揺れに襲われる。夫ジョーは街の住民を守るべく、原子炉の内部にサンドラを残したままやむなく防護壁を閉じ、ジャンジラ原発は倒壊した。
それから15年後の2014年、ジョーとサンドラの息子フォードは軍での任務を終えてアメリカ・サンフランシスコの家族のもとに帰ってくるが、日本に暮らすジョーが警察に逮捕されたという知らせを受け、急遽日本に向かう。ジョーは事故の真相を探るべく、放射能汚染により立入禁止区域となったジャンジラ原発跡地に侵入したため逮捕されてしまったのだった。ジョーはフォードと共にかつての実家に残されたデータを回収するべく放射能汚染エリアに再侵入するが、そこでは野良犬が元気に走り回っており、ガイガーカウンターにも放射線反応はない。実家にたどり着きデータを回収するも現地パトロールに見つかり、2人は原発跡地内に建造された異様な研究施設に連行される。
研究施設で2人は、巨大な繭を目にする。それは、かつて原発事故が起きた際に観測された謎の電磁波と同じものを放っており、そこから何かが孵ろうとしている。秘密研究機関「モナーク」の管理下にある研究所は、目覚めようとしている生物を食い止めるべく抹殺しようとするが時すでに遅く、繭からは昆虫のような細い足を持った巨大生物「ムートー」が出現して研究所を破壊し、背中から羽を伸ばして飛び去ってしまう。その際にジョーは重傷を負い、間もなく死亡した。
ムートーは、太平洋を東へと向かう。芹沢博士をはじめとする「モナーク」もアメリカ軍の管理下に収まり、フォードと行動を共にすることになった芹沢博士は、フォードにモナークの活動目的と巨大生物の秘密について語る。
現在からおよそ2億7千万年前の古生代ペルム紀。現在より高濃度の放射能に覆われていた地球上では、多くの怪獣たちが当時の生態系の頂点をめぐって激しい生存競争を繰り広げていたが、ペルム紀末の大量絶滅とそれに伴う放射能濃度の低下により、彼らは地底深くへと追いやられていった。しかし、20世紀の第2次世界大戦を皮切りに世界各地で核開発と実験が相次ぐようになったために地表の放射能濃度は上昇し、1954年、アメリカ軍の原子力潜水艦ノーチラスがとある怪獣を発見した。その後、アメリカ軍は核実験を名目として怪獣への核攻撃を実行したが、逆に怪獣を強化する結果になってしまい、怪獣は攻撃後に行方をくらました。モナークは長年それを調査しており、芹沢博士はその怪獣を「ゴジラ」と呼んだ。フィリピンで発見された巨大な化石はゴジラの祖先にあたり、それに寄生していたものはムートーの祖先と考えられた。体内に原子炉を持つゴジラと、放射線をエネルギーとするムートーは闘いが宿命づけられた関係にあった。芹沢博士は、ムートーを排除するためにゴジラも必ず活動を再開すると推測していた。
ジャンジラ市を去ったムートーはハワイに上陸。ロシアの原子力潜水艦を襲い核燃料を捕食しながらホノルル市街地に進行し、軍隊と戦闘を繰り広げるが、そこへムートーを追跡してきたゴジラがついに上陸し、両者はホノルル国際空港で対決するが決着はつかず、飛び去ったムートーを追ってゴジラも海へ消えた。
一方、アメリカ本土のネバダ州ユッカマウンテン放射性廃棄物処分場に保管されていた、1999年にフィリピンの炭鉱から回収されたもう一つの繭からは、メスのムートーが羽化する。処分場から逃げ出したムートーはラスベガスの街を蹂躙した。芹沢博士は、2体のムートーは繁殖のために同じ場所を目指していると断定し、ゴジラの後を追うアメリカ海軍は、サンフランシスコ湾で3体の怪獣が激突すると予測した。
おもなスタッフ
監督 …… ギャレス=エドワーズ(39歳)
原案 …… デイヴィッド=キャラハム(36歳)
脚本 …… マックス=ボレンスタイン、フランク=ダラボン(55歳)、デヴィッド=キャラハム、ドリュー=ピアース(38歳)、デヴィッド=S=ゴイヤー(48歳)
音楽 …… アレクサンドル=デスプラ(52歳)
撮影 …… シェイマス=マクガーヴェイ(47歳)
視覚効果 …… ジム=ライジール
おもなキャスティング(年齢は劇場公開当時のもの)
フォード=ブロディ大尉 …… アーロン=テイラージョンソン(24歳)
本作の主人公。アメリカ海軍の爆弾処理を専門とする特殊部隊「 Navy EOD 」の隊員。
エル=ブロディ …… エリザベス=オルセン(25歳)
サンフランシスコ総合病院に勤務する看護師で、フォードの妻。
