
あれから3年2ヶ月、と言っても、あの株はバラしてしまいました。









虎っぽい系統があるのではと、かなり前に印をしてあった木で、根色もちょっと綺麗です。


変化の兆しではないかと期待してますが、なかなかここから前に進もうとはしてくれません。

なんとか生きてる間に変化を見てみたいものです。
さて錦紺冠(きんこんかん)という名前ですが、ふざけて付けたのではないかと言われることもありましたが、
大真面目に考えて付けたものです。

私がこの品種を初めて見たのは高知の展示会で、錦織を初めて見た時のような衝撃的な出会いでした。
空海の名が付けられていて、ぜひとも欲しいと思ったのですが、出品者に交渉してみると、
値段はなんと500万。(*_*) 羆が一千万だから、その半分とのことでした・・・。
紺覆フェチな私は、最大級の誉め言葉として
「国光殿と星光殿の良いとこ取りのような素晴らしい品種ですね」と感動を伝えたのですが、
安い品種に例えたのが気分を害したような雰囲気でした。

それから暫く経って安城の祐さん家の棚で見掛け、必死で交渉しました。
予想よりもちょっといいお値段だったので値下げ交渉をしたかったのですが、高千穂の縞(龍泉錦)の良い木と交換したのだから、高くついてるんだとのこと。
え〜お宅の高千穂は富士錦じゃん、と言いたかったけど、
そうもいかないので、値切るのは諦めて購入しました。

そしていつものようにもっと欲しくなって、数年後に残りの株も分けてもらいました。
程なく空海の名前で宮崎産の別の木が出回るようになり、
またそもそも空海の名は小豆島産の木に以前から使われていたため、
整理する必要がありました。
未登録品種の場合、名前を付けるのは勝手ですが、私は基本的には先に付けた方が優先、
また書籍で紹介された方が優先と考えています。
空海の場合、その両方において小豆島産が先んじていたため、
名前をなんとかしろと言われ、錦紺冠の名前を考えました。

高知の展示会場に出向き、空海の命名者にその提案をしところ、外向けにはその名前でいいけど、
県内では土佐空海の名前にしたいとのことでした。
全国大会で私が初披露した頃の話です。
ところが、今度は土佐空海の名前で宮崎産の木が出回るようになり、
全国大会の即売コーナーや交換会で見掛ける土佐空海のラベルの木は
全て宮崎産の木、という有り様でした。

そのため宮崎産の木には碧葉城と名付けて区別しようとしたのですが時既に遅しで、
宮崎産の木には土佐空海のラベルが立てられているのが普通になってましたから、
人様の持ってるものに対して「これは土佐空海ではありません」とは言いにくい状況でした。
これは慌てるよりも急がば回れと考え、敢えて空海と土佐空海と錦紺冠との関係について書いたりはせず、
錦紺冠の名前で展示して「これは錦紺冠ですか?」と鑑定を求められた時だけ、
「私が名付けた錦紺冠とは違います」あるいは「同じものです」と答えるようにしてました。

ずいぶん時間はかかりましたが、最近は偽物を見掛けることは少なくなりました。
あ、偽物と言いましたが、碧葉城もいい木ですよ。

長くなりましたが、この品種はいつの日か登録されてもいいのでは、と思ってます。
その時には、錦紺冠でも土佐空海でもなく、元の空海の名が相応しいと個人的に勝手に思ってます。
小豆島産の木は今となっては富貴蘭の範疇に入れるほどの芸ではなく(好きな方がいたらごめんなさい)、
まったく見掛けることも無くなりましたから、誰も文句は言わないのではないでしょうか。
名前を付けるのも結構大変なんですよ〜ってお話でした。


手持ちの錦紺冠と土佐空海を比べると、紺が弱く、少し小さい木があります。この木が碧葉城でしょうか?
よろしいお願いします。
二つを比べると、碧葉城の方がやや小型で癖のない立ち葉です。
また葉色はやや淡く、紺覆部分が錦紺冠ほどは盛り上がっていないです。
書かれてる特徴からすると、碧葉城なのかもしれませんね。
花形も違いますから、一度見比べてみてください。