噛みつき評論 ブログ版

マスメディア批評を中心にしたページです。  姉妹ページ 『噛みつき評論』 もどうぞ(左下のBOOKMARKから)。

民放が政治を腐らせる

2019-07-28 22:21:19 | マスメディア
 7月22日、テレビのニュース番組は前日の参院選挙の結果を競って取り上げるだろうと予想していた。だがそれは完全に外れた。午前8時からは一斉に民放のニュース番組が始まるが、すべての局が大きく取り上げたのは吉本興業の問題であった。同時に見られないのでチャンネルを切り替えながらの印象であるが、大半が番組の放送時間の大部分を使っての放送であった。参院選挙の結果はほぼ無視されたように思う。

 テレビ界にあっては参院選挙など吉本興業に比べたら取るに足りない問題らしい。私は浅学の身であって、吉本興業問題の重要性は理解できないが、国政選挙以上に重要なのだろうか。テレビ界の価値観は凡人には理解不能である。芸能娯楽も大事なのはわかるが、ここまでやることはないだろう。

 テレビは情報を送る側であり、視聴者は受ける側である。情報は一方向である。つまりどんな情報を選ぶかは常にテレビ側が決定する。これは当たり前のことだが、情報を送る側には大きい影響力があり、世の関心事の誘導が可能だ。それゆえ情報の選択は好き放題でやっていいものではない。

 子供が甘いお菓子を要求しても、親は無条件にはそれを受け入れない。子供の要求通りにして、お菓子ばかり与えていれば子供の健康を損なうことがわかっているからである。テレビ局と視聴者の関係もこれに似ている。違うところは親は子供の健康を考えるが、テレビ局は視聴者のことなど考えない。とにかく多くの人に観てもらえば収益が増えるのである。

 方向が少し左にずれていたことが多かったとは言え、新聞には情報の提供者としての責任の自覚があったと思う。啓蒙という言葉は読者を見下しながらも、無知から救ってやろうという意味あいがあった。現在の民放にはほとんどない。残っているのはサンデーモーニングなど、特定の政治的主張を目的にした一部の番組だけである(これは賛同する一部の視聴者のおかげで一定の視聴率が取れるようだが)。

 テレビ局は常に分単位の視聴率に注目していて、どんなものが読者に受けるのかということを不断に研究しているそうだ。視聴率こそが最優先のモノサシであり、その結果が現在のテレビ放送なのである。視聴率は彼らの収益に直結する。その努力の結果と言うべきか、放送業界の生涯給与は2位を引き離して断トツの1位である。それほど豊かな報酬が得られていながら、視聴率、つまりカネばかり追いかける姿は皮肉である。「衣食足りて礼節を知る」テレビはいつまで経っても礼節を知るどころか、余計に忘れるのである。

 参院選挙の投票率は48.80%と低調であった。民放テレビはこれを嘆く、あるいは批判する。しかしこれは自分たちが放送してきたことの反映に過ぎない。政治よりお笑いを重視してきた結果に過ぎない。子供が欲しがるものを与えれば自分たちが潤うという仕組みも問題だが、民放の人間の矜持の問題である。

文在寅は韓国の鳩山?

2019-07-21 22:59:25 | マスメディア
 文在寅大統領は韓国の鳩山由紀夫元首相である、と言ったら怒るのはどちらのお方だろうか。それはともかく彼らにはいくつかの共通点がある。どちらも理想家肌の政治家であるが、どこか現実から遊離しているという印象がある。

 お二人とも就任当時、異常に高い支持率を得た。正体が知られないうちは高い大衆人気を誇っていた。その後、正体が知れるにつれて鳩山氏の支持率は急降下したのはご存知の通りである。文在寅氏も現在低落中であるが、近いうちにどうにもならなくなるという可能性が高いと思われる。

 さらに重要な共通点がある。お二人とも現実を把握する能力、認識能力に問題があるということである。これは頭が悪い場合も起こり得るが、そうではない。彼らの場合、何らかのイデオロギーが頭を占領している場合に起きる現象と考えてよい。イデオロギー、宗教、思想信条などに「感染」しやすい人間が存在することは間違いない。そのような人間が、つまり現実を正確に認識できない人間が国のリーダーとなったら、国は重大な不利益を被ることになりかねない。現実を正しく認識できなければ、正しい政策などとれるわけがない。鳩山元首相は「悪夢」と引き換えに貴重な教訓を与えてくれた。

 韓国は反日が国是であるような感がある。歴代の政権は反日を政権安定の糧としてきた。反日教育も広くいきわたり、その結果、国民の反日感情は高いレベルで定着した。文在寅政権はさらに反日傾向が強い。南北統一を志向し、北朝鮮に尻尾を振っているが、成功しているようには見えない。そして定着した反日感情のために、もし親日的な政策を取れば、国民の支持を失う可能性が高い。その結果、文在寅がとり得る政策の幅は大変狭いものとなっている。