ジョー=ブロディ …… ブライアン=クランストン(58歳)
核物理学者でフォードの父。妻サンドラの死後、ジャンジラ原発事故に関するアメリカ・日本両政府の情報隠蔽を疑い、事故の真の原因を単独調査していた。
サンドラ=ブロディ …… ジュリエット=ビノシュ(50歳)
ジョーの妻。日本の静岡県ジャンジラ市にある原子力発電所で働いていたが、突如発生した原発事故により命を落とす。
芹沢 猪四郎 …… 渡辺 謙(54歳)
秘密研究機関「 MONARCH(モナーク)」に所属する生物科学者。放射線が生物に与える影響を調査しており、フィリピンで発見された謎の化石と、それに寄生する繭の謎を追っている。太平洋戦争時に広島の原爆投下で被爆した亡父がいる(直接の被爆では亡くなっておらず、その後遺症で亡くなった設定)。
演じた渡辺謙によれば、当初は父親の広島での体験をステンツ提督に語るシーンも撮影されていたが、最終的には時間の都合によってカットされた。
名前は、1954年版『ゴジラ』に登場した芹沢大助博士と、ゴジラシリーズで多くの作品の監督を務めた本多猪四郎に由来する。
ヴィヴィアン=グレアム博士 …… サリー=ホーキンス(38歳)
モナークに所属する古生物学者で、芹沢博士の助手。
ウィリアム=ステンツ少将 …… デイヴィッド=ストラザーン(65歳)
アメリカ海軍第七艦隊提督。ゴジラとムートーの殲滅作戦を指揮する。
父親が広島に投下された原子爆弾の輸送に関わっていたという設定があり、それを芹沢博士に語るシーンも撮影されたが、最終的にはカットされた。
登場する怪獣
ゴジラ / GODZILLA
身長108メートル、体重9万トン
オリジナル版ではジュラ紀から白亜紀にかけて生息していた巨大生物であったのに対し、本作ではより古いペルム紀に生息し、海棲爬虫類から陸上獣類への進化過程にあって当時の生態系の頂点に立っていた種族の末裔と設定されている。
本作では恐竜の学説に独自の解釈が取り入れられ、二足歩行の恐竜には前屈姿勢のみではなく直立姿勢の恐竜も存在し、ゴジラも直立姿勢の系統だったという説明がされている。
これまで説明が希薄だったエネルギー源が具体化されており、体内に原子炉のような器官を持ち、自ら莫大な熱エネルギーを生成することが可能となっている。外敵との戦いで危機に陥った際には、そのエネルギーを青い放射熱線と化して口から放出し、相手を攻撃する。また、その際には背ビレが青色に光る。オリジナル版のように背ビレ全てがいっせいに光って口から放つのではなく、尾先の背ビレから順に光っていく。ただし、熱線の放出には体力を相当に消耗するというリスクを背負っており、多用はできない奥の手でもある。
出自の経緯についても、現代のたび重なる核実験により安住の地を追い出されたというオリジナル版ゴジラとは異なり、ペルム紀末の大量絶滅の際に地下深くへと逃れていたものが、連続的な核実験により地球全体の放射能濃度が上昇したため、自らその放射能を求めて地上への再進出を図ったものとされている。
表皮はオリジナル版の隆起のあるゴツゴツしたものとは異なり、規則的に並んだワニの鱗のような表皮となっている。ただし、表皮自体はオリジナル版と同様に幾度となく受けた核攻撃により頑丈に硬化しており、アサルトライフルによる銃撃はおろか、M1エイブラムス戦車の砲撃や巡洋艦の艦砲射撃でさえも、傷一つつけることも不可能であるとされている。首元にエラを持っており、水中呼吸が可能となっている。
あくまで自身の天敵であるムートーにのみ敵意を燃やしており、人間には一切興味を示さず、たとえ攻撃を加えられても意に介さず反撃すらしない。だが、その巨体は移動するだけで高波の発生や建物の倒壊といった天災的な被害をもたらし、人智を超えた存在として、荒ぶる神であるかのように描かれている。
なお、劇中での呼称は英語読みの「 Godzilla(ガズィーラ)」であるが、芹沢博士だけは一貫して「 Gojira(ゴジラ)」と発音している。芹沢博士を演じた渡辺は劇中における「ゴジラ」の発音について、当初はエドワーズ監督から英語調の発音を依頼されたが、日本人としてのこだわりからそれを拒否し、日本語のままで発音したことを明かしている。
「ゴジラ」という名前の由来については劇中では明言されていないが、設定ではオリジナル版と同様に、日本の大戸島の伝説の怪獣「呉爾羅」にならって呼ぶようになったとされている。
ムートー / M.U.T.O.
