POWERFUL MOMが行く!
多忙な中でも,美味しい物を食べ歩き,料理を工夫し,旅行を楽しむ私の日常を綴ります。
 





 新型インフルエンザワクチンの第8回約700万回投与分の出荷が2010年1月15日(金)に予定されています。この出荷分は高齢者(65歳以上)を主な対象として想定しています。

 国産の新型インフルエンザワクチンは、大手製薬メーカーではなく、比較的小規模の4団体のみが製造しています。その4団体とは、財団法人化学及血清療法研究所(熊本市、「化血研」)と財団法人阪大微生物病研究会(大阪府吹田市、「微研会」)、学校法人北里研究所生物製剤研究所(埼玉県北本市、「北研」)、デンカ生研株式会社(東京都中央区、「デンカ」)です。

 2010年の初回の出荷分は、その39.6%を「北里」が製造し、「北里薬品」と「第一三共」が販売元で、32.1%を「阪大」が製造し、「田辺三菱」が販売元で、16.5%を「デンカ生研」が製造し、「アステラス」と「武田薬品」が販売元で、11.8%を「化血研」が製造し、「化血研」と「アステラス」が販売元になります。

 武田薬品工業(2008年売上高1億3,700億円ほど)、第一三共(9,700億円ほど)、アステラス製薬(8,800億円ほど)は国内の「3強」の製薬メーカーですが、自前ではインフルエンザワクチンを製造していません。「財団法人化学及血清療法研究所」、「財団法人阪大微生物病研究会」、「学校法人北里研究所生物製剤研究所」、「デンカ生研株式会社(売上高140億円ほど)」の製造したものを販売しているにすぎません。



 体内でインフルエンザウイルスが増殖するには、感染細胞からインフルエンザウイルスが外部に放出されることが必要ですが、それにはウイルスの細胞膜表面にある「ノイラミニダーゼ(Neuraminidase、NA)」という酵素が関係します。そのノイラミニダーゼを抑制することでインフルエンザウイルスの増殖を抑制できることが知られています。

 ノイラミニダーゼを阻害する抗ウイルス薬を「ノイラミニダーゼ阻害薬(Neuraminidase inhibitors)」といいますが、それにはオセルタミビル(商品名「タミフル(Tamiflu)」、経口薬)、ザナミビル(商品名「リレンザ(Relenza)」、吸入薬)、ペラミビル(承認申請中、点滴注射薬、日本における臨床試験は「塩野義製薬(2,100億円ほど)」が行う)。「タミフル」は、日本ではスイスの製薬会社「ロシュ」グループ傘下の「中外製薬(3,400億円)」が製造輸入販売元となっています。「リレンザ」は、グラクソ・スミスクライン社(日本法人がある。その売上高2,000億円ほど)が製造輸入販売元となっています。抗ウイルス薬のいずれにも「3強」は関係していません。

(追記)2009年1月13日の医療介護CBニュースからです。

 塩野義製薬は1月13日、インフルエンザ治療薬ラピアクタ点滴用バッグ300mgと同バイアル150mg(一般名=ペラミビル)の製造販売承認を取得したと発表した。ペラミビルの正式な承認取得は世界初。

 米バイオクリスト社から導入した塩野義製薬が国内で開発。成人のインフルエンザ感染での1回投与と、糖尿病などハイリスク因子を有する患者での1回または複数回投与について承認を取得した。小児への適応についても既に臨床試験が終了しており、年度内の追加申請に向けて準備を進めている。

 既存のタミフル(中外製薬)が1日2回、5日間の経口投与、リレンザ(グラクソ・スミスクライン)が1日2回、5日間の吸入なのに対し、1回の投与で済む。厚生労働省から優先審査品目に指定され、昨年10月後半の申請から約2か月で承認に至った。


 アメリカではFDA(米国食品医薬品局)の新型インフルエンザ流行に伴う緊急処置(EUA、Emergency Use Authorization)で「ペラミビル水和物」が使用されていますが、まだ正式な承認を取得していません。(追記終わり)

 2007~2008年シーズンの後半から、ノイラミニダーゼ蛋白の275番目のアミノ酸がヒスチジンからチロシン(H275Y)に置換していて、オセルタミビルに対して耐性を持っている(「タミフルが効かない」)季節性のA/H1N1亜型ウイルスが、世界各地で検出されることが非常に多くなっていました。この耐性を新型インフルエンザウイルスの中にも持つものが出てきています。

