映画の感想をざっくばらんに、パラパラ読めるよう綴っています。最近は映画だけでなく音楽などなど、心に印象に残ったことも。
パラパラ映画手帖
No1385『キートンの大列車追跡』~アメリカ南北戦争で、蒸気機関車の奪い合い~
神戸の異人館、旧グッケンハイム邸でのサイレント映画上映会。
台風の雨も落ち着いてきた夜、はるばる塩屋まで行ってきた。
映写機がカタカタ回り、子ども達も数名で、80分の長丁場。
座布団に座ったり、パイプ椅子に座って、異人館の広間(50人は入る?)での上映。
鳥飼りょうさんのグランドピアノ生伴奏付きで盛り上げる。
原題の「The General」(将軍)は、蒸気機関車の名前。
1926年の作品で、アメリカの南北戦争を題材に。
キートンは南軍の蒸気機関士。
愛する蒸気機関車「将軍」が北軍のスパイに奪われ、
別の蒸気機関車に乗って、一人で追いかけるキートンは、敵陣へもぐりこむ。
逆に、敵陣で奪われた「将軍」にこっそり乗り込み、
復路、南軍の陣地へと逃げ帰るが、北軍の機関車が追いかけてくる…。
この映画、以前にも観たことがあるが、爆笑したのは、大砲のシーン。
キートンが蒸気機関車で、将軍を追いかける往路。
砲台を乗せた貨車もつないでいるので、
前方を走る、スパイの乗った機関車めがけて大砲を打とうと、
弾を筒に込めて、火をつけた。
大砲が発射されるまでの数十秒のうちに、
大砲の角度が、上斜め45度角度から、列車が進むにつれてどんどん下がってくる…!
ついには、真横になって、まっすぐ目前にいるキートンの方に、大砲が向き、大ピンチ。
この角度を下げていく大砲が生きてるみたいでおもしろい。
キートン、危うしと思うと…、
ちょうど線路が大きくカーブを描いていて、
弾が放たれた時には、まっすぐ飛んでもキートンのいる機関車に当たらずに、
線路横の山の中に飛んでいって爆発して、危機を免れる。
笑いをあちこちにまじえつつも、機関車が機関車を追いかけるアクションがメイン。
キートンの乗る機関車が北に向かって走っていくと、
その横の平地を、南軍が敗退して引き返していくのとすれ違う。
と思うと、その次には、北軍が、攻めてくるのとすれ違う。
このシーン、なんだか、時代の移り変わりとすれ違うみたいで、
ドラマチックな感じがして、おもしろかった。
キートンが、北軍の捕虜になった恋人を救出するのに、
恋人を大きな米袋みたいな袋に入れて、かついで、蒸気機関車の貨車に積む。
その同じ貨車に、荷物運びたちが、何も知らずに大きな樽やら箱やら重そうなものを次々放り込んでいく。
それを見て、キートンがちょっと冷や汗みたいに、肩をすくめるのも、面白かった。
恋人同士でも、危機一髪のシーンでは、
互いに相手をひっぱたいたり、殴ってしまったりするのがなんだか楽しい。
キートンは、北軍陣地から、見事、蒸気機関車「将軍」に乗り込んで、南軍の陣地へと引き返すが、
北軍は機関車2台を連ねて、すごい勢いで追いかけてくる。
迫ってくる追手を阻もうと、
キートンは、貨車に積んでいたいろんな荷物を、次々と線路の上に落としていく。
これを縦の構図でとらえ、
奥行たっぷりに、奥の方には追手が来ていて、その手前に
ぼとん、ぼとんと、荷物を落としていって、その間隔までわかる構図のおもしろさ。
蒸気機関車の車体を、カメラが横にパンしていくと、向き合ったり、追いかけているもう一台の蒸気機関車の車体へとつながるなんて、なんとも豪華。
みどころは、追手の蒸気機関車が、陸橋ごと川の上に崩れ落ちていくシーンで、
ミニチュアかと思いきや、実際に、映画用に橋をかけて、機関車ごと落としたそうだ。
いいをじゅんこさんの楽しく詳しい解説つきで、勉強になった。
今年は、キートンが初めて映画デビューしてから100年とのこと。
楽しい上映会でした。
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