ゴジラと同じく、ペルム紀に生息していた巨大生物。三角形の長い頭部、赤く輝く眼、2対の巨大な腕と胸部の小さい1対の副腕を持ち、全体的な風貌は昆虫に近い。放射線をエネルギー源とし、天然の原子炉ともいえるゴジラの体内に産卵する習性を持つが、現代においては核兵器や原子力発電所などの代替エネルギー源が豊富に存在するため、それらを優先して襲う。ゴジラとは太古の昔から敵対しており、ムートーは繁殖のために、ゴジラは自身の生存のために激突する。本作ではオスとメスのつがいが登場し、両者の形態は大まかには同一だが、オスがメスよりも小柄で、その代わりに腕の1対が翼となり飛行能力を有している。互いが遠くに離れていてもエコロケーション(反響定位)によって交信できるほか、強力な電磁パルスを放って周辺の電子機器を無力化し、人類側の軍事力を封じることができる。ノベライズ版では、この電磁パルスはゴジラの原子炉型器官にも干渉し、放射熱線を無力化するという使い方もできる。性格は非常に凶暴であり、人間の存在を認識して積極的に攻撃を仕掛ける。その一方で同族愛は強く、オスとメスが出会った際には喜ぶようにお互いの顔を擦りつけあったり、巣の卵を破壊された時には、それを嘆き悲しむかのような反応を見せている。雌雄で多くの卵を産んで繁殖する、あくまでも既存の生物の延長上の巨大生物(アメリカ SF映画伝統のグロテスクな巨大クリーチャーのイメージ)である。
名前は、「 Massive Unidentified Terrestrial Organism(未確認巨大陸生生命体)」の略である。
はいっ、まぁこういったわけなんですけれども、私自身の観た感想は、また次の機会に、ということでトンズラさせていただきまっす!