 一方、韓国経済は日本との貿易やその他の関係に大きく依存しているので、日本を敵に回せば大きな犠牲を払うことになることは明白である。それでも強気一点張りなのは、韓国経済に対する理解不足か、あるいは従来通り日本は何をしても反抗しないと思っているのか、どちらにしても現実に対する判断の誤りである。しかしこの度の日本の輸出優遇措置撤廃によって韓国は経済をとるか反日をとるかの選択を迫られことになるが、日本との妥協を選択することは難しい。長年、育て上げた反日感情が自らの手足を縛る枷となっているわけである。

 この日本の措置に対して留飲を下げている日本人は少なくないと思う。長年の韓国の対応に理不尽さを感じていたからである。夢見る人、文在寅大統領が指導する国がこの先どこへ行くか、気になるところである。それにしても朝日の報道姿勢が日韓の対立状況を作り出した原因のひとつであろう。知らん顔をせず、慰安婦誤報について改めて日韓両国に謝罪してもよいと思う。

選挙への関心、外交防衛は8%の意味

2019-07-14 23:02:51 | マスメディア
 トランプ政権は主力戦車108両など22億ドル相当の武器を台湾に売却すると発表した。これに対して中国外務省は12日、「関与したアメリカ企業に制裁を加える」と警告したという。そして「武器売却は中国の主権と国家の安全を損なうものだ」と猛反発している。1月、習主席は台湾を統一するには「武力行使も選択肢」だと公言している。正直な国とも言えるが、実は脅しでもあろう。

 なぜ台湾への武器売却が中国の安全を損なうのか、不思議に思われる方もあるだろう。台湾が中国に戦争を仕掛けるのはまず考えられないから、中国の安全を損なうというのは台湾を武力侵攻したときに中国の損害が大きくなるということである。つまり台湾にとって軍事力の増強は抑止力になり、台湾の平和に貢献することに間違いない。

 一方で、この国は毎日のように4隻の艦船を尖閣諸島周辺海域を航行させるという地道な努力を続けている。奪うつもりがなければこんな面倒なことはしない。これがお隣の国であり、事実上終身皇帝が統治する全体主義国家である。しかも将来、この国がどういう方向に向かうのか予測は難しい。

 さて参院選に向けたNHKの世論調査によると、投票先を選ぶ際に最も重視することという質問に対し、最も多いのは社会保障で32%、外交防衛は8%に過ぎない。現在の日本が置かれた状況からみてこの8%はあまりにも低すぎるように思う。

 第二次世界大戦はドイツによって始められたが、周囲の多くの国はドイツがヨーロッパ全土を戦争に巻き込むとは予想しなかっただろう。戦争前のドイツの軍事力は急拡大していたが、大規模な侵攻を予測できなかったわけである。必要もないのに軍事力を急増させる国には直接に、あるいは脅しなど間接的にそれを使う下心があると認識すべきである。利用価値のないものに莫大な投資などしない。とくに空母などの海軍力の急速な増強が何を目的にしているか、もっと警戒感を持って観察した方がよい。マスコミは無関心すぎる。

 中国の軍事的脅威は多くの人が少しは感じていると思う。しかし戦争など、どこか遠い国の話で、所詮、他人事(ひとごと)という感覚が抜けきれないのではないか。70余年の平和が続いたせいもあるが、大きいのは日本のマスコミが長年作り上げてきた世界観にあると思う。

 第二次大戦で戦争には懲り懲りと思ったのは国民もマスコミも同じである。けど、懲りずに2度も世界大戦を引き起こしたドイツの例があり、日本が再び強い軍事力を持たないようにすることは当時は合理性があった。軍事力の強化に反対することは平和に貢献すると考えられ、マスコミはこの風潮を後押しした。周辺国の軍事力が増大しても、その脅威を大きく報道することはなかった。日本の軍備強化を何とかして阻止したかったわけである。

 しかし現在は状況が全く異なる。日本の政治は安定し、他国を侵略する必要もなければ、それが利益になる状況でもない。もし戦争が起きるとすれば逆に侵略される場合である。しかしマスコミの報道姿勢はあまり変わらない。軍事的脅威を抑制的に報道する。その結果がこの外交防衛は8%という数字なのである。軍事的脅威を低く認識することは抑止力の必要を過小評価し、抑止力増強の動きを封じようとする。戦争法案反対と叫んだように。しかしそれは中国の利益につながる。

