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No1433『メイン州ベルファスト』~一つの街をまるごと写しとる~

久しぶりに神戸映画資料館へ。
ワイズマン監督特集は、これから関西のあちこちの映画館で
上映されます。

アメリカ最東北部のメイン州の港町ベルファスト。
1999年の作品。
4時間にわたり、
港の明け方の美しい景色から始まり、
ロブスター漁に出る舟、
黙々とロブスターのはさみをテープみたいなので固定するおっちゃん、

学校、病院、裁判所、保健所、教会、
スーパーマーケット、工場と
いろんな施設を行き交いながら、
個人宅を訪ねる福祉士さんの姿もとらえる。

かつては一日に煙草を7箱も吸っていて、
薬代が払えるか心配で、保健師の訪問を受けたおじさん、
体重計に乗るのを手伝ってもらうおじいさん、
父に虐待を受け、憎んでいたけど、今は、大事にしたいという女性。
いろんな人が現れる。

缶詰工場が圧巻だった。
いわしのような魚が山ほど、工場のレーンを滑り落ちていくのが、
延々と映される。

自動で水で洗われて、
おばちゃんたちの手で、次々と包丁で、頭と尾を切り落とされ、
小さな缶詰に並べて入れられる。
このときの、おばちゃんたちの手さばきが、あまりに速くて、すごかった。
缶詰が並べられたトレイが運ばれ、
加熱され、蓋をされて、出荷される。

工場の機械音も、なんだか心地よかったと
帰り道、知り合いとしゃべった。

ポテトのお菓子とか、
お店で、チョコドーナツを焼く工程とか、
チョコのパウンドケーキをつくる工程とかを
丁寧に撮っていて、
どれも美味しそうで、おもしろかった。
(お腹減ったけれど)

罠につかまった狼を射殺して、皮をはぐシーンもあったり、
緊急で病院にきた人達や、
保健師と母との会話の横で、プラスチックの食べ物の見本を
口に入れようとする子どもが可愛いし、
教会で、祝福を受ける赤ちゃんも可愛い。

施設とそれをつなぐ道路があって、
車が高速で走り抜けていく。
立派な一戸建ての家がたくさん写される。

劇の台本読みをしている中年の男性たちや、
歌の練習をしている人たちもいた。

こういう風景は、
すべて、監督により、
意味づけられ順序づけられて
編集されたそうだが、皆目、検討がつかない。

4時間は長かったけれど、おもしろく、
ワイズマン監督の視点というのを、
帰り道、自分の現実をみながら、
少しだけ考えてみた。

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