(参考) 「新型の「インフルエンザA」はタミフル耐性を獲得しはしないか。

 厚生労働省は、インフルエンザの流行動向を把握するため、医療機関の協力を得て、インフルエンザ患者から採取した検体について、ウイルスが「新型」か「季節性」かの型を確認する「ウイルスサーベイランス」を実施しています。山梨県衛生公害研究所では、7月~12月の間にPCR検査で新型インフルエンザが確認された552検体のうち46検体を抽出し、タミフル耐性の検査を行ってきました。その中で、2009年12月9日に採取された検体からタミフル耐性の遺伝子変異が認められた(オセルタミビル耐性マーカーH275Yが認められた)そうです。

 山梨県衛生公害研究所は、国立感染症研究所ヘ分離ウイルス株を送付し、感受性試験を依頼したところ、国立感染症研究所は「タミフル耐性」を確認しました。しかし、「リレンザ」に対しては、感受性があったそうです。山梨県では初めて確認されましたが、全国では、タミフル耐性を示す新型インフルエンザウイルスが31例確認されています。

 山梨県の3歳男児が感染したインフルエンザウイルスに「タミフル耐性」がありました(生じました)。

12月4日…発熱、咳などのインフルエンザ症状が現れ、受診。インフルエンザ迅速診断キットでA (+)、タミフルが処方されます。
12月9日…再度発熱し、タミフルが追加されます。抗生剤処方、検体を採取。数日で回復。その後、周囲に感染の広がりはなかったそうです。

 和歌山県環境衛生研究センターは、6月~12月の間に提供を受けた検体のうち、これまで104株のウイルスについて、タミフル耐性の検査を行いました。2009年11月20日に採取した検体からタミフル耐性の遺伝子変異が認められています。和歌山県では初めての確認です。

 和歌山県の8歳男児が感染したインフルエンザウイルスに「タミフル耐性」がありました(生じました)。

11月14日…発熱、咳などのインフルエンザ症状が現われ、受診。インフルエンザ迅速診断キットA (-)、タミフルが処方されます。
11月15日…咳の症状が増強します。
11月19日…症状改善しないため受診し、入院。インフルエンザ迅速診断キットA (-)。検体を採取し、タミフル、リレンザが処方されます。
11月20日…PCR検査で新型インフルエンザ陽性が判明します。
11月23日…回復し、退院します。

 この事例では、快復までに10日近くかかっています。上記2例では、「タミフル耐性」をインフルエンザウイルスが持っていたため、快復まで時間がかかったり、重篤化したりしたのでしょうか。それとも、タミフルを服用せずともインフルエンザからは重篤化のリスクを負わずに自然治癒するものなのでしょうか。

(参考) 「タミフルを飲まなくてもいいくらいに私は「健康」?それとも「不健康」?

 In the UK, the levels of illness are below what would be expected during an average winter. And with 360 deaths so far, questions are being asked about whether health officials over-reacted.

 The financial cost of preparing for the pandemic is yet to be calculated.

 However, it looks likely the bill will run into many millions of pounds as enough doses of Tamiflu and Relenza - the anti-viral drugs that can lessen the symptoms of the flu - and the vaccine were bought for the whole population.

 The UK government is now looking into whether it can stop purchasing the jabs it had placed orders for as experts predict a future rise is unlikely. Another option is selling them to other countries or donating them to the developing world.

 Meanwhile, the World Health Organization (WHO) has already announced it will review its handling of the pandemic.

 Council of Europe health committee chairman Wolfgang Wodarg has been one of the most vocal critics.

 He has said experts have been unduly influenced by the pharmaceutical industry, and questioned whether a virus that proved to be so mild could really be classed as a pandemic.
 (BBC News, 14 January 2010)

 奈良県で慢性閉塞性肺疾患の基礎疾患のある70歳代男性が新型インフルエンザ感染で亡くなりました。新型インフルエンザ患者(疑い例も含む) の死亡は155例めで、今回で奈良県では2009年10月26日、2010年1月3日に次いで3例めになります。

1月 9日…38℃の発熱があったが、受診しなかった。新型インフルエンザや季節性インフルエンザのワクチンの接種はしていない。
1月10日…呼吸困難により、救急車で病院に搬送され入院。37.4℃で、喘息症状で肺炎を併発していたが、意識は清明。インフルエンザ迅速検査でA型陽性。タミフルが投与される。6時間ほどして、心肺停止。蘇生術が開始され、人工呼吸器が装着される。
1月11日…死亡が確認され、直接の死因は肺炎。
1月12日…奈良県保健環境研究センターで、PCR検査が実施され、新型インフルエンザの感染が確認される。

 新型インフルエンザはその感染による入院患者数はピークを越え、減少傾向にありますが、まだ多い。週当たりに入院患者が200人を超えて急増し始める前の37週(2009年9月7日~13日)ほどのレベルになるにはまだまだかかりそうです。(上記のインフルエンザ感染に関するデータと下図は厚生労働省のページが出典です。)




           (この項 健人のパパ)

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )