横浜中華街、訪れるならばやはり夜。
人間の「食欲」がそのままビジュアル化されたかのような色彩と匂いと音の洪水に、心の扉が開放されてしまうかのよう。
中華の王道を目指し、メインストリートを散策するのもいいですが、どこか惹かれてしまうのがやはり裏路地。
台南小路は、市場通りと香港路を結んだ狭い路地。
このディープで濃密な雰囲気が目に入り、ついふらふらと導かれるように足が向いてしまいます。
点心の蒸気、白熱電球の提灯、呼び込みの掛け声。
千と千尋の神隠しで、父さんと母さんがタダ飯を食べて豚になってしまった、あの食堂?
この猥雑な風景、いつかどこかで見た憶えがあるような、ないような…
調理の音と香りとが渾然一体となって、この小路のオーラを作り上げているのです。