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 2011年6月30日午前8時16分ごろに長野県の中央部にある松本市を下から突き上げるような揺れが襲ったといいます。いわゆる、狭い範囲で激しく揺れる典型的な「直下型地震」でした。直下型地震は、活断層の活動に伴って発生するもので、海溝型地震と較べて、被害の大きさが異なります。

 小さな横揺れに始まり、大きな横揺れへと移行する海溝型とは異なり、震源の上には私たちの生活の場があり、突然の縦揺れに襲われるのです。建築物は重力方向とは垂直な横の揺れにはある程度その力を吸収することはできるのですが、重力方向と同じである大きな縦の揺れに対しては無力のところがあります。

 建物の外壁の剥脱、天井や屋根瓦の落下、また、ブロック塀の倒壊などが容易に起こります。予兆が少ないので、ブロック塀のすぐ脇や屋根瓦の下などの危険な箇所から身を避ける余裕すら与えてくれません。身が危険に晒されるかどうかは運が左右するのです。この松本市の直下型地震では、室内に積んでいた本が崩れ、下敷きになって亡くなった男性がいました。この時間に仕事休みだったのか、寝ていたことが不運でした。

 1995年1月17日午前5時46分に発生し、「阪神・淡路大震災」を引き起こした「兵庫県南部地震」は直下型地震でした。この地震による死者はおよそ6,400人。ある研究によると、死者の80%ほどにあたる約5,000人は倒壊した木造家屋の下敷きになって地震発生直後に亡くなったといいます。特に1階で就寝中に圧死した人が多かったのだそうです。直下型地震では、屋根瓦と2階の重みで、1階の柱が折れて1階部分が潰れ、生存のスペースが局限されてしまうのだそうです。

 このことから、就寝はなるべく2階の方が直下型地震に対しては、望ましいことになります。建物が倒壊しても2階は生存のスペースとして残りやすいのだそうです。そのことを考え、我が家では、寝る場所は2階とし、枕元には各自靴が置いてあります。

 「プレート理論(plate tectonics、プレートテクトニクス)」によると、地球の表面は何枚かの固い岩板(「プレート」)で構成されており、このプレートが対流するマントルに乗って互いに動いています。東北日本の東の海中では、太平洋プレート(海洋プレート)が東北日本をのせた北アメリカプレート(大陸プレート)ににぶつかって、斜め下 40~50°の角度で沈み込んでいます。




 地震を震源が陸地か海底かで分類する「直下型(内陸型)」、「海溝型」以外に、プレートのどこに震源があるかで分類する「大陸プレート内地震」、「プレート境界地震」、「海洋プレート内地震」があります。

 大陸プレート内地震は、プレート同士のぶつかり合いの結果、プレートの内部にも歪みがたまって発生する地震です。歪みのエネルギーは断層を生じさせることで解き放たれます。「断層(fault)」は、地層や岩盤に何らかの力が加わって割れ、その割れた面に沿ってずれたことで食い違いが生じている状態をいいます。

 そのなかで、また何らかの力が加わってずれが生じる可能性のあるものを「活断層(active fault)」といいます。1995年の兵庫県南部地震を契機として、各地で活断層調査が実施されたことから、活断層はある程度把握されています。

 しかし、活断層の「活動」の繰り返し間隔は、断層ごとに異なり、千年~数万年であると言われています。活断層の活動はプレート境界地震と較べて、繰り返し期間が長く、歴史が記述されるようになってから日の浅い人類には、活断層の活動履歴を正確に把握することはできません。ほとんどいつ起こるか知ることはできないと言っていいようです。



 長野県には、「糸魚川‐静岡構造線断層帯」があります。その中部付近の「牛伏寺断層(ごふくじだんそう)」の平均活動間隔はおよそ1,000年で、762年6月9日に起こったマグニチュード7.0以上の地震がこの断層帯の活動によるものではないかと考えられています。それからすでに1,250年ほど経っています。
 
 政府の地震調査委員会は、松本市で今回の地震が発生する3週間前ほどの6月9日に、東日本大震災に伴う地殻変動によって、国内の主要活断層のうちの「糸魚川‐静岡構造線活断層系の中部付近」、「立川断層帯」、「双葉断層」での地震発生確率が高まった可能性があると発表していました。

 2011年3月11日に発生したマグニチュード9.0の「東北地方太平洋沖地震」では、日本列島を東西に引っ張る強い力が働き、その影響で活断層への力のかかり方も変化したのだそうです。地震調査委員会がその変化した力のかかり方を主要な活断層106について解析した結果、上記の3つに地震を起こしやすくする力が働いていることがわかったといいます。

 地震調査委員会は、30年以内の地震発生確率をこれまで、糸魚川‐静岡構造線活断層系の中部付近でM(マグニチュード)8程度の地震が14%、立川断層帯でM7.4程度の地震が0.5~2%、双葉断層でM6.8~7.5の地震がほぼ0%としていました。地震発生確率の上昇の程度は発表されませんでした。この「糸魚川‐静岡構造線活断層系の中部付近」での地震発生確率は、2001年の発表では、30年以内で14%、50年以内では23%、100年以内では41%とすでに高率だったのです。今回の松本市で地震は、M8規模の地震の予兆なのでしょうか。



 私たち一家の暮らす地域の20~30kmほど西には、指摘された活断層の一つ「立川断層帯」があります。立川断層帯は、東京都から埼玉県にまたがり、関東山地東部から武蔵野台地西部にかけて分布する活断層帯です。その平均活動間隔は10,000年~15,000年程度で、最新活動時期は、約20,000年前~13,000年前だったといいます。当然歴史に記述されてはいません。

 「地震発生時からの経過時間」を「平均活動間隔」で割った値を「地震後経過率」というようなのですが、その値が1を越すと地震がいつ起きても不思議ではないということになります。立川断層帯の地震後経過率は、0.9~2.0。最小値でも1に迫り、最大値は1を大きく超しています。

 立川断層帯の地震発生確率は、30年以内で0.5%~2%、50年以内で0.8%~4%、100年以内で2%~7%、300年以内で5%~20%でした。この地震発生確率を高いとみるか低いとみるか。しかし、兵庫県南部地震の地震発生直前の30年以内の地震発生確率は0.02%~8%で、その断層の平均活動間隔は1,700年~3,500年だったのです。




 直下型地震が起きた時にどこにいるかで大きく生死を分けそうです。仕事や学校などで外出していれば、自分がいる建物の地震に対する強度が、道を歩いていれば、建物の外壁や塀の強度が、人生を左右しそうです。災害による被害を最小のものにする(「減災」)という観点から対策がとれそうなのは、自宅にいるときに地震に遭ったときでしょう。生存スペースを確保できるように家具を固定し、強度のあるテーブルで下に空間のあるものを食卓にし、、、

                  (この項 健人のパパ)

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