「ナニ、モイチ、ド!!」
えぇ、えぇ、なんてったってハリウッド製なんですから、そういうニッポンが出てくるのは覚悟していたわけなんですが、やっぱりそんな感じで愕然としましたよね。いや、まっとうすぎておもしろくもなんともないリアル日本が出てくるよりはマシなんですけどね。
静岡県ジャンジラ市。原発が至近距離にあるのに、まるで渋谷か有楽町みたいに高層ビルが密集しているジャンジラ市。
ものすごいですよね……今川義元もビックリよ。
『 GODZILLA ゴジラ』は、日本の同名映画キャラクターに基づいた2014年のアメリカ合衆国の SF怪獣映画であり、『ゴジラ』シリーズのリブートである。アメリカ合衆国の資本でゴジラ映画が製作されるのは、1998年公開の『 GODZILLA 』以来2作目。ワーナー・ブラザーズ映画とレジェンダリー・ピクチャーズ提供、レジェンダリー・ピクチャーズ製作。総製作費1億6千万ドル。
興行収入は、2014年6月23日時点でアメリカ合衆国で1億9千万ドル、世界で4億7千万ドルを売り上げている。
ちなみに、1998年版の『ゴジラ』は総製作費1億3千万ドルで興行収入はアメリカ合衆国で1億3千万ドル、世界では3億8千万ドルだった。
2004年公開のシリーズ第28作『ゴジラ FINAL WARS 』の商業的失敗(興行収入12億円)を受けて、東宝は以後10年間ゴジラ映画を製作しないことを発表し、それまで数々の特撮映画の海上シーンの撮影に使用した東宝大プールを解体した。『ゴジラ対ヘドラ』(1971年)の監督である坂野義光は、東宝からゴジラシリーズを元にした IMAX 3D による短編映画の製作権を獲得し、その後の2007年、坂野はアメリカのプロデューサーのブライアン=ロジャースと会い、ロジャースは2009年にレジェンダリー・ピクチャーズに話を持ちかけ、長編映画を製作するプロジェクトが開始された。
2009年8月、レジェンダリーが東宝と共同で新しいアメリカ版『ゴジラ』を製作して2012年に公開すると報じられ、2010年3月、レジェンダリーがゴジラの権利を獲得していたことが明らかとなった。レジェンダリーはワーナー・ブラザーズと共同製作、共同出資し、シリーズをリブートすることを発表した。ちなみに、1998年版『 GODZILLA 』を製作したトライスター・ピクチャーズは2003年に製作権が期限切れとなったため、本作には関与していない。レジェンダリーは1998年版に登場した「イグアナのような巨大生物」ではなく日本版に近いゴジラが登場する新作を計画した。レジェンダリー・ピクチャーズ会長兼 CEOのトーマス=タルは、「ゴジラは世界でも有数のポップカルチャー・アイコンであり、我々もその一ファンとして、ファンが見たいと思う映画を作りたいと考えている。」と説明した。
2010年10月にデヴィッド=キャラハムが脚本を書くことが報じられたが、2011年1月の時点で、すでにキャラハムは脚本製作から手を引いており、キャラハムによる第1稿が書き直されることも発表された。同年7月、デヴィッド=S=ゴイヤーが脚本書き直しに参加した。
2013年1月、フランク=ダラボンが追加で脚本を執筆することが報じられた。ダラボンはインタビューで、「『ゴジラ』を見て我々が学んだことは、ゴジラが広島と長崎の原爆、そして当時我々アメリカ人が行った核実験のメタファーであるということだ。」と答え、ゴジラを「自然が生み出した驚異」として描くと語った。
2012年7月、アメリカのサンディエゴで開催された「コミコン2012」にて、本作の約1分間のフッテージ映像が初公開された。上映後、監督を務めるギャレス=エドワーズは「(監督を任された)責任は十分承知している。」、「(ゴジラによるパニックが)実際に起きたらどうなるか、現実的に描きたい。」と語った。
撮影は、2013年3月18日にバンクーバー島のナナイモ周辺で始まり、6月30日のハワイのホノルルでの撮影などを経て、2013年7月18日にクランクアップした。しかし、出演した渡辺謙によれば、クランクアップ後も再撮影が続けられていたという。
