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なんで馬に乗ってるセミがこんなにかっこいいのだろう 映画『仮面ライダー対じごく大使』 ~資料編~

2014年08月18日 23時35分43秒 | 特撮あたり
映画『仮面ライダー対じごく大使』(1972年7月16日公開 34分 東映)

 『仮面ライダー対じごく大使』は、「東映まんがまつり・へんしん大会」のプログラムとして公開された東映の中編映画作品。TV 番組『仮面ライダー』の劇場オリジナル映画第2作。
 公開当時、1972年の日本は「変身ブーム」の真っ只中にあり、テレビ各局がこぞって「変身」を見せ場とした特撮ヒーロー番組を競作し、子どもたちが「ヘンシンごっこ」に熱中していた。このブームの中、劇場版の前作『仮面ライダー対ショッカー』(3月公開)が丸の内東映のアンケート調査で人気1位になったことを受け、東映は恒例の「東映まんがまつり」の夏休みプログラム興行を「へんしん大会」と銘打ち、そのメインとして本作が制作された。
 物語は、石森章太郎によるコミカライズ版『仮面ライダー』の最終話『仮面の世界(マスカーワールド)』を原案とし、富士山麓における改造人間軍団と仮面ライダーとの攻防を描く。作品タイトルでショッカー大幹部・地獄大使の「地獄」をひらがなで表記しているのは、より広範囲の観客層へのアピールを図ったためとされる。
 なお、一文字隼人(仮面ライダー2号)は本作には登場しない。
 本作の空撮シーンでは元日本軍の特攻隊員がヘリコプターのパイロットを務め、超低空飛行で送電線の下をくぐるなど、航空法に違反すると思われる操縦をしていた。同乗した撮影の川崎龍治は高所恐怖症であったことに加え、眼前に爆炎が迫ることに恐怖を感じ、撮影助手は失禁していたという。

 本作の撮影中、主演の本郷猛役の藤岡弘が失踪して制作が中断する事態に見舞われている。
 藤岡は1972年5月、同年10月に NHKで放映予定のドラマの出演オーディションに合格していた。しかしこの一件が事後報告であったために、『仮面ライダー』制作者である東映や毎日放送とトラブルとなり、一時期行方をくらませてしまった。当時の新聞報道によれば、藤岡は川崎市内の工事現場で働いているところを発見されインタビュー記事も掲載されていたが、藤岡自身は後年のインタビューで伊豆方面を放浪していたと述べている。
 主演俳優の不在という事態にまず TV本編の制作現場が大混乱となり、その結果、本来ならば本作で新登場するはずだった改造人間カミキリキッドが、第66話『ショッカー墓場 よみがえる怪人たち』(7月1日放映)に先行登場する対応が取られた。
 また、本作ではショッカー大幹部・地獄大使との対決を打ち出す一方で、公開前にもう1人の大幹部・死神博士との決着を TV本編で終結させる予定だったが、それも藤岡の失踪によって撮影スケジュールが大きく狂うこととなる。死神博士との決着は延期になり、死神博士の正体として用意された改造人間ギリザメスは、第67話『ショッカー首領出現!ライダー危うし』(7月8日放映)に通常の改造人間として登場することとなった。この混乱を経て、第68話『死神博士 恐怖の正体!』(7月15日放映)の撮影時に藤岡が復帰し、本作公開前日の放映となった同話で死神博士はイカデビルをその正体として仮面ライダー1号に倒され、新サイクロン号の登場も本作の公開に間に合わせることに成功した。
 なお、本作の中盤での山場となった朝霧高原ロケは梅雨時にずれ込み、湿気のためにピントが合わず、撮影に苦労したという。
 番組プロデューサーの平山亨と阿部征司は、藤岡のオーディション参加やその後の失踪は彼の所属事務所社長の命令だったのではないかと見解を示している。
 本件の後、藤岡とその所属事務所は、励ましの声を送り続けたファンへの感謝として後援会「本郷猛の会」を発足した。その一方、TV シリーズでは藤岡のスケジュール調整が行われ、後の「ゲルショッカー編」では本郷の出番が極力減らされる形となり、藤岡は他 TVドラマへの出演数を増やしていった。


