映画の感想をざっくばらんに、パラパラ読めるよう綴っています。最近は映画だけでなく音楽などなど、心に印象に残ったことも。
パラパラ映画手帖
No831杉浦直樹さん逝く
2011-09-26 / 映画
NHKの「ドラマ人間模様」「土曜ドラマ」が好きで、よく観ていた。
(チャンネル権を握る父がNHK好きで、ほかを見れなかったせいもある)
「事件」「けものみち」「阿修羅のごとく」「男たちの旅路」…。
なかでも、「あ・うん」(1980年 向田邦子脚本)は一番のお気に入り。
当時、アルビノーニのアダージョというタイトルも知らないまま
美しくも、哀しいメロディのテーマ曲が忘れられず、
あの曲が流れると、吸い寄せられるようにしてテレビの画面に釘付けになった。
フランキー堺と杉浦直樹は親友同士。
杉浦は、妻の岸田今日子がいながら、
心ひそかに
堺の妻の吉村実子に惚れ込んでいる。
その思いを、皆が互いに勘付きながらも、
杉浦を家族のように迎え、温かく接していく。
岸本佳代子がフランキーの娘役で、彼女のモノローグもよかった。
太平洋戦争下の暗い時代の中、
家族それぞれの複雑な内面を描き、
岸本の恋路を応援するのが確か杉浦だったような…。
この作品で、私はいっぺんに杉浦さんのファンになった。
その杉浦さんが21日、79歳で亡くなられた。
ばたばたしていて朝刊をめくっておらず、
今日、訃報を目にしたとき、
頭の中を、アルビノーニのアダージョの旋律が
ゆっくりと流れ出し
暖色の暖かい画面の中の家族の姿が頭に浮かんだ。
「今朝の秋」(山田太一脚本)もNHKの再放送で、
つい2、3年前にやっと観ることができ
大好きな笠智衆さん、杉村春子さんらに囲まれ、
杉浦さんが忘れられない表情をしていた。
味のある顔、表情の俳優さんで、ほんと忘れられないです。
心からご冥福をお祈りいたします。合掌。
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