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米軍事故の報道に違和感

2018-12-09 23:49:13 | マスメディア
米軍事故の報道に違和感

「米軍機墜落 現場付近はマグロ漁船の操業海域 不安の声も」
「6日午前1時40分ごろ、高知県・室戸岬沖に、米海兵隊岩国基地所属のFA18戦闘攻撃機とKC130空中給油機が墜落した。地元・高知の自治体や漁協の関係者らからは度重なる事故に不安の声が上がった」

 これは12月6日20時25分の毎日新聞電子版トップニュースのタイトルと記事の冒頭部分である。記事はこの後、過去の高知県周辺で起きた米軍機の事故を列挙し、地元民の不安の声を集めたものとなっている。NHKニュースでも事故の概略を簡単に伝えた後、岩国基地周辺の住民の不安を伝えていた。

 また赤旗は7日付で「日本共産党の大平喜信前衆院議員と広島、山口両県委員会は6日、広島市内の中国四国防衛局を訪れ、直ちに同基地所属の米軍機すべての無期限の飛行中止を米政府に求めることなどを要請しました。(中略)大平氏は『住民の命と財産が脅かされる極めて重大な事故であり、強く怒りを感じる』と訴えました」と書いている。まるで米軍は敵のような扱いである。恐らく内心はそう思っているのだろう。

 我々は米軍の事故が起きると被害や迷惑ばかりを強調する報道に慣れていて、上記のような報道には違和感を感じなくなっているのではないだろうか。今回の事故は死亡者1名、行方不明5名とされているが、このような犠牲者に対する同情や哀悼の意が記事に見られることはまずない。彼らには家族もいるであろうし、遊びでやっているわけではない。彼らのおかげで日本の安全が保たれているという面があるのは確かである。非難ばかりしていては日本の倫理観まで問われかねない。

 米軍が日本に基地を置いているのは無論アメリカの国益のためというのが第一の理由だろうが、日本も利益を受けている。だからこそ基地の費用の一部を負担しているわけである。もし他国が日本に攻撃を加えようと考えたとき、日本に米軍基地があれば、それは大いなる障害物となる。攻撃は米国をも同時に敵に回すことになるからである。安全保障条約より効果的だ。つまり米軍は日本の平和に大きく役立っているわけで、これはもう常識といってもよい。

 ところが日本のメディアは米軍の持つそういう側面を無視しているかのようである。基地があれば事故や事件がゼロというわけにはいかない。大規模な企業が進出しても交通事故や従業員の事件は起きる。完全無欠の社会システムなど存在しない。治安が仕事の警察官でも犯罪を起こすことがある。

 毎日や赤旗の記事からは米軍事故を利用して、基地を撤去させたいという思惑が見えるようである。自衛隊に対する反対姿勢も目立つが、軍事力の撤廃が平和をもたらすと本心から考えているのだろうか。いい歳のおっさん達がそんな夢みたいなことを考えているとはどうも理解しにくい。よほど頭がおかしいのか、それとも中国への忖度なのか、どちらかであろう。ともあれ同じ報道姿勢が続くと、それに慣れてしまっておかしく感じなくなるようである。