奈良公園、一ノ鳥居から南へ少し。向かって右手に荒池、左手には荒池公園が広がっています。
荒池園地へと足を向けてしばらく歩いていくと、多くの人で賑わう奈良公園内とは思えないほど、
閑静な時間と場所がここにあることに気付きます。
浮見堂のある鷺池までの道程の間に、朽ち果てた土塀の跡が残されています。今も一部立ったままの
土塀は、夏の間、鹿達がその陰で日を除けながらくつろぐ恰好の場所になっています。その寂れた
土塀の雰囲気もさることながら、塀の前にある楠(くすのき)の根っこがいい味を出しているのです。
地面の上を縦横無尽に這う根の形も見ごたえがありますが、その根を覆い尽くす苔との共存関係が
なんとも言えぬ時の深さを感じさせ、この地の歴史の深さを思わせるのです。この苔の深いグリーンをより際立たせるには…、とセレクトしたアートフィルターが、Camera+のローファイ。
うん、コクと深みが沁みてきました。