以後、17世紀に入って、教皇たちは巨費を投じてサン・ピエトロ大聖堂を変えていきます。1612年には、身廊が引き伸ばされ、列柱の聳える巨大なファサード(facciata、facade、建築物の正面部分)が完成します。「ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ(Gian Lorenzo Bernini、バロック期を代表するイタリアの彫刻家、建築家、画家)」は、信者を迎え入れる手を表す、楕円形のサン・ピエトロ広場を囲むコロネード(colonnade、円柱間の上部を水平の梁で連結した柱廊)を設計します。
現在のサン・ピエトロ大聖堂は、建築様式でいうと「バジリカ」ではありません。しかし、サン・ピエトロ大聖堂のイタリア名は“Basilica di San Pietro in Vaticano”(バジリカ・ディ・ピエトロ・イン・ヴァティカーノ)です。ローマには五大バジリカがあるといいます。それは、サン・ピエトロ大聖堂(Basilica di San Pietro in Vaticano)、サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂(Basilica di Santa Maria Maggiore)、サン・ジョバンニ・イン・ラテラノ大聖堂(Basilica di San Giovanni in Laterano)、サン・パオロ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂(Basilica di San Paolo fuori le Mura)、サン・ロレンツォ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂(Basilica di San Lorenzo fuori le Mura)の5つです。この5つのバジリカは、ローマ教皇により、一般の教会堂より「上位にある」ことを認められた教会堂という意味での「バジリカ」です。