音楽にはアレクサンドル=デスプラが起用された。デスプラは NHK BSプレミアムの TV番組『音で怪獣を描いた男 ゴジラ VS 伊福部昭』でのインタビューで、多くのシリーズ作品の音楽を担当した伊福部昭に触れ、「伊福部の音楽を学ばずして、ゴジラという存在を表現することはできない。」と敬意を表している。
視覚効果は、『ロード・オブ・ザ・リング』3部作でアカデミー視覚効果賞を受賞したジム=ライジールが担当する。着ぐるみを用いるオリジナル版と異なり、本作ではモーションキャプチャを用いてゴジラを描く。
2014年7月の日本公開を控えて放送されたラジオ番組『渡辺謙ゴジラを語る』に出演した渡辺によれば、撮影を終えた結果、4時間を超える内容になってしまったため、芹沢博士が原爆を語るシーンや登場人物たちの背景描写などが大幅にカットされたようである。
2013年7月20日に、サンディエゴの「コミコン2013」にて『ゴジラ』のパネルディスカッションが開催された。ギャレス=エドワーズ監督は、「プレッシャーは自ら課してしまったものだと思う。というのも、これこそ(自分が)やりたかったことだから。この作品が東宝のゴジラの一部になってほしいと思う。これこそ本物のゴジラ映画だ、といわれるように。」とコメントした。また、撮影のためにカナダへ入国した際、自分が『ゴジラ』の監督であることを説明すると、入国審査官たちに「絶対に変なもんつくるなよ!」と言われ、彼らと20分もの間、どうしたら良いゴジラ映画が撮れるかについて語りあったという。また、東宝からも「これまでの『ゴジラ』映画のレガシーを受け継ぐ作品にして欲しい。」と言われたと語った。
2014年2月28日には、ドイツ・ハンブルグにて本編の冒頭20分間のフッテージ映像が公開された。出席したエドワーズ監督は、質疑応答の際に1998年版『ゴジラ』について質問され、「本当のゴジラ映画ではない。」と断言し、「ゴジラのような怪獣映画を見たい時、人間の闘いなんて見たいとは思わない。」と語った。
2014年3月12日には、アメリカのサウス・バイ・サウスウエストにて新たなフッテージ映像の上映とエドワーズ監督へのインタビューが行われ、エドワーズは「優れた SF作品に共通するのは、作品が2つの事柄で構成されていることだと思うんだ。1つは、ただただ面白いこと。エンターテイメント作品として怪獣の闘いを観たいという観客の思いに答えることだね。でも2つ目としては、物語の背後に隠れた意味を説教臭くしないで伝えることも重要なんだ。そのためにはいくつかの視点で映画を語る必要がある。」と答えた。
アメリカでの映画公開後、アメリカで本作を二度観賞した俳優の宝田明(1954年のオリジナル版などに主演)は、「観客が、ゴジラが現れるのをいまかいまかと待っているのをひしひしと感じるんです。そして、ゴジラが出てくるとウワァーって拍手が沸き起こってビックリしました。何でこんなに愛されているんだろう?と涙が出てきました。」と感激を口にした。エドワーズ監督は、「日本でヒットするまでは祝福はできないよ。」と慎重な姿勢を見せながらも、「続編のオファーが来たらメガホンを握りたいか?」という質問には、「 YES!」と即答した。その際にゴジラシリーズから起用したい怪獣を尋ねられると、「キングギドラかラドンかな?」と楽しそうに答えていた。
シリーズ第25作『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』(2001年)の監督を務めた金子修介は、「映画は監督を選ぶことから始めたほうが良いものなのですよ。この映画、監督選択に成功した例でありましょう。」とコメントしている。ミレニアムゴジラシリーズ諸作の監督を手がけた手塚昌明は、「『畜生!やりやがった!……でも、正直、羨ましい。』というのが素直な感想です。」と語っている。VS ゴジラシリーズの特技監督を務めた川北紘一は、「ゴジラとムートーの戦いは、ちゃんとやっていたと思います。ゴジラも恐竜の延長じゃなくて、怪獣として描いているので、そのあたりは良かったんじゃないかな。」とコメントしている。昭和ゴジラシリーズの多くで特技監督を務めた中野昭慶は今作の3D 制作について、「手前と奥とのカットバックや、全体のバランス、ドラマの作り方も徹底して3D を研究している。」と語った。