 福祉に関心が向くのも理解できる。しかし外交防衛問題は不確実な未来に備えるものなので、無駄に終わる可能性がある一方、失敗すれば戦争になる可能性もある。そうなれば福祉どころの騒ぎではなくなる。外交防衛に関する政府の関心は強いが、それは現状の認識がちゃんとできているからだろう。マスコミは数十年経っても情勢の変化を認識できていない。本当に頭が悪いのか、それとも意図的に日本以外の利益を図っているのか、わからないが。抑止力の強化を妨害して、日本の平和を脅かしているのは左派のマスコミであるとも言える。

日韓対立の立役者、朝日新聞

2019-07-07 20:35:32 | マスメディア
 国と国が争うのは珍しいことではない。しかしそれは領土や資源、権益などをめぐっての対立が原因であることが多い。つまりたいていは現実的利益をめぐる争いである。だが日韓の争いは少し様相が違う。原因となるものはひとつではないが、感情のもつれといった要素が大きいように見える。個人間なら珍しくもないが、国と国が感情のもつれで争うのは珍しい。感情はたいてい一時的なもので、国レベルで長期間持続することは難しい。

 過去に争った国々であっても、日英や日米のように現在は友好国になっている例の方がずっと多い。日韓においては、宗教の違いによる対立でもなく、民族の違いによる対立というのもあまり大きい要素とは思えない。最も大きい理由は周知のように歴史問題なのだろう。しかしなぜ日韓併合時代や戦時中に起きたことが、数十年~百年後の今日に至るまで強い影響を及ぼしているのだろうか。この歴史的な対立に朝日新聞が果たした役割は実に大きい。対立の立役者なのである。

 元朝日新聞記者の植村隆氏の後援会が韓国で結成されたという報道があった。「植村隆と活動を共にする会」は大学の元総長や新聞の元論説主幹、市民団体幹部らで結成された。植村隆氏と言えば「元従軍慰安婦の金さんが女子挺身隊の名で戦場に連行され、従軍慰安婦にさせられた」という記事を書き、日本が強制連行したという火種を撒いた人物である(これを捏造とした櫻井よしこ氏らは名誉棄損で植村氏に訴えられたが、植村氏は170名の大弁護団にもかかわらず敗訴、つまり裁判所は事実上捏造と認めた)。

 この話を出したのは植村氏や朝日新聞が韓国側の利益に貢献していることを示したかったからである。植村氏は退社後、韓国のカトリック大学の客員教授に就任し、第24回キム・ヨングン民族教育賞を受けている。また朝日新聞の論説主筆であった若宮啓文氏は韓国の東西大学の「碩座教授」に、さらに国立ソウル大学校日本研究所に客員研究員として招請され、韓国政府からは修交勲章興仁章が授与された。韓国は朝日新聞の多大な貢献に報いたわけである。最近でも、日本が半導体関連の材料の輸出の優遇措置を廃止することに朝日は社説と記事で強く反対した。

 人は忘却することで、過去の感情的なわだかまりを捨てることができる。この機能があるからこそ社会は平和を維持することができる。水に流す、とはこのことである。しかし朝日は韓国側に立って歴史問題を掘り返し、遥かな過去の問題に繰り返し光を当て続けた結果、韓国民の心に歴史問題が大きな位置を占めるようになったわけである。前世代、前々世代のことであるのにである。これには「加害者と 被害者という歴史的立場は千年の歴史が流れても変わらない」という朴槿恵元大統領(現在は囚人)の言葉が示す国民性もあるだろうけれど。

 朝日がなぜ韓国側に立ち、慰安婦問題などに火をつけたのかはわからない。しかしその企ては大成功を収め、慰安婦像は世界各地に建てられた。逆に日本の国際的な信用は大きく棄損された。朝日の韓国に対する同調は韓国に正当化の理由を与え、韓国の増長を促した。韓国の日本に対する不誠実な対応の背景には韓国民の「不実な日本」という感情があると思うが、ここにも朝日の貢献がある。むろん今回の日韓基本条約の反故には、息をするように嘘をつく、とされる国民性もあるだろうけど、それだけではない。

 理由はわからないが、朝日新聞は一貫して韓国側の利益を優先してきた。その朝日新聞を支えてきたのは日本の読者である。朝日新聞が撒いた種は巨大な災厄に成長し、日韓関係は悪化し、通商問題にまで悪影響が出そうな雲行きである。韓国を敵国にするかもしれない。朝日は日本だけでなく、韓国にまで不利益をもたらすことになるだろう。昔ならば軍事衝突につながりかねない事態である。いつも平和、平和という朝日が紛争の種を撒いたわけである。「朝日流の正義」を振り回すのも結構だが、対立を煽る行為は、時として全員を不幸に落とすこともある。現在の結果を見れば、朝日は現実的視点の欠如、無思慮の誹りを免れない。リビアのように、広く歓迎された民主主義運動が戦乱を招き、カダフィー独裁政権時代より人々が不幸になることもある。平和と秩序を壊しては元も子もない。