アメリカの法律家(弁護士、法学者、裁判官、検事など)の約半数が加盟(加盟は任意)しているアメリカ最大の全国的な法律家の組織に「アメリカ法曹協会(American Bar Association、ABA)」があります。そのABAが運営する サイト によれば、“Nearly every state has an ethical rule that calls upon lawyers to render pro bono services.”(ほぼ例外なくすべての州に、弁護士に、「プロボノ」による奉仕を求める倫理規定がある。)“For those states in which the ABA Model Rules of Professional Conduct have been adopted in whole or part, the pro bono responsibilitiy is usually defined in Rule 6.1. ”(アメリカ法曹協会の弁護士行動準則模範規程が(全部または一部)採用されている州では、「プロボノ」の義務は、“Rule 6.1”で通常定められている。 )とあります。
この“Rule 6.1 - Voluntary Pro Bono Publico Service”では何が定められているかを冒頭部分だけを拾ってみましょう。“Every lawyer has a professional responsibility to provide legal services to those unable to pay.”(弁護士はみな、弁護士費用を支払うことができない人々に法律家としての労務を提供する職業上の義務がある。)“A lawyer should aspire to render at least 50 hours of pro bono publico legal services per year. ”(弁護士は、1年間に少なくとも50時間の「プロ・ボノ・プブリコ」による法律家としての労務を喜んで提供しなければならない)。
“pro bono”(プロ・ボノ)は、“pro bono publico”(プロ・ボノ・プブリコ)を縮めたもので、ラテン語です。その意味は、“for the public goodness”(公衆への善行として)ということになるのでしょう。ここには「無償で」という意味は含まれませんが、“to those unable to pay”(弁護士費用を支払うことができない人々に)と言っているのですから、「無償」を前提とすることになります。無償での奉仕活動と聞けば、ボランティア活動が思い浮かびますが、「プロボノ」は、単純な労務を提供するのではなく、専門的な、自分が日常、職業として行なっている労務を無償で提供する「ボランティア活動」ということになります。
最近では、「プロボノ」活動に従事する人の職業が、弁護士以外にも広がっているのだそうです。職種が拡大したきっかけは、「サービスグラント(Service Grant)」というマッチング・システムを構築した「タップルート財団(Taproot Foundation、2001年にアメリカのサンフランシスコに設立されたNPO)」です。“grant”は名詞として「助成金」という意味がありますが、動詞として使って、“grant a request”と言えば、「願いを聞き入れる」という意味にもなります。“We have designed the grant-making process for our Service Grant Program to address your needs and assess your fit and readiness for one our Service Grants.”