銀座奥野ビルの手動エレベーターに乗り、黄色い格子扉をガシャンッと閉めます。
3階のボタンを押して向かったのが「スダ美容室」
写真を見て分かる通り、この美容室はもう開業していません。
4年前、百歳を迎えて亡くなった女性が、かつて開業していたこの場所が、ここスダ美容室。
現在は「銀座奥野ビル三〇六号室プロジェクト」という非営利一般社団法人が引き継いで部屋を管理運営しています。
この日は企画展をしているとのことで、昼過ぎに立ち寄ってみました。
時の経過をそのままに残すというプロジェクトの趣旨に沿って維持されている室内の雰囲気は、滅びの余韻で満たされています。
でも何故でしょう。
いわゆる廃墟とは異なる、息づく何かの気配が感じられる柔らかい空気がそこにはあるのです。