秋芽が動いて、伸長中の神衣です。
秋芽は寒さとともに伸びが鈍り、冬の間はお休みしますが、春にはまた伸びてくれるので、
見た目にも生育上も特に問題はありません。
さて、神衣は3種類の芸が同居した複合芸で、季節によって違う顔を見せてくれるものですが、
秋芽が出ると、春と秋の芸を同時に見ることができる利点があります。
こちらは別の株です。
神衣は日本長生蘭連合会に登録し、大会に展示したり、本で紹介されもしましたが、
未だにその芸の凄さはほとんど理解されていないようです。
何人かの方と話をしてみると、あまりにも複雑で前例のない芸のためか、
実物を見ても季節変化の仕方を聞いても、その正体が理解できないようです。
長生蘭のベテランの方々が大会で現物を目の前にしても理解できないのですから、
現物を見てない方にはなおさら理解不能でしょうね。
どうやらこの品種は作って手元で観察しないと、その芸が理解出来ないようです。
さらに、最上芸品となると、全国に十指に満たないくらいしか存在しないでしょうから、
世の長生や斑入り野生蘭愛好家に広く楽しんでもらえるようになるには、
まだ数十年の月日が必要なようです。
しかし、富貴蘭の湖東錦や羆、春蘭の国宝がそうであるように、
貴重な品種が稀少性を保ち続けることは、
伝統園芸の世界では良いことだと思います。
とりあえず、私は存分にこの品種を楽しませてもらうとともに、登録者の一人として、
後世の愛好家が楽しめるように大切に受け継いでいきたいと思ってます。