京都に訪れた春分の日、3月20日は「伝統産業の日」。
1200年もの間に培われた、京都の伝統の技と魅力を発信するため、様々なイベントが行われていました。
この日参加させてもらったのが、工房見学。
向かったのは、着物へ直接筆で家紋を描きつける伝統工芸士 鹿島氏の工房、鹿島紋章工芸。
絹の生地の上に、軽く粉引きで枠取りされた中に、迷いもなく揚羽蝶の紋を描き始めます。
直径2.5㎝ほどの大きさの円の中に、丸筆一本で丸や曲線、S字ラインや同心円など、全てが均一の太さで蝶の姿を描いてゆきます。
紋の説明や、見学者からの質問に答えながらも、筆先の動きは乱れることもなく、揚羽蝶の姿が鮮やかに現れてきます。
自分の後にはもう後継ぎがいないと寂しい表情で語っていた鹿島さん。
それを聞いているこちらも残念な気持ちになってしまいました。