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No991『流れる』~移りゆく時代の流れの中で~

今日から始まった京都映画祭。
祇園会館での中島貞夫監督と山根貞男さんのトークだけでも、
行きたかったのですが、
やはり仕事が忙しくて断念。
明日は、鈴木則文監督と山根さんとのトークがあるし、
なんとしてもこれだけでも駆けつけたい、と叫んでおこう。
鈴木監督は以前シンポジウムで少しだけ話を聞いたことがあるが
とてもおもしろかった覚えがある。

明日午後1時から上映の『色ごと師春団治』は
あのマキノ雅弘監督の作品で、
藤山寛美さん、長門裕之さん、南田洋子さん出演と
大いに期待できる。
藤山さんといえば、マキノの任侠もので
誰かをかばって殺されて、ごろりと窓の奥にころがり落ちるシーンが
忘れられない。
ぜひ私の分まで、観てきてください。

さて、ということで、今日はせめてと
シネ・ヌーヴォでの山田五十鈴特集のレイト上映へ。
女優さんたちが、皆、芸達者で、
中北千枝子さんにしても、居候で、ろくに働かないと
悪口を言われる役を、
だらりとした歩き方、しぐさが様になっていて、
電話を受けながら、さりげなく足で物を横にやる動作が
堂に入っていた。

最後の、2階で、懸命にミシンで縫い物をする娘役の高峰秀子と
階下で、三味線の稽古をする
置屋のおかみ役の山田五十鈴と、芸者の杉村春子。
それぞれの姿が交互に映り、
ミシンの音と、三味線の音が重なる。
そんな両者を見つめるお手伝いの田中絹代。
変わっていく時代の中で、
それぞれの女性のありようがくっきりと浮かび上がり、
見事なラスト。

山田五十鈴が、かつてよい仲だった先生に
数年ぶりで会うことになり、
支度をしている時の、鼻歌といい、華やいだ様子、
その空気に敏感に反応する、杉村や岡田茉莉子たち。

先生が来るのを座敷で待っている時にみせる山田の色気、
来ないと知らされた時の落胆ぶりと、目に光る涙。

置屋での女優さんたちの会話のテンポがよく、
性格や人となりが伝わってきて、見事。

若くて美人の岡田茉莉子よりも、
10歳年下の恋人に尽くした挙句、捨てられて
悪酔いして涙をみせる、中年芸者の役の杉村春子に共感してしまうのも
年をとったということだろうか。

なんども映る置屋の前の路地がとってもいい感じだった。

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