映画の感想をざっくばらんに、パラパラ読めるよう綴っています。最近は映画だけでなく音楽などなど、心に印象に残ったことも。
パラパラ映画手帖
No1251『はじまりの歌』~街角で演奏される楽曲がすてき~

『ONCE ダブリンの街角で』が大好きで、
ジョン・カーニー監督の新作が公開とのことで、観に行ってきた。
英題は『begin again』。
シンガーソングライターのグレタ(キーラ・ナイトレイ)は、
同じくミュージシャンの恋人(アダム レヴィーン)が、
映画のサントラ曲で、一気にメジャーとなり、
いっしょにNYにやってくる。
でも、恋人は人気が出て、ツアー中に別の女性と恋に落ちる。
グレタは、ひとりで部屋を飛び出す。
音楽仲間スティーヴ(ジェームズ・コーデン)のぼろアパートに居候し、
バーで歌ったところを、
落ち目の音楽プロデューサー、ダン(マーク・ラファロ)に見いだされ、
アルバムづくりをはじめる…。
この映画の魅力は、なんといっても、
バンドが、NYの街角の路上や、地下道や、アパート群の路地、ビルの上と、
屋外で演奏し、録音していく姿。
グレタの歌とギターだけでなく、
ヴァイオリン、チェロ、ドラム、シンセサイザーとにぎやかなバンドで、
どの曲もすばらしい。
うるさいから警察を呼ぶと、近所から文句を言われたり、
子どもたちをバックコーラスに巻きこんだりしながら、
街角の騒音を取り込んで、録音していく。
マイナーな映画と思って、寒空の下
元気を出して、空中庭園ビルのミニシアターに行ったら、
ほぼ満席で、若いお客さんが多くて、びっくりした。
カーニー監督は、
「僕の作品は多くの人間の声を反映するようなものではなく、パーソナルな内容。
そこがひとりひとりの心に響く理由なのかもしれない。
1対1でのコミュニケーションというのがアートの本質だし、
それは映画でも絵画でも同じ」
と語っている。
1対1、一人に向けて書きなさい、というのは、
文書を書く上でも言われたことがあるが、
映画では、初めて聞いた。
私が好きなのは、
解雇され、別居中の妻からは冷たくされ、行き詰まり、
酔っ払ったダンが、
ライブバーで、初めてグレタの弾き語りの曲を聴くシーン。
ダンの頭の中で、勝手にアレンジが始まり、
ピアノやら、ドラムやら、ヴァイオリンといった楽器が
勝手に鳴りだして、
音が膨らみ、豊かになっていくのが、すてきだ。
“A Step You Can’t Take Back”(You Tube)(英語歌詞)(歌詞について後述)
彼女が、裏切られた恋人の留守電に、
自分の気持ちを歌にして、残す曲“Like a Fool”(You TUbe)もいい。
グレタのギターと歌声に、
友達のスティーヴがピアノの伴奏で入っていくところがすてきだ。
ぐっと曲の奥行が広がるような気がする。
気立てのよくて、いつもにこにこしたスティーブが、とてもいい。
ビルの屋上で、夜、演奏するシーンもすばらしい。
夜景がきれいな中、
演奏をはじめる。
最後の最後で、
へそ出しのいかれた恰好をしていた、ダンの十代の娘が
リードギターで、バンドに加わっていくシーン。
“Tell Me If You Wanna Go Home” (You Tube)
グレタが、クリスマスに恋人にプレゼントした曲が、
“Lost Stars”(You Tube)(映画の中のシーンも観れます)
こうして聴いていくと、ギターの音が本当に優しく、
キーラ・ナイトレイはすてきな歌声の持ち主。
グレタの別れた恋人を演じるアダム・レヴィーンは、
本物の歌手で、人気ロックバンド「マルーン 5」のボーカル。
彼が歌う”Lost Stars"(YouTube)は、また違った感じになる。
全く違う魅力だけれど、
個人的には、完成された世界という感じのアダムの歌より、
キーラが歌う手づくり感満載の歌の方が好みで飽きない。
アダムが歌うのは、ほかに“A Higher Place”(YouTube)
映画としての出来でいえば、
個人的には「Once~」の方がよくできていたと思うが、
バンドの楽しさは、こちらも負けてない。
映画の最初に、グレタが歌う
“A Step You Can’t Take Back”は、
「気づけば地下鉄にいた
自分の世界はカバンひとつ
ふと名案に思えた
これで人生おしまい
そんな気がした
線路の向こうから迫る列車
痛みは吹き飛び
すべて真っ暗
覚悟はあるのあ?最後の一歩
後戻りできない
愛されてた?
ボロボロにされた?」
となんとも追い詰められた歌詞。
なんとこの歌が歌われる、冒頭の映画シーンが5分まるっと
公開配信されています。(ヤフー特報の映像)
ぜひ歌だけでも、聴いてみてください。
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