なお、本作を平成『ガメラ』3部作(1995~99年)と重ねて評価するファンも存在し、3部作の監督も手がけた金子本人も作品の類似点に言及している。
全体的に作品の評価は高いが、ガーディアン誌は、「日本のゴジラに込められていた反核の風刺が、この映画では滑稽なほど弱まっている腹立たしいリブートだ。」と批判している。ワシントン・ポストは主演のアーロン=テイラージョンソンの演技について、「ハリウッド映画のステレオタイプの肉体派俳優に成り下がってしまった。」と評している。
本作の世界的な大ヒットを受け、早くも続編の企画が進められており、『ハリウッド・リポーター』誌は、ワーナーとレジェンダリーが3部作構成を計画していることを報じた。その後、「コミコン2014」にて、続編にはゴジラの他にラドン、モスラ、キングギドラが登場することが発表された。
あらすじ
1999年。フィリピンの炭鉱を調査していた科学者・芹沢博士と助手のグレアム博士らは、そこで巨大な生物の化石を発見する。その化石には2つの繭のようなものが寄生するように付着しており、その片方からは、何かが誕生して海へと這い出た痕跡があった。その直後、日本の太平洋岸の都市・静岡県雀路羅(じゃんじら)市にある原子力発電所に勤務するブロディ夫妻は、近づきつつある謎の振動と電磁波を探知する。その振動によって炉心が異常をきたしたため、妻サンドラは原子炉の調査へと向かうが、奇怪な鳴き声と共に大きな揺れに襲われる。夫ジョーは街の住民を守るべく、原子炉の内部にサンドラを残したままやむなく防護壁を閉じ、ジャンジラ原発は倒壊した。
それから15年後の2014年、ジョーとサンドラの息子フォードは軍での任務を終えてアメリカ・サンフランシスコの家族のもとに帰ってくるが、日本に暮らすジョーが警察に逮捕されたという知らせを受け、急遽日本に向かう。ジョーは事故の真相を探るべく、放射能汚染により立入禁止区域となったジャンジラ原発跡地に侵入したため逮捕されてしまったのだった。ジョーはフォードと共にかつての実家に残されたデータを回収するべく放射能汚染エリアに再侵入するが、そこでは野良犬が元気に走り回っており、ガイガーカウンターにも放射線反応はない。実家にたどり着きデータを回収するも現地パトロールに見つかり、2人は原発跡地内に建造された異様な研究施設に連行される。
研究施設で2人は、巨大な繭を目にする。それは、かつて原発事故が起きた際に観測された謎の電磁波と同じものを放っており、そこから何かが孵ろうとしている。秘密研究機関「モナーク」の管理下にある研究所は、目覚めようとしている生物を食い止めるべく抹殺しようとするが時すでに遅く、繭からは昆虫のような細い足を持った巨大生物「ムートー」が出現して研究所を破壊し、背中から羽を伸ばして飛び去ってしまう。その際にジョーは重傷を負い、間もなく死亡した。
ムートーは、太平洋を東へと向かう。芹沢博士をはじめとする「モナーク」もアメリカ軍の管理下に収まり、フォードと行動を共にすることになった芹沢博士は、フォードにモナークの活動目的と巨大生物の秘密について語る。
現在からおよそ2億7千万年前の古生代ペルム紀。現在より高濃度の放射能に覆われていた地球上では、多くの怪獣たちが当時の生態系の頂点をめぐって激しい生存競争を繰り広げていたが、ペルム紀末の大量絶滅とそれに伴う放射能濃度の低下により、彼らは地底深くへと追いやられていった。しかし、20世紀の第2次世界大戦を皮切りに世界各地で核開発と実験が相次ぐようになったために地表の放射能濃度は上昇し、1954年、アメリカ軍の原子力潜水艦ノーチラスがとある怪獣を発見した。その後、アメリカ軍は核実験を名目として怪獣への核攻撃を実行したが、逆に怪獣を強化する結果になってしまい、怪獣は攻撃後に行方をくらました。モナークは長年それを調査しており、芹沢博士はその怪獣を「ゴジラ」と呼んだ。フィリピンで発見された巨大な化石はゴジラの祖先にあたり、それに寄生していたものはムートーの祖先と考えられた。体内に原子炉を持つゴジラと、放射線をエネルギーとするムートーは闘いが宿命づけられた関係にあった。芹沢博士は、ムートーを排除するためにゴジラも必ず活動を再開すると推測していた。