あらすじ
 仮面ライダー1号こと本郷猛と滝和也は東日本ロードレースに出場するが、ショッカーの妨害を受ける。ショッカーは富士山頂の大要塞にスーパー破壊光線砲を設置し、日本全土を焼き払う作戦を進めていた。これを阻止しようとする仮面ライダー1号の前に、カミキリキッド率いる改造人間軍団が立ち塞がる。


登場する改造人間
カミキリキッド …… 二見 忠男(声の出演 41歳)
 別名「レーザー怪人」、「催眠怪人」。
 富士の樹海に生息するカミキリムシを元にした改造人間。頭部の触角からレーザー光線、口から相手を麻痺させる白い痺れガスを噴出する。左手のツメは鋭利なハサミ状になっている。弱点は脚部と、頭部の電極部分。
 立花レーシングクラブを襲撃し、痺れガスで立花藤兵衛らを眠らせて誘拐する。その後、富士山頂の大要塞に潜入した1号と滝を迎え撃つ。
 当時の子どもたちの人気は高く、同年8月発売の雑誌『テレビマガジン』9月号の「ショッカー怪人・人気コンテスト」では総合1位に入賞している。
 主演の藤岡弘の失踪による制作中断の都合により、本作に先駆けて TVシリーズ第66話で初登場したが、本作とは別個体と解釈されている。

再生改造人間軍団
カブトロング
 ……序盤で登場。

ハリネズラス、セミミンガ、ゴキブリ男、ギリーラ
 ……ショッカー戦闘員を指揮して出撃する。ハリネズラスがカミキリキッドと共にリーダー的役割を果たす。

ジャガーマン、サイギャング、セミミンガ
 ……朝霧高原戦で出撃する。ジャガーマンとサイギャングはオートバイ部隊、セミミンガは騎馬部隊を指揮している。

ザンジオー、海蛇男、ミミズ男、エイキング、ゴースター、プラノドン、キノコモルグ、ドクモンド、ムササビードル、ザンブロンゾ、毒トカゲ男
 ……富士山五合目でライダー1号と滝を迎撃する。ザンジオーがリーダー格となる。キノコモルグとムササビードルは TV版と異なりブーツを履いている。エイキングは TV版では巻いていなかったショッカーベルトを腰に巻いている。ミミズ男は TV版ではミミズ状の触手だった左手が右手と同じく人間型の手になっている。


おもなスタッフ
監督  …… 山田 稔(46歳)
脚本  …… 伊上 勝(41歳)
音楽  …… 菊池 俊輔(40歳)
美術  …… 高橋 章(34歳)
装飾  …… 八木 功(21歳)
編集  …… 菅野 順吉(41歳)
助監督 …… 長石 多可男(27歳)
技闘  …… 岡田 勝(22歳)
主題歌『レッツゴー!!ライダーキック』(歌・藤浩一、メール・ハーモニー)
エンディング『仮面ライダーのうた』(歌・藤浩一、メール・ハーモニー)


おもなキャスティング
本郷 猛 / 仮面ライダー1号 …… 藤岡 弘(現・弘、 26歳)
滝 和也     …… 千葉 治郎(23歳)
地獄大使     …… 潮 健児(47歳)
ユリ       …… 沖 わか子(20歳)
エミ       …… 高見 エミリー(17歳)
立花 藤兵衛   …… 小林 昭二(41歳)


 まさか、人気絶頂のさなかに公開されたこの作品もまた、あの『ゴーゴー仮面ライダー』に勝るとも劣らないトラブルに巻き込まれていたとは……藤岡さんも制作スタッフも、いろいろ大変だったんだなぁ!
 ということで、肝心カナメの本文のほうは、もうちょっと(ちょっと……?)待っててくださいね~!!
コメント
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