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零戦神話の虚像と真実  清水政彦 x 渡邉吉之  宝島社

2016年03月02日 09時00分00秒 | 雷日記
こんにちは、落雷抑制システムズの松本です。

金融法務を専門とする弁護士でありながら航空機と戦史についての研究をライフワークとする清水さんと航空自衛隊のF15Jのパイロットであった渡邊さんとの対談形式で空中戦、とりわけ零戦にまつわる話を分析しているのですが、清水さん、素人と言いながら流石に弁護士。 細かな事を調べ上げる調査力はただの素人ではありません。

零戦や大和についての話は、敗戦の負け惜しみなのか、かなり自画自賛的な話が多く、そんなに強い戦闘機がありながらどうして戦争に負けたのか? アチラコチラに「大本営発表」が散りばめられた零戦神話であったようです。  零戦は、武骨で荒々しい米国の戦闘機に比べると、工芸品のように美しすぎて弱弱しく、武器/兵器と言う観点からは、生産性、互換性、耐久性が大事で「戦争の道具」としては線が細すぎます。 デザインに曲線など使わずに直線で構成した方が現場での修理は楽でしょう。 自画自賛は心地良いでしょうが、何事も100%の完璧はあり得ないのですから、良い点/悪い点を客観的に評価せねばなりません。

零戦は三菱による開発ですが、生産数は中島飛行機の方が多く、三菱製と中島製の同じ零戦でも全ての部品が完全互換ではなかったというオドロキの話を読んだ事がありますが、やはりそうであろうと納得なのは、格納庫もない南方の飛行場で野ざらしにされた零戦は、3か月もすると壊れてしまったそうです。 強烈な日差し、毎日のスコール、温度と湿度の高い場所は精密機械には苦手な環境なのです。 

成田空港の端に航空博物館があり、息子が小さい時に良く行きました。 しかし、行くたびに悲しくなるのが屋外展示で野ざらしにされた YS-11 が行くたびに状態が悪くなっているのです。 それに比べると、ワシントンDCのスミソニアン博物館、巨大な建物に往年の名機が多数、屋内展示で保管されているのです。 日本は豊かになったとは言え、産業機械の展示については貧しい国です。日本にもスミソニアン博物館に匹敵するような航空博物館が欲しいものです。

零戦の撃墜王、酒井三郎さんの話の中にも 20mm機銃は発射の初速に比べて弾丸の重量が重く、弾道が下を向いてしまう「ションベン弾」であるため、 7.7mm機銃の方が良かったとの話がありましたが、7.7mm機銃も悲しいかな、弾丸が軽過ぎて命中した時の角度によってははね返されてしまうものであったそうです。  3次元を高速で移動しながらの撃ち合い、空中戦での機銃など命中するものではないと言う元戦闘機パイロットのご意見はもっともです。

機銃の弾丸の中には数発に1発、光を放つ曳光弾があり、弾丸の軌道が光って見えて分かり易いのですが、これも弾道の特性が異なるために、必ずしも全ての弾丸の軌跡を表わしてはいないため、曳光弾の軌跡を標準の目当てに使用してはならないようで、すると何のための曳光弾? ということになります。 そういえば、陸上自衛隊の攻撃ヘリ AH47 も以前は機首の30mm機銃は曳光弾を発射し、富士総火演の見世物としては派手で良かったのですが、最近は曳光弾を含まないので発射している事が分かり難く見世物としては全く迫力に欠け、総火演は、見世物なのですから機関銃の発射が良く分かる曳光弾にして欲しいと以前、ブログに書いた事があります。

それにしても第二次大戦中の武器の性能や用兵のことは問題だらけ。 現場の方達はさぞ大変であったことでしょう。 清水さんと渡邉さんの事細かな分析に関心しました。

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