ジャンジラ市を去ったムートーはハワイに上陸。ロシアの原子力潜水艦を襲い核燃料を捕食しながらホノルル市街地に進行し、軍隊と戦闘を繰り広げるが、そこへムートーを追跡してきたゴジラがついに上陸し、両者はホノルル国際空港で対決するが決着はつかず、飛び去ったムートーを追ってゴジラも海へ消えた。
一方、アメリカ本土のネバダ州ユッカマウンテン放射性廃棄物処分場に保管されていた、1999年にフィリピンの炭鉱から回収されたもう一つの繭からは、メスのムートーが羽化する。処分場から逃げ出したムートーはラスベガスの街を蹂躙した。芹沢博士は、2体のムートーは繁殖のために同じ場所を目指していると断定し、ゴジラの後を追うアメリカ海軍は、サンフランシスコ湾で3体の怪獣が激突すると予測した。
おもなスタッフ
監督 …… ギャレス=エドワーズ(39歳)
原案 …… デイヴィッド=キャラハム(36歳)
脚本 …… マックス=ボレンスタイン、フランク=ダラボン(55歳)、デヴィッド=キャラハム、ドリュー=ピアース(38歳)、デヴィッド=S=ゴイヤー(48歳)
音楽 …… アレクサンドル=デスプラ(52歳)
撮影 …… シェイマス=マクガーヴェイ(47歳)
視覚効果 …… ジム=ライジール
おもなキャスティング(年齢は劇場公開当時のもの)
フォード=ブロディ大尉 …… アーロン=テイラージョンソン(24歳)
本作の主人公。アメリカ海軍の爆弾処理を専門とする特殊部隊「 Navy EOD 」の隊員。
エル=ブロディ …… エリザベス=オルセン(25歳)
サンフランシスコ総合病院に勤務する看護師で、フォードの妻。
ジョー=ブロディ …… ブライアン=クランストン(58歳)
核物理学者でフォードの父。妻サンドラの死後、ジャンジラ原発事故に関するアメリカ・日本両政府の情報隠蔽を疑い、事故の真の原因を単独調査していた。
サンドラ=ブロディ …… ジュリエット=ビノシュ(50歳)
ジョーの妻。日本の静岡県ジャンジラ市にある原子力発電所で働いていたが、突如発生した原発事故により命を落とす。
芹沢 猪四郎 …… 渡辺 謙(54歳)
秘密研究機関「 MONARCH(モナーク)」に所属する生物科学者。放射線が生物に与える影響を調査しており、フィリピンで発見された謎の化石と、それに寄生する繭の謎を追っている。太平洋戦争時に広島の原爆投下で被爆した亡父がいる(直接の被爆では亡くなっておらず、その後遺症で亡くなった設定)。
演じた渡辺謙によれば、当初は父親の広島での体験をステンツ提督に語るシーンも撮影されていたが、最終的には時間の都合によってカットされた。
名前は、1954年版『ゴジラ』に登場した芹沢大助博士と、ゴジラシリーズで多くの作品の監督を務めた本多猪四郎に由来する。
ヴィヴィアン=グレアム博士 …… サリー=ホーキンス(38歳)
モナークに所属する古生物学者で、芹沢博士の助手。
ウィリアム=ステンツ少将 …… デイヴィッド=ストラザーン(65歳)
アメリカ海軍第七艦隊提督。ゴジラとムートーの殲滅作戦を指揮する。
父親が広島に投下された原子爆弾の輸送に関わっていたという設定があり、それを芹沢博士に語るシーンも撮影されたが、最終的にはカットされた。
登場する怪獣
ゴジラ / GODZILLA
身長108メートル、体重9万トン
オリジナル版ではジュラ紀から白亜紀にかけて生息していた巨大生物であったのに対し、本作ではより古いペルム紀に生息し、海棲爬虫類から陸上獣類への進化過程にあって当時の生態系の頂点に立っていた種族の末裔と設定されている。
本作では恐竜の学説に独自の解釈が取り入れられ、二足歩行の恐竜には前屈姿勢のみではなく直立姿勢の恐竜も存在し、ゴジラも直立姿勢の系統だったという説明がされている。
これまで説明が希薄だったエネルギー源が具体化されており、体内に原子炉のような器官を持ち、自ら莫大な熱エネルギーを生成することが可能となっている。外敵との戦いで危機に陥った際には、そのエネルギーを青い放射熱線と化して口から放出し、相手を攻撃する。また、その際には背ビレが青色に光る。オリジナル版のように背ビレ全てがいっせいに光って口から放つのではなく、尾先の背ビレから順に光っていく。ただし、熱線の放出には体力を相当に消耗するというリスクを背負っており、多用はできない奥の手でもある。
