兵庫県立美術館のファザードを進んでいくと、右手に見えてくる高さ3mの鉄のオブジェ。
現代美術家、セザール・バルダッチーニ制作。題名通り、エッフェル塔補修の際にでた鉄骨材の端材を組んで鋳造した作品です。
しばらく眺めているうちに、作品全体よりもそのディティールに作品の息吹が感じられ、ぐぐっと寄って撮ってみました。
裁断跡が生々しいH鋼の断面。規則的に打ち付けられたリベット。
近代文明を支えてきた鉄の記憶が、一切の躊躇もなく眼前に出現し、無機質で香りの無い冷ややかなオーラを放ち続けます。
リアルで生の物質が、世界を制覇していた時代がそのままの形でそこに展開されていたのです。