出自の経緯についても、現代のたび重なる核実験により安住の地を追い出されたというオリジナル版ゴジラとは異なり、ペルム紀末の大量絶滅の際に地下深くへと逃れていたものが、連続的な核実験により地球全体の放射能濃度が上昇したため、自らその放射能を求めて地上への再進出を図ったものとされている。
表皮はオリジナル版の隆起のあるゴツゴツしたものとは異なり、規則的に並んだワニの鱗のような表皮となっている。ただし、表皮自体はオリジナル版と同様に幾度となく受けた核攻撃により頑丈に硬化しており、アサルトライフルによる銃撃はおろか、M1エイブラムス戦車の砲撃や巡洋艦の艦砲射撃でさえも、傷一つつけることも不可能であるとされている。首元にエラを持っており、水中呼吸が可能となっている。
あくまで自身の天敵であるムートーにのみ敵意を燃やしており、人間には一切興味を示さず、たとえ攻撃を加えられても意に介さず反撃すらしない。だが、その巨体は移動するだけで高波の発生や建物の倒壊といった天災的な被害をもたらし、人智を超えた存在として、荒ぶる神であるかのように描かれている。
なお、劇中での呼称は英語読みの「 Godzilla(ガズィーラ)」であるが、芹沢博士だけは一貫して「 Gojira(ゴジラ)」と発音している。芹沢博士を演じた渡辺は劇中における「ゴジラ」の発音について、当初はエドワーズ監督から英語調の発音を依頼されたが、日本人としてのこだわりからそれを拒否し、日本語のままで発音したことを明かしている。
「ゴジラ」という名前の由来については劇中では明言されていないが、設定ではオリジナル版と同様に、日本の大戸島の伝説の怪獣「呉爾羅」にならって呼ぶようになったとされている。
ムートー / M.U.T.O.
ゴジラと同じく、ペルム紀に生息していた巨大生物。三角形の長い頭部、赤く輝く眼、2対の巨大な腕と胸部の小さい1対の副腕を持ち、全体的な風貌は昆虫に近い。放射線をエネルギー源とし、天然の原子炉ともいえるゴジラの体内に産卵する習性を持つが、現代においては核兵器や原子力発電所などの代替エネルギー源が豊富に存在するため、それらを優先して襲う。ゴジラとは太古の昔から敵対しており、ムートーは繁殖のために、ゴジラは自身の生存のために激突する。本作ではオスとメスのつがいが登場し、両者の形態は大まかには同一だが、オスがメスよりも小柄で、その代わりに腕の1対が翼となり飛行能力を有している。互いが遠くに離れていてもエコロケーション(反響定位)によって交信できるほか、強力な電磁パルスを放って周辺の電子機器を無力化し、人類側の軍事力を封じることができる。ノベライズ版では、この電磁パルスはゴジラの原子炉型器官にも干渉し、放射熱線を無力化するという使い方もできる。性格は非常に凶暴であり、人間の存在を認識して積極的に攻撃を仕掛ける。その一方で同族愛は強く、オスとメスが出会った際には喜ぶようにお互いの顔を擦りつけあったり、巣の卵を破壊された時には、それを嘆き悲しむかのような反応を見せている。雌雄で多くの卵を産んで繁殖する、あくまでも既存の生物の延長上の巨大生物(アメリカ SF映画伝統のグロテスクな巨大クリーチャーのイメージ)である。
名前は、「 Massive Unidentified Terrestrial Organism(未確認巨大陸生生命体)」の略である。
はいっ、まぁこういったわけなんですけれども、私自身の観た感想は、また次の機会に、ということでトンズラさせていただきまっす!
「ナニ、モイチ、ド!!」
えぇ、えぇ、なんてったってハリウッド製なんですから、そういうニッポンが出てくるのは覚悟していたわけなんですが、やっぱりそんな感じで愕然としましたよね。いや、まっとうすぎておもしろくもなんともないリアル日本が出てくるよりはマシなんですけどね。
静岡県ジャンジラ市。原発が至近距離にあるのに、まるで渋谷か有楽町みたいに高層ビルが密集しているジャンジラ市。
ものすごいですよね……今川義元